インサートエピソード HOLLOW・INPRESSION





ウィックは神になった






ウィックはミトンの妹である





はるか昔、存在したという日本という国





失われたはずの最後の血筋、 名前すら失われながらも時代を越え続けたのである






「王族」、 「皇族」、 「天皇」……   





「神の血筋」!!! 


 




その発現である





彼ら彼女らは家としての名前の消滅を悟り、現存する三つの神器





「八咫鏡」「八坂瓊曲玉」「草薙剣」





これらを構成する神格細胞を一族の遺伝子に組み込んだ





これにより、天皇家…  現レイダ(レーダー)家は必ず超常の因子を持って生まれ、神格の表れとして両性具有である





一族として家の存続でなく、神格の継承を守ったのだ





ミトンが高い適応能力や強力な騎士のような特徴を持つのもそのためであり、





ウィックが神になったことも、 これら全ての神器の因子を同時に発現させたためである







ある日突然神になり一瞬戸惑ったが何故かすぐに納得し行動を始める





「新人には  やる事があるよね?」





ヴヴッ シュッ…!!





クエーサー(宇宙の最大到達点)まで座標転移し見渡す





「……ん、   "目"で"見る"のはもういらないのね…」





瞬きすると目の前に巫女服のよう物を着た十字軍の鎧のような"者"が居た





"来た"のでなく"居た"のだ





『よくぞたどり着いた 到達点へ…   ほぅ、新たに神格と成った者と出会うのもいつぶりか…


そういった者へ道を示すのも我の仕事



そうだな…  3次元空間でそちらの出身の言葉で「挨拶」  先輩方にお目通してくると良い』








「わかりました   私も何故かそうすれば良いと考えからここに来ました」







『ふむふむ、 どうやら其方を引き上げた"モノ"、 なかなかに"ベテラン"と見える


いや…  まさかその権能!  我らが"光"の……!!




何故私がここの番人を務めているかもわかった!




ハハハ…  面白い!  懐かしい"感情"…!!




行くが良い!  初々しい"パンツァー・フロイライン"よ!!




神々は階級は違えど同じ神格  狼狽えてはならぬ




其方には彼の方が……』








「……はい…  私にはこの「………」が… !!」






ここで次の場面へ







先ほどの管理人に通路を開けてもらい通過中、





「……… 止まった…?   時間停止、 宇宙の膨張熱の操作じゃない?

来る…!?」





ヴゥグググ


『我、 時間を"看る"者なり グラデゥ・サイマル・ポドォディなり  単刀直入に言えば…  八つ当たりさせてもらう……!!』





細身な薄く長い布を纏ったエルフ耳の人物が波動のようなもので攻撃をしてくる





デゥヴヴヴ!!  「!?」





ドバアッ!!





モロに喰らい身体の大半が吹き飛ぶ





『フンッ!  この程度…  エイリアスも使えず、輻射波動すら避けられんとは……』





ボソッ… 「八咫鏡……」





シュッ…!   




瞬時に完全回復する





『瞬間修復…  いや、"鏡"…… "事象"の、 "真実"の保存と入れ替えか… 時間を司る我の前でそのような権能…!  貴様、 馬鹿にしているのか!? 』






「八咫鏡」 鏡とは元来真実を写すとされる これは鏡に写っていれば真実であるとも言える

この鏡に事前に無傷の状態を写しておけばいつでもその状態に対象を戻すことが出来る

更に、細胞に仕込まれたもののため鏡そのものは必要でなく反射さえあれば良い


例えば斬り合いの最中でも剣の反射が一瞬でも起これば全回復する







「フフフ……  次は私です  先輩!!  八坂瓊曲玉!!!」





かつて、ある大神同士の契約時に交わされた勾玉

全ての神はその上位神格の契約に干渉することはできない

結果として決して破壊することができない

獣の腹に飲み込まれていた時期があり、その際の変容により自由に動き回る野生味を獲得した






ビュシュッ!  ビャッ!ビャッ!





ガキッ! キンッ! 『はあっ!』  カキンッ!





ウィックが飛ばしたビーム状の勾玉をグラデゥが全て弾き飛ばす






グラデゥが出す輻射波動と八尺瓊勾玉で押し合いながら互いに近づきウィックが聞く






「何故か!?」





『うるさい!  貴様が突然神格を発現するから……!!』






勾玉の防御範囲を波動がすり抜け体を削るが勾玉の反射を使い八咫鏡の能力で回復する






『こしゃくなあ…!   その"反射"、 いや、 "投影"! 止めさせてもらう!!』






「目が!?  そうか! "光"の時間を止めた!? これでは反射が…  目は… こうか!!」






『ハハハハ  対応するか!   なかなかやる!』







すぐに視力によって"見る"ことを諦め、先ほどの管理人を見つけたときのような見方をする






『だがもう回復はできまい!!』






デゥヴヴヴバババババ!!!!






周りが見えるようになった瞬間グラデゥの波動がウィックに炸裂し、






『フゥハッハッハッハッハッ!!!!

ここまでの損傷、  貴様のような未熟な神 修復には時間がかかろう…  さらばだ!!』






スッキリしたグラデゥが帰ろうとする


そこを、




「待ってくださいよ… 先輩!   こっちも好き勝手やられて黙ってるほど…  お人よしではないんで……!!」






半分以下の身体の体積しか無いウィックが呼び止める






『減らず口が……!!』






「八咫鏡いいっっ!!」






『それは無駄だあ!!』






波動を手に纏めグラデゥが手刀を繰り出す






ガギイイイイイン!!!!






『なあっ!?』






「……どうです?」





なんと、またも全回復したウィックが目に見えないモヤがかかった剣で弾き返したのだ

更にこの斬撃、  一撃のはずが衝撃、重さ、気配共に実に八回分の威力があった それも全て別方向からである




すぐさまグラデゥは体を修復する







「……草薙剣   "火"は私に…… 」






スパバッ!  


半透明のリングが飛びグラデゥの横を掠める





「チィっ!  精度がまだ!?」





『真空光輪…  当たらなければなあ!!  こうやるのだ!!』





スパパパパババババ!!!!





「八尺瓊勾玉!  フレイム!  反射っ!!」





ビュッ!   勾玉でガードしつつガード時に弾かれた波動でグラデゥの視界を邪魔する





「そこっ…!!」




距離を見極め草薙剣を突き出す





ドキャッ!  わずかに当たらなかったがウィックが手首を捻る





『惜しかったなあっ……   グフゥッ!?』





ドゴオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!





草薙剣の剣から周りに炎を纏った紫のビームが発射されグラデゥの脇腹に大穴を開ける




すぐさま飛び退き、損傷部の時間を巻き戻し回復し片手に真空光輪 片手は手刀 更に背中の触手のようなものの先をナイフのように変化させ斬りかかる






ガギイインッッ!! ガッ!  キンッ! ドガガガがッッッ!!   ガンッ!!   バキイィィィンッッ!!!





怒涛の打ち合い   




ウィックは草薙剣と勾玉で攻撃、防御  グラデゥは不意の攻撃は波動で受け流しその他全て避ける

互いに、仮に損傷しても鏡や時間操作で治ってしまう



しかし、ウィックの使った草薙剣の炎やグラデゥのまだ使っていない、自分たちより上位の神格の権能、能力による攻撃は、喰らえば回復はできるものの時間がかかる



いくら神といえ、次元レベルで分解されれば再構築は不可能(例外もいる)





神の戦いではこの次元神格攻撃使用のタイミングが、 最も重要と言っても過言ではない  






斬り合いながらグラデゥが話す





『なるほど…  "火"… いや、 本質は""か…

 やはり我らが御光の……』






「私の剣 草薙  これは確かに権能は"火"(光)  ですけど、  長く水に浸かってて、 泳げないわけがないんですよ!!」






ビシイイイッッッ!!!





『ヌゥッ!』





突然グラデゥの動きが止まる  


よく見ると草薙剣の柄から流れた水がグラデゥの元まで流れ、体を縛っている!!



ウィックは草薙剣に手を沿わせ、 スルリと横に手を流すと 草薙剣と同形状の剣が出現し、更に流れた水が手首や肘辺りに固定し 二刀流時のパワーアシストになる






「これで攻撃は倍ですよ… 先輩!!    イキます!!!」





ビュオオッッ!!   モヤが晴れ正確な形状がわかるようになった草薙剣を二本構えグラデゥに突撃する






『草薙剣』  


太古、 神代、天界を追放されし神が巨大な8本の首を持つ邪竜の腹よりこれを得、 後の時代では強力な若い神がこの剣で数多の国を滅ぼし、荒ぶる神々を鎮めて周った

そして、その神が窮地に陥ったときには一振りで一面の草を斬り、進行方向と逆に火を放ち追っ手を遮ったとされる

最後には、ある母子と共に海に沈んみ、 その後模造品が作らた

そして、模造品にも関わらず、これが火の権能を持つようになり 代々受け継がれた  主な伝説である


しかし、 実際には後の一族の調査で発見されていた それら二つは融合し 火と水 二つの権能を持つこととなった


この剣は使用者によって適した形状になり、状況に合わせ二刀に分裂する

積み上げた数々の武功、伝説 荒ぶる神々を鎮めた事実 それらから吸った血により鍛え上げられ切れぬものはなく、破壊も不可能

あらゆる神格や物質を斬り裂き、攻撃や術を跳ね除ける

八つの頭を持つ邪龍の権能も併せ持ち、一撃ごとに八連撃が加算される


最大出力の突きを行えば先端から周りに龍のような紫色の炎を纏ったエネルギーが発射され(ノヴァフレーム)、基本的にどのような階級の神格、権能も破壊する


絡め手として水の権能を使用でき、 生み出される水はただの水でなく神格物質であるため上位存在相手にも拘束や侵入に使用でき 自身の防御にも活用可能

飲むことも可能 集束すればビームにもなる



攻め、守る最強の剣である






「はああああっっっ!!!!」






『『そこまでだ』』






「えっ!?  ちょっ!」








ズバッ! ドスッ!……ドドドドドドドドドドドドドドドドッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!






突然 ウィックとグラデゥの間に何者かが出現する

ウィックは反応しきれず攻撃してしまい2連撃+十六連撃をモロに喰らわせてしまう






「だっ! 大丈夫で……  か、体を… 動かない?」





『貴方は、  いやっ!  貴方様は!!!』






ウィックは体が動かず、グラデゥはすぐさま跪く


ウィックもその人物のあまりの"プレッシャー"に跪きたいが動かないのであればどうしようもない






『『我、 ARK・FOCUSRIGHT・MAXIMUM (天照大神)

其方ら 戯れにしては、過ぎているぞ』』







『も、申し訳ございません  我らが御光…!』




「えっ!?  えぇっとお…  すみませんでしたっ!!」






ウィックのスットンキョウな返しにグラデゥが驚きや焦りを通り越してもはや

『あ〜  終わったわ〜〜』

と考えていると、天照大神が話し出す





『『まぁ でもねぇ〜』』





いきなりフランクな雰囲気だが二人からすれば内心ヒヤッヒヤである






『『ウィック…  レイダ・ウィック…  君の剣、 懐かしいねえ〜   モノは随分変わったようだけど、 その太刀筋、豪快でヤンチャなカンジ…  あのガキンチョがよくジャレついてきてね…… さっきからみんなで見てたよ』』





「え?」  




目だけ動かし周りを見ると、 今まで一切気づかなかったが大勢の神っぽい人たちが囲んでいる






『『ごめんねぇ  グラデゥが怒ったのは時間操作をミスったからなの  君の神格発現に驚いて確認を取ろうとしたら、 弾みで君の姉を違う時代に飛ばしちゃったみたいで…』』






「ッッ!!」





ヒュンッ!   ビュオッッ!!





『『やめろと言った…!』』





ビタッッ!!





まさに鶴の一声  姉の話題が出た瞬間、八咫鏡で拘束を一瞬解きグラデゥに斬りかかる が、天照の一言で直前で止まる






『『最後まで聞く いいね?  ……悪気はないんだ

 多少面倒だけどグラデゥにも元に戻せる なんなら、私が今戻しても構わない  ただ、』』






「なんです?」





『『本人が相当楽しんでるみたいでね  帰ることなんかほとんど考えてないみたいなんだよね  それに、彼女がいてくれた方が後々の歴史、 とても楽しくなるみたいなんだ』』






「お姉、ちゃん……    そっか、 私もこんなじゃ…  でも、 なっちゃったものは仕方ないってことなんですかね…

お姉ちゃんが楽しんでるなら… 私に勤めがあるのならそうします……!」






『『そう言ってくれるなら…   グラデゥも良いね?』』





『ははああぁ……』





『『ならこの騒ぎもひと段落だ   さあ! 紹介しよう皆の集!!   この若き神  レイダ・ウィック!

かつて我に挑んでは負け、ついには地上に降ろされた"ヤツ"!!  我が父の交わした品! 我が不安定な折、救い出すきっかけとなった鏡!   これらを宿す全く新しい神……   フフフ… 天界も、 面白くなると思うよ?   いつぶりだろうね! こんな感覚は!!』』







『『ウィック、グラデゥ  今回の騒ぎは不問としよう   加えてウィックちゃん』』






「はっ! はいっ!?」(急なちゃん付け!?)






『『君、 付喪神になってみない?  正直今何とかの神と何々神 とか結構埋まってて、  それに君の場合解脱だとか精神力とかじゃなくて因子で"成った"感じだから仕事も難しいと思うし』』






「は、はぁ…  仕事があるなら、構いませんが…」






『『うん、 ならウィックちゃん  お姉ちゃん(ミトン)の剣(スパイド)  

宝剣 HOLLOW MAXIM ZAPER に付いて守ってあげてね  たとえどの時代、 どんな姉でも、ね 

困ったらいつでも頼ってきて良いからね  まぁグラデゥにもたまに見に行かせるから安心してねぇ〜』』






実際天照大神ほどになると、別にグラデゥを行かせるまでもなく状況はわかるが…


神は案外暇なのであった








「ええっとぉ…  とにかくわかりました!   行ってきます…!」






『『うんうん、  あっ、そうだあ  そっちには君や私たちとは違った"成り方"の…  神のようなモノもいるけど、 せいぜい楽しくやってねぇ



行ってらっしゃ〜い』』






シュパッ……






『『急に神になってあそこまでの力と順応性…  さぁ この私、 彼女の判断… どう転ぶかな?』』








インサートストーリー  HOLLOW・INPRESSION 完

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桃色の星くず 〜女好き少女、エネルギーソードと魔法の異世界でロボット乗りの騎士で国家最強目指すことに〜  粗製フィーチャー @morinosu

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