第3話 ファーナで良いわよ
第3話 ファーナで良いわよ
アルベルトは村に着くと青年団に男たちを渡して、罪人を入れておく牢屋に入れておくように頼んだ。この辺は難しい話で騎士であり、領主であるが小さな村の事、青年団の手助けが無いと村は立ち行かないのだ。
「ところで私はどこに泊まるの?神殿や教会は嫌よ」
ファーナはあるに訪ねた。
アルベルトはヘルメットの中から、情けない様な悔しいような申し訳が無い様な声で告げる。
「礼拝所はありますが、大司祭様を止めるほどの大きさの教会はありません。ですからパブを兼ねている宿屋に泊まっていただきたく思います。もちろん費用は私が負担します」
「アル、そこまで気を使ってもらう事は無いわ。私は浄財と言って寄付してくれる人たちのお金を持っているもの。それと私の事は公式の場や人がいる時を除いてファーナで良いわよ。グリムもよ」
「大司祭にして大地の巫女様のお名前を呼び捨てなんて恐れ多いですだ」
「騎士の礼にのっとり大司祭様に失礼です」
そう言い、軽く一礼する。その時、神官服にも分かるファーナの均整の取れた肉体に目が入る。
胸も平均の少女より大きくはあるのだろう。しかし、大地の巫女と言う事でバストの大きな豊満な女性が来ることを勝手に期待していたのだ。アルベルトの趣味は少し人とは外れているのかもしれない。しかし、大地母神に使える大地の巫女は多産と健康の証である胸の大きな豊満な大人の女性を期待していたのだった。
「アル、今邪念を感じたのだけれど?」
「ファーナ様、その様な事は一切、考えていません」
「じゃぁ、ファーナと呼びなさい」
「ファーナ、これでよろしいでしょうか?」
「丁寧語も無しよ」
「分かったよ、ファーナ。グリムも良いな?」
「分かったですだ」
「ありがとう、アル、グリム」
月夜に美しい笑顔が浮かび上がる。
魅力的だなとアルは思った。
「後はアルの素顔をみるだけね。なんで村の中でもヘルメットつけているのよ」
「パブについたら、ヘルメットを脱ぐよ」
「分かったよ」
「ところでおかしな事を聞くかもしれないが、なんで馬以上に早く歩けたり、攻撃系の呪文、それも大地母神様に関わりの無いフレイムとバレットの呪文を組み合わせて、さらに強力に放てるんだ?もちろん魔力の高さと技術の高さと精神力の高さは認めるけど」
「あーそれはね。加護の力ね。大地母神は全ての母で大地の眷属の最上位者だから、大地に足をつけている限り、魔力は無限に補給されて、効果も強化されるのよ。だから早足の魔法も本来は1時間しか効果時間は無くて、早足で疲れずに歩けるだけの魔法なんだけど、大地の巫女になると大地母神の加護で無制限に魔力を大地から吸収出来て、効果時間も本人が歩きたいと思うまで続くの。バレットは大地母神の眷属である狩猟の神ディアナ様の基本魔法だし、炎を操る魔法は大地母神の眷属の火山神ボルケイノス様の基本魔法だから大地母神の巫女たる私は使えるの。だけど直接の信仰はしているけど、やっぱり大地母神様に請願して、大地母神様に力を貸すようにお願いしてもらう形は取るから、最低でも「フレイムバレット」と最低限の術の詠唱は必要なのよね。だから複数の山賊に囲まれたら、術の妨害を誰かにされて、捕まると思ったから早足の魔法で逃げてきたのよ。回復魔法は念じるだけでもかけられるわよ」
「そうなのか。確かに複数からの攻撃は厳しいものがあるな。後衛の援護と同僚の戦列騎士がいないと戦えないと同じわけか」
アルベルトはぽつりとつぶやく。
「それにしても辺鄙で貧しそうな村ね」
「まぁね。代々この土地の代官をしてきたのだけど、俺の代で領地になったよ。行政に奮闘してもなかなかうまくいかない。水源が無いのもが問題だと思っているよ。そろそろパブにつく」
「楽しみ」
「ゆっくりとやすまれるですだ」
続く
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