父になる
大切な人がいる。
それが、もう1人増えようとしている。
なんと幸せなことだ。
子には、なんと名付けようか。
2人で考えた候補たちを思い返しながら、車を走らせる。
電話がなった。相手を見たら、知らない番号。
妻の名が表示されるとばかり思っていた。
車を停めて、折り返す。
ーー急いで、焦らず来てください。
え?もう、産まれるんですか?
ーーそれどころではありません。
...............。
どういうことだ。何故、そんな。
時間が無い。急いで行かなければ。
法定速度がこれほどの悔いと思うことは無い。
周りの車が、邪魔だった。
神様に願うのは癪だ。
まず、こんな目に遭わない様にして欲しかった。
到着して、駆け込む。
中の様子は伺えない。扉の前で待つ。
急いできても、何もしてやれない。
ただただ、祈るしかできない。
こんなにも、知識のない人間は無力なのか。
そう、思い知った。
何も出来ない人間はとうとう、役割が与えられる。
二者択一。
思いを繋ぐか、思い出を咲かせるか。
戦ってすらいない、自分の気持ちを優先して良い訳がない。
許されない。理解っている。
そう言うことで、大切な人の命を終わらせるのも。
ただ、自身は選ぶ権利すらないのだ。
受け入れる時間を待ってもらうことも不可能だ。
ーー子供を、助けてください。
蛇足の蛇足
この後、この子供は衰弱して死んでしまう。
耐えられなかった天才は、子をホムンクルスに。
1人の少女 @Tirimen_0x0
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