第3話 将来を消された(!?)化成品製造企業

 ……


 二社目に勤めた漬物製造企業は、約5年働いた。

 最後の方は遊ぶ暇なんて無かったし、貴重な休暇は寝てばかりで有ったからの貯蓄が溜まっていた。


 そして、うつ病には成らなかったが、漬物製造企業を辞めた後は働く意欲なんて湧かなかった。

 なので、しばらくの期間は休養を取った。


 自己都合でも失業保険を受給出来る期間に余裕で達していたし、金銭面も全く問題は無かった。

 母親の方も俺の激務を知っているから、俺が無職でも以前のように文句や苦言を行言ってくる事は無かった。


 ……


 だが、辞めてしばらくの時が経てば……貯蓄もドンドン減っていくし、失業保険の給付も終わる。

 母親の方も、何時までも甘い顔をしなく成ってきた。


 その時の、俺の年は完全20代後半に入っていたし、そんな男が無職では世間からバッシングを受け始める。

 母親の方も『そろそろ、働いたら///』と、怒るのでは無く心配した表情で言ってくるから余計に応える///


 その頃には、心の方も大分回復していたので、俺は就職活動の為にハローワークへ再び通い始めた。

 その中で見付けた求人が、化成品製造企業で有った。


 その企業も実家から近く、また給与面や待遇面も前職と良く似ており、作る物は違うが製造業には変わらないので、これも軽い気持ちで応募した。

 前職から空白期間が有るので当然、面接時に聞かれるが『フリーターが現代のトレンド!』と、当時は言われる風潮で有ったから、俺もそんな言葉を使って空白期間を誤魔化した。


 前職を辞めてから全く働いていなかったのでは無く、短気で有るがアルバイトをした時期も有った。

 応募者が多数いたらしいが、その採用選考に俺は見事に勝ち抜いて、化成品製造企業の正社員に採用された。


 俺の担当はもちろん、化成品製造業務で有るが前職の経験を生かして(?)、俺はその企業で化成品製造業務を頑張った。

 重量物を扱う時もあるが、前職と比べれば体力的には楽で有った。


 ☆


 俺はこの企業で頭角を表し、気付けば……かなり良いポジションにいる事に気付いた!

 仕事でのミスはほぼ無く、事故や怪我(労災)。大きな病気もしなかった。


 製造課長は俺を凄く可愛がってくれて、先輩上司や同僚達も、俺を期待の眼差しで見るように成った。

 化学薬品や危険物を扱う仕事なので危険は伴うが、その分給与やボーナスが良かったので、俺はその企業に骨をうずめるべきかと考える様に成った。


 幸い、同年代のライバルが居なかったので今頑張れば、将来が安泰するのは目に見えていた。


 ☆


 だが、しかし。またここで俺は不運に襲われる。

 俺は配置転換で、とあるラインを任される事に成った。


 そのラインで製造する物は、さほど難しい製品では無いが……そのラインは古株先輩が担当するラインで有った。

 その先輩を、Bと呼ぶ事にしよう。


 Bは何故か、そのラインに執着をして、長年そのラインを守り抜いてきた?

 俺の先輩上司とBは仲が非常に悪く、先輩上司はBを余所のラインに追いやりたかった……


 其処で、白羽の矢が立ったのが俺で有り『俺君をオールマイティーにするために、Bさんが担当するラインも覚えさせる!』の名目で、先輩上司はBに言い切ったらしい。

 Bは当然反対したが、俺が将来期待されている事はBも知っていたので、俺がBのラインを担当する事と成る。


 そして、悲劇はここからで有った。


 ……


 この化成品製造企業は、ラインに依って作る物が完全決まっており、また製造方法レシピも一応は有るが……最後はそのライン担当の腕に掛かっていた。

 機械には当然くせがあり、季節によって配合比率も微妙に変えないと、基準を満たす製品が出来ない時が有る。


 嫌な話をすれば、情報の共有化をこの企業では成されていなかった。

 だからこそ、俺のような悲劇が生まれた!///


 俺はBの指導を受けながら、そのラインでの製造研修を始めるが……Bの中では俺を追い込めば、そのラインを取り戻せると思ったらしく、徹底的に俺を苛めだした!///

 具体的に言えば、コツや要点を絶対に教えない。


 ワザと俺に不良品を作らせ、俺をそのラインから追い出そうとした。

 俺が分からない事をBに聞いても『以前、教えた!』、『僕はそんなにお人好しではない!!』と、仏頂面で言って何も教えてくれない。


 俺はBから、数々の苛めや屈辱を受けた。

 

 ……


 俺は先輩上司に相談をもちろんするが『俺君。我慢しろ!』、『頭を下げて、Bから教えて貰え!!』と、厳しい表情で言い放つだけで有り、俺は先輩上司から裏切られた気分に成った。

 俺は、B以外の同僚達にコツや工夫などを教えて貰おうと奔走したが……みんな最後は『Bに聞け!』と言うだけで有り、俺は一気に窮地に追いやられた。


 そんな状態がずっと続けば、また心が壊れ始める……


 ……


 俺は最後『精神的な疲れ』の理由で、休職申請を出して……半年の休職後。そのまま退職した。

 俺は実績と将来性が有ったので、休職申請はすんなり通った。


 でも、明け後に辞めては意味が無いよな///

 製造課長は凄く俺の事を心配してくれて、復職を何度も働きかけてきたが、Bは何食わぬ顔で元のラインに戻った事を聞いてしまったら、俺の中ではもう復職をする気は起きなかった。


 ☆


 これが、三社目の物語で有る。

 在籍年数は、休職期間を入れて約4年で有った。


 短期アルバイトは期間が短いので加えない。

 その短期のアルバイトは、ある意味楽で楽しかった。

 でも、それだけだ。


 ……


 一度壊れてしまったメンタルは、どんなに綺麗に修復しても、また些細な事で直ぐに壊れてしまう。

 それを痛感した時でも有った……


 そして、折角の将来も不意にしてしまった///

 俺のメンタルがもっと強ければ、Bの奴なんかぶん殴れたのにな!(怒)

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