第17話『予想外の出来事 2』

 とおるくんと立花たちばなさんが公園からの移動を始めた頃、私の不安要素が1つ解消されていた。その不安とは、2人が付き合っているんじゃないかというもの。それだけで私の計画は失敗に終わるから。

 近づこうとも離れようともしない絶妙な距離感。それは友達という関係を表しているに他ならない───そう私は確信したのだ。

 恋人同士ならもっと近づいて、手を繋いだり腕を組んだり、そうするのが当然だと私は思っているから。

 実際、私と徹くんがそうであったように……。


「……はは、思ったよりキツイかも」


 私と付き合っているという縛りが解かれ、徹くんの交際に自由が戻った。咲ちゃんと付き合う事はこちらの勝手な都合で、徹くんの意思は自由。私が別れることで、咲ちゃんと付き合う可能性を作っただけで、私の作戦の失敗や、咲ちゃんの意思によっては徹くんが例えば立花さんと付き合う可能性だって十分ありえる。

 曖昧で不確定な私の計画、そのきっかけであり始まりである徹くんとの別れ。それは当然、私自身、私の真意、私の本心────望んだことではない。

 だけど、咲ちゃんの為ならと私は踏み出した。

 自分の気持ちを押し殺して……。


「徹くんを傷つけた罰なんだ、我慢しないと……あっ」


 2人を尾行して数分、目的地に辿り着いたみたいだ。表札を確認するまでも無い、だって立花さんがポケットから取り出した鍵を使って扉を開けたから。


「立花さんの家……だよね。なんで……」


 自分の見立ては間違いで、やっぱり2人は付き合っていて、外では関係をバラさない様に友達として振舞い、密閉された、誰も邪魔が入らない、見られない、立花さんの部屋で恋人らしい事をする────その可能性が出てきてしまった。

 こうなってしまっては尾行も何も無い。打つ手がない。

 邪魔をする事も出来ず、私はただその場で数分立ち尽くし、その後一部の望みに賭け表札を確認し、無意味な行動と知り、その場を後にした。

 

「まだ……まだ折れちゃ駄目だ。まだ2人が付き合ってるって確証は無いんだから……まだ、失敗してない」


 だけど急がないといけない事は確実だ。立花さんの真意は分からないけど、計画失敗の要因であると思って行動しないと手遅れになる。


「もしもし知恵ともえちゃん?────……うん、ちょっとお願いしたい事があるの。咲ちゃんにね────」


 計画が進まなければ強引に進める。知恵ちゃんには迷惑を掛けちゃうけど、でも失敗に終わるなんて許されないから。私が許してくれないから。



────────────


あとがき(以下近況ノート『作品内の主人公の名前について』と同文)


  いつもご愛読いただきありがとうございます。

 そして、こちらの確認不足で混乱を招いた読者の方々、本当に申し訳ございませんでした。

 既にご指摘頂き回答をさせていただいた方はご存知だと思いますが、10話、11話において主人公の名前を『和斗』としているにもかかわらず、最新話付近では『徹』と記載されています。

 改めてご指摘頂いた読者様方、ありがとうございます。

 今後はこのような事が無いよう努めていくのと、作中では『徹』で統一させていただく事を報告させていただきます。

 今後もよろしくお願いいたします。

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