第4話 本気の学童保育指導員!

 ……


 化成品製造企業を辞めた俺は、再び就職活動の為にハローワークへ通い始めるが、前職や前々職ので勤めた、工場勤務はもう良いかと感じていた。

 飽きたと言えば良いのだろうか。しばらくは工場勤務で再度勤める気は起きなかった。


 そして、前職を辞める直前に俺は実家から出た。

 待望の一人暮らしで有る?


 家を出た理由は、単純に母親からの小言に疲れたからで有る。

 前職を半年間休職をしていたが、母親が凄く優しかったのは最初の一ヶ月だけで有った。


 それ以降は小言や、心配する言葉だけと成る。

 俺は実家暮らしで有ったから、無職でも数年間は生活出来るぐらいの貯蓄が溜まっており、俺は英断を下して実家から出て自立をした!


 母親も、俺への対応に疲れていたらしく、大きな反対はされなかった。

 実家から築数十年のボロアパートに引っ越したが、それでも俺の城で有る!


 ☆


 俺の年代は30代に突入しており、世間からと呼ばれる世代に入る。

 おっさん世代に入ってしまったが、心はまだ10代で有る!?


 心が若い内は、まだ人生のやり直しが出来る!

 そう思った俺は、今度は工場勤務以外の仕事を探す。


 だけど、30代の未経験で出来る仕事と成ると限られてくる。

 定番の土木業や設備業。介護職やトラックの運転手など……俺の中でピンと来る職種は無かった。


 そこで俺は、職業訓練を受ける事にした。

 職業訓練を受講している間は失業保険の給付が延長されて、訓練終了日まで支給されるし、職業訓練で学んだ業種での就職もしやすくなる。


 数ある職業訓練の中で選んだ職業訓練は、学童保育指導員養成の職業訓練で有った。

 大人の汚い世界に疲れた俺は、心が天使の子ども達と触れ合い……そして、お金も貰えると言う、学童保育指導員養成の職業訓練に凄く興味を感じた。


 未経験可の仕事でも、土木や介護なんてしたく無かったし、どうせやるなら本当の未知の仕事に飛び込んだ方が良いと、心の中で決めた俺は、学童保育指導員養成の職業訓練をハローワークに申し込んだ。

 失業保険も受給要件を満たしているので、この職業訓練を受講出来れば、訓練終了日までは金銭を心配する必要が無い。


 ☆


 無事に職業訓練の受講が出来て数ヶ月間。学童保育指導員養成の職業訓練を受講する。

 けど、これを受講したからと言って、児童厚生指導員などのおおやけな資格が付与される訳では無く、あくまで訓練終了の修了書が授与されるだけで有る。


 なので、この職業訓練を終了したからと言って、学童保育施設の正規指導員(職員)には成れない。

 正直言えば、ずぶの素人よりかはマシな程度で有る。


 でも、この訓練を終了すれば、非正規でも学童保育施設に採用されやすくなる。

 非正規でも数年間の実績が積めば、児童厚生指導員の受講資格を得られるから、俺は長期的に見る事とした。


 非正規でも2~3年間は一人暮らしでも、生活出来る蓄えは十分有ったし、俺は学童保育指導員の仕事に就きたいと感じていた。

 キツい・きたない・キケンの3K工場勤務より、毎日子ども達と触れ合い、そして勉強(宿題)を教えたり、遊んだりする事が出来る、学童保育指導員に当時の俺は凄く期待していた!


 ……


 職業訓練も無事終了して、後は非正規でも学童保育指導員へ就くために、俺はの学童保育施設の門戸を叩いたが……全てお断りされた///

 理由としては、男性指導員は充足しているとか、男性指導員に安い賃金は支払えないなど、真っ当な理由ばかりに聞こえるが、実際は30代に入った男性なんて要らないで有った。


 職業訓練を受講するのに性別や年齢制限は無いが、実際の職場は性別や年齢制限が当然有る。

 学童保育指導員も大半が女性で有り、男性指導員は本当に少ないし、更に現場に出て指導する男性指導員はもっと少ない。


 ずぶの素人よりマシな俺で有るが、何処の学童保育施設も、30代に入ったイケメンで無い男性指導員を求めてはいなかった。

 けど、俺は折角職業訓練を受講したのだし、せめて短期間でも学童保育指導員の指導員に為らないと思い……俺はに各学童保育施設の門戸を叩きまくった!


 ……


 そんな甲斐が有ってか、俺は非正規で有るが念願の学童保育指導員に為れた。

 今住んでいる場所から、少し離れた場所にある学童保育施設で有るが、こればかりは文句を言えない。


 けど、区分はパートでは無くアルバイトで有り、本当に為っただけである。

 まだ、蓄えは有る程度残っていたが……この学童保育施設で実績を確実に作れるかは未知数で有った。


 はっきり言って、勤務日少ないからである。

 これがパート社員であれば、2~3年で児童厚生指導員の受講資格要件を満たせるが、アルバイトと成ると……かなり非現実的で有った。


 でも俺は、何時か何処かで流れが変わると信じて、俺はアルバイトでも学童保育指導員に成った。


 ……


 仕事自体は凄く楽しく、また充実した日常に成った。

 小学校から帰ってきた子ども達を出迎え、宿題を見たりを食べさせたり、それが終わったら俺は屋外に出て、遊んでいる子ども達を見守る。


 その時の俺は、学童保育の勤務日が凄く楽しみで有った。

 30代の世代に入ったが、それでも俺と、先生付けで子ども達が呼んでくれたり、男性指導員は珍しい事も加わって、低学年子ども達からも凄く好かれた。


 だが、アルバイトなので給料は少なく、また父母会運営の学童保育施設なので、雇用保険や労災には加入しておらず、また交通費の支給も僅かで有った。

 蓄えが無かったから、絶対に出来ない仕事でも有った。


 けど、そんな楽しい仕事も有る日。行きなり終わりを告げる!

 今回は自主退職では無く、解雇予告で有った!///


『今月末で、俺さんには辞めて欲しいの!』


 と、この学童保育施設。中年女性責任者に突如言われた!

 俺は当然。理由を尋ねるが……


『理由は、大学生を来月から雇いたいから…』

『俺さんは父母さん達から苦情が来ていてね……男性でも30代の人が学童保育指導員で居るのは可笑おかしいと』


『それに、俺さんが有資格者なら、私ももう少しかばえたのだけど』


 中年女性責任者は、澄ました表情と淡々とした口調で、俺に言った覚えが有る。

 これをくつがえされないと悟った俺は、その月末で学童保育施設から去った……


 ☆


 これが、一応四社目の物語だ。

 勤めた期間は約10ヶ月だったかな?


 アルバイトだけど、期間は長いから加えた。

 この人生の中で、一番充実した時でも有った。


 俺がもし女性で有ったなら、職業訓練終了後にと非正規でも学童保育指導員に就き、そのまま正規職人に多分為れていただろう……もう、二度と出来ない体験だ。


 俺が女性だったらな……(汗)

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