間章・ロックウッドのNPC達

同じく君達がバカンスを楽しんでいる時の話

これはただの読み物だ。暇なひとが暇なときに読むといい。



冒険者ギルド"スクリュードライヴ"受付


(ギルドは今日も依頼の受注や都市管轄者との打ち合わせ等で多忙を極めている。沢山の人が受付に並ぶ中、次の順番は茶色い髪のルーンフォーク女性だ)


アリナ(以下A)「次のカタ~…って、コルティアじゃん!懐かしいな、おい!」

コルティア(以下コ)「おひさ、アリナちゃん。今日も元気そうね」

A「元気ないとやってらんねぇよ、こんな仕事。で、家出したオジョウサマが一体どうして戻ってきたんだい?」

コ「んもぅ、家出じゃないってば。ちゃんとロックウッドのために働いてるんだから。今日はね、クエスト発注に来たの」

A「新規クエスト? 討伐くらいなら、同機のよしみでちゃちゃっとやってやるぜ?」

コ「あはは、ありがとう。でもね、倒されちゃ困るんだよね、今回の依頼は」

A「おぉん? なになに……んなっ、育成用の魔物を捕まえて来てほしい!? どーゆーこったこれ!!」

コ「あ、アリナちゃん声大きい。。。近いうちに闘技場が出来るって話は聞いてると思うんだけど、その前座競技でモンスターコロシアムもやろうぜって出資者さんが思い付いちゃったらしくてね。で、ウチのとこにも回ってきたの、『出場できる奴はいないか』って」

A「いいじゃねぇか、コルティアんトコの騎獣達なら早々負けないだろ」

コ「いや、出したらそりゃ勝てると思うけど、それって遠隔指示技術ありきのものだし。求められてるのは騎手の試合じゃなくて魔物の試合なんだよね、そんなんにウチの子達出したら一方的な殺戮ショーになっちゃうし…それで困っちゃって」

A「で、冒険者に捕まえてもらった魔物を一から調教して育てようって話か。めちゃくちゃ大変じゃねぇか、面倒ならサクッと断りゃいいいのに」

コ「うーん、そうもいかなくて。出資者さんが結構な大物でね、多分これからトラグティの経済を支える一角になりそうというか、今のうちに絡んでおかないとお得意さんにも迷惑かけそうかなとか思うとね。そんな人の依頼断ると嫌がらせとかもすごそうだし、ほら、そもそも観光用とは言え闘技場作りたいなんて激しめな考えだし…いや、あくまで想像だけどね」

A「そんな奴私がほっとかねぇよ。それこそ、コルティアに迷惑でもかけるんならギルド総出でぶっ潰してやるさ」

コ「ん、んもう、ありがとう。ガイアメモリに嫉妬されそうね」

A「バッ、、そんな感情、ルーンフォークにはねぇよ!」

コ「ふふふっ」



同ギルド内、いつもの場所に溜まる傭兵達


エズリアル「知ってるか、最近西の端にリゾート地ができたらしいぞ」

アーリ「へぇ、こんな土地にリゾートか。是非行ってみたいな」

ガレン「相当遠いな、行くとなれば危険な道のりだろう」

タリック「いいじゃないか! 険しい道のりも、その先の景色を思えば苦にならぬ」

カタリナ「暴力はすべてを解決する!」

ライズ「ふむ、我が探し物も未開の土地こそ見つかるやもしれん」

モルガナ「死を身近に感じるからこそ、生を実感できるのだ」

オラフ「戦いたくてたまんねえぜ!」

エコー「ひゃっほーう! もう誰もオレを止められねえ!!」

カイ=サ「狩りもいいけど、果物も気になる…」

アニー「遊ぼ!あそぼ!」

アクシャン「ははっ、久しぶりだな、仲間と一緒に遊ぶってのは」

グウェン「確か、道中に大きな穴もありましたね」

フィオラ「どうせならそこも調査しようじゃないか」

ザイラ「地面の下には何が潜んでいるのかしらねぇ?」

オーロラ「未知なる探索!いいねえいいねえ!」

エズリアル「おいおい、全員が同じ意見なのって、傭兵団設立以来じゃないか…?」

グレイブス「欲望に忠実なだけだろう」

ケイトリン「いいじゃない、放っておいて事件起こすよりマシよ。全員連れて行きましょう」

シヴィア「そうだな、久々の集団行動だ。気合入れていくか」

エズリアル「うっしゃ、LOL傭兵団、リゾートに向けて出撃!」



ギルド2階・守衛本部 ウサギの象の前で衛兵長の報告を聞く参謀ノクタール


ノクタール(以下ノ)「…つまり、その後ギールを見た者はいない、という事だな」

衛兵長モフミチ(以下モフ)「はっ!衛兵全員に確認しましたがそのようです!」

ノ「ギール…本当に裏切ったというのか…20年近くの付き合いだったのだがな…。やはり、主を尊ぶルーンフォークこそ信頼におけるというものか。あとは金で動く冒険者の方がよっぽど信用できる」

モフ「全くでありますね!ロックウッドのトゥルーンフォークこそが至高! トゥルーンフォークバンザイ!」

ノ「その呼び名はあまり口にするものではない。…アリナ殿はよくやっているが、あの傭兵団の常駐を許可した事だけは納得いかんな。異種族混成の大部隊なんぞ、不和しか生まんだろうに。あの者達の中に裏切り者がいるのではと何度調査した事か」

モフ「そして全く証拠が出ないんですよね、なんたってそもそも素行が悪くてしっかり監視されてるっていう」

ノ「いいんだか悪いんだか…」

モフ「とにかく!ロックウッドの安寧のためにも努力と警戒は怠らずにいきましょう!なんたって我々トゥルーンフォークはついに神を目視するほどに至ったのですから!救世神ララバイ様、バンザーイ!!」

ノ「バンザーイ!!ああ、ララバイ様よ、八方塞がりでついぞダメかと思った私に救いの手を差し伸べた我が神よ…!我らの信仰は、常にあなた様にありますぞ…」

モフ「ノクタールさんは本当ララバイ様大好きですね。そういえば、直々にお話なされたとか、なんと羨ましい」

ノ「フフフ、そうだとも、そうだとも。対"混沌の支配者"戦、誘導から包囲網構築など全てララバイ様の指示通りだ。なんとまぁ鮮やかに怨敵を葬った事か」

モフ「ど、どのような感じでしたか?生会話というのは?」

ノ「うむ、あれこそが一般人の言う"神々しい"というものなのだろうな、明るく眩しく、そして美しい。戦闘力のない、日陰者の私には少し眩し過ぎるくらいだ」

モフ「何言ってるんですか、ノクタールさんの指示あってこそ我々は仕事がこなせるのです!ロックウッドの参謀はノクタールさんにしか出来ませんよ!だからこそ、ララバイ様はあなたにお話なされたんじゃないですか!」

ノ「そうか、そうだと良いんだがな。これが私の、やるべき事だと思おう。窮地を救いたもうた、ララバイ様に報いるためにもな」

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