1人の少女

@Tirimen_0x0

1人の少女

ホムンクルスを人に見立てられるようにした

そのホムンクルスの話


何変哲もなく生きていた

だが、父が死んだ

悲しくとも、生きている限り時は進む

次第に自分の姿が成長しない、していないことに気がつく

人々は老化するが自分は明らかにしていない


何かがおかしい

病気、ではない

周りが畏怖の対象としてみる

自分は一体何なのだ

時日が経ち、体は劣化はしていった

老化ではなく劣化だった。


家の至る所を調べ見つけたのは、錬金術師

父は、錬金術で自身を造ったのか

いても経っても居られず、巷で話題の錬金術師の元へ

自分はなんなのだと駆け込む

「素晴らしい、これほどまでとは」

ホムンクルスであること

これまでの間、人のように生きていたのは信じられないと

矢継ぎ早に言われる

身体の成長が上手くいかなかったのか

それら言葉を理解するのには時間がかかった。

私が、ホムンクルス?

いつから?ずっと?

そう考えている間に囚われていた。


様々な実験らしいことをされた

イタイ、クルシイ、ドウシテ

ホムンクルス、ダカラ?

チチハ、ドウシテワタシヲ、ウミダシタ


そして、動けなくなり捨てられる

自身では指すらも動かせない

事実上の死だ


そう思っていた


——なんて綺麗なんだ


壊れかけの耳でノイズ混じりの音が聞こえた


少年は自身を運び、綺麗にした

自分にはそんな価値は無いだろう

ホムンクルスに人間と同様の治療では治らない

彼はそれを理解しているのだろうか

ボロボロになっても、死ぬことが出来ない

醜い、肉の塊なのだ


もう、殺してくれ


声!喉は無事なのか!

嬉しそうな音が聞こえる

少年が笑っているような気がした


深い眠りについていたようだ

相変わらず身体は動かない

虚ろだった視界が晴れていく

見える、鮮明に見える


目が覚めたかい?

聞こえはしないが、何かを聞いてきたのはわかった

彼はこんなに大きかっただろうか


私を直す気なのか?

——治してみせる。僕は君と生きたいんだ

頷いていた。彼は何がしたいのだろう

私の家に行くといい、私の父の資料がある

そういうと、彼は喜んでいた

——ありがとう、きっと元気にさせて見せる!


また、眠っていた

音が、聞こえる

前より、短い眠りだったみたいだ

彼の姿にさほど変化がない


何故、殺してくれなかった

彼が振り返る

君がまだ、生きたいと願ったからだよ

おはようーー。

久々に、自分の名前を聞いた

あぁ、おはよう。君の名前はなんだ


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