第3話 異世界は空気美味しい!
神様からの細かい注意事項を聞いた後、私達は降り立つ場所について確認をしていました。
『本当にそれで良いのお二人とも。』
「ずっと一緒というわけにもいかず、やりたいこともありますし…」
「あと魔族と人族それぞれで活動しようと思ってて…互いに知覚したから遠距離念話魔法は使えるんだよね?」
前回の旅でそういう魔法を知っていたため確認をしてみると、神様は答えてくれましたが…。
『そうですね。確かにこの場所で知覚したので可能ですけど…。』
「何か問題あるのですか?」
『いえ、問題というのはないんですが、離れすぎると使えないのです。』
初耳ですね…。そういえば二人で旅している時は一緒に行動していたため距離を気にしていませんでしたが、まぁなんとかなるという思いで行きましょう。
「そこも実験してみるのも面白いかもね。」
「そうですね。」
『ふふふ…、二人とも相変わらず前向きだわ。』
それに生前も一年連絡取らないこともありましたしね。
『さて、名残惜しいですがそろそろお別れしないといけません。』
「ありがとう。神様」
「ありがとうございます。神様」
『いいのよ〜。良き旅に楽しい暮らしをしてくださいね。』
そして、神様が消えたのち私達は何もない真っ白な世界を後にしました。
◇◇◇
目の前が暗くなった後、数分後でしょうか明るい月に照らされる中私は目覚めました。
とりあえず目を覚ましたので一呼吸を…。
「ああ!空気が美味しい!」
おっと真夜中でしたね。
睡眠中の動物達が目を覚ましてしまいますから静かにしないといけません。
ひとまず軽めに装備や身だしなみを整えた後、場所を確認しました。
「さてここでは大陸の北北東の魔族領だと思うのですが。」
美菜は南南西の人族領に降りる予定なので時差はないと思うのですが…森の中だと思うのでちょっと心配です。
「少しこの空気を堪能しながら散策しましょう。」
急ぐ用事もないですしゆっくり散策していると、歩調を合わせるように動物達が集まり始めました。
「起こさないようにしてたのですが…なんでしょう。」
どんどん集まる動物達の中には魔物の大型種もいたのですが、襲ってくる気配はなくまるでどこかに導こうとしていました。その行動が気になり昔のことを思い出してみることに…。
「あの大陸の北北東ですから〜…あぁ、呪われた大樹付近ですね…え?」
改めて周囲を見回すと100年前とは大違いの光景に私は目を点にしていました。
なぜなら本来この場所には草は生えず、空気も一呼吸すれば生臭い血の匂いが立ち込め枯れた木だけが乱立していた場所だったからです。
「…いやぁー…100年も経てばここまで変わるのですね。」
でも前回とある錬金術師様がいうには500年かかると言ってませんでしたっけ?
邪神を殴って滅ぼしたせい?あぁそうか確かここから北西に邪神封印の場所あったからそれが丸ごとなくなったんですね。あっはっは…
そんなことを考えながら草木をかき分けていくと、大樹の目前にまでたどり着いたみたいで周囲には大小様々な動物が囲んでいました。
「わぁ〜…」
私は目の前に広がる光景に思わず感涙の声を上げてしまいました。
大樹を中心に小さな綺麗な水色の泉が広がっており大樹の木の根元付近には大きな杖のようなものが突き立っており、時折泉から光が湧き上がり神秘的な光景を生み出していました。
そんな風景の中で小鳥達やリスが遊んでいるのを見て眼福と思いながら目で楽しんでいると自分の顔が気になったので覗き込んでみることにしたのですが。
「あれ?見慣れない顔が見える。」
泉を覗き込むとふと羊のツノが生えた桃色髪の美少女が写っていたのです。
試しに右手をあげると同じ動作をしたため、びっくりして私の顔だということに数秒間気づかないでいました。
「あ!これ私!?もうちょっとかわいげなくてよかったのに…」
綺麗すぎると面倒だな思いつつひとまず神様に感謝しとくことにしました。
それでも可愛いのは嬉しいですしね。
その時なぜか神様が親指立ててる光景が思い浮かびました
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます