第8話 スターウェアージャケット 後編




前回のあらすじ



決闘中、謎のY_ROI集団『電球バルブ』 が突然乱入


何故か逃げられない観客を守るべく未知の敵へと向かっていく二人なのであった



――――――――――――――――――――――――




世界各地で活動しているとされる謎の技術者集団




『フォーカスライト』




全ての構成員、騎体、機体に電球のシンボルマークが入っており、各国間の秘密保持の意味もあり公的な場では便宜上の呼称として


電球バルブ


と呼ばれる



構成規模、思想、所属、目的 その他全て謎であり、世界各地の全ての組織に対し区別なく突然協力を申し立て完璧な仕事を行い報酬をもらい消えていく

活動内容でわかるのはそのぐらいである




目的はロストテクノロジーの存続、修復、検証

加えて、

それらの技術開発の祖の1人であるレーダー博士が子供の状態でこの時代に来た時に、歴史通りの人物になり元の時代に戻るよう手助けすることである

創立者は本編過去、ミトンのいた時代より未来のレーダー博士(ミトン)である




――――――――――――――――――――――――




FiFiFiFiFiFi!!!!




「飛ぶのは、 どうなのよ!?」




「ジャンプよ!  長いジャンプ!!  ……ちぃっ!」

(ここにきて、やっぱり確信になってくるわね あまり認めたくはないけど、あのシリカ様とこの子なら …ね)




先程出てきた子機が軽さとフローターを活かした大ジャンプと肘と背中の皮膜のようなもので滑空することを利用した不規則な動きに2人ともついて行けていない

何より敵が多い




そして、カーリーはミトンの戦い慣れ、その他の立ち振る舞いが、どう見ても足りていない事を薄々気づいていた

極たまにY_ROIの同化の影響で一夜にしてある程度の乗り手として成長することがある

そして自分がそんな奴に苦戦していたと気づき一瞬憤るがシリカの推薦であろう という予想でどうにか持ち直している

(現在生徒達はシリカのスピーカーからの指示でスパイドなどで比較的壊しやすい非常口を破壊 ある程度の待避をしている)




「だからってなによっ!!  ジャンプならばっ…… そこっ!!!」




ピピッ! ピピンッ!  おうよその着地予想地点の周りにレーザーを撃つ




ジュッ! ドロォ〜  地面が少し溶け、緩む




じゅぶぶぅ〜   グラッ  




着地した敵機がそこでバランスを崩す




「イケる!」 とミトンが一歩カーリーから離る その瞬間気づく

(そういえば上に一騎いたのだ!)と




「……まずぃっ!!」  




ジュバッ! キンッ! ほんの少し空いた2人の隙間に上にいたY_ROIがすべりこんできたのだ

すでに大型の背部アタッチメントはパージしたようで

極めて身軽!!




グルリイッ!!  手を横に広げ回転する




「早っ  きゃっ!」  ガキイィンッ!!




ニ騎とも吹っ飛ばされ空中でどうにかバランスをとり着地

後、すぐさま被害確認




「確認!」  『イエス 胸部各部 破断寸前 後一撃でシャッターまで丸見えです!』



「こっちは!?  ええっと… 胸部フライヤー、左腕装甲各所ひしゃげてる……!?  ダメィまだナッテない ヨっ!!!(ダメージコントロールがイマイチだ!)」




シュバッ! キキンッ! 大型騎が飛び上がり子機が降りてスパイドを展開




「揃ってる!? 」  「当たり前よ!  無人機か!?」




あまりにタイミングがピッタリなうえ、かなり無茶な動きをする相手に無人機なのでは? と考えを口にする

もちろん焦りが大きい (しかし、実は有人機である)





「なら、遠慮はいらない……なっ!!」  





ギンッ!! ギンッ!!




…… グシャッ! ベキッ!!  ピピピピピ…… ドドンッ!!!!




どこからか声がした直後斬りかかろうとしていた子機二機が首元に杭のようなものを撃ちこまれ一瞬間を置いて爆発する




「誰が!?」 「スパッドを座標に!  やってくれ!」



ピピッ!  データが転送され、 「ええ!? こうっ、 よねっ!?」




バッ! 「それでっ!」  ギンッ!!  ジュワッ ヒュヒュッ


スパッドの刀身に当てられた弾が真っ二つになり



ギュルッ! ドスッ! ドスッ!




背後にいた子機に当たり 今度は切ったため爆発はしないが二機とも当たりどころが悪かったのか動きが鈍っている


その後、子機と大型騎は距離を取り一旦仕切り直しといったところである




「それにしてもあなた 技術タイプだったのね、ですね  こう言ってはアレですが、意外です  エイトー殿?」




「返す言葉もないな  あっ、 呼び捨てとタメ口で結構」




「じゃっ、 そのままヤッちゃってぇ〜」




「すまないがこれ以上は(敵が回避したら観客や建物への被害が広がる 今やったのは支援のためしょうがなく そのため)支援できない」



「あっ、 やっぱりそう?  ならどうすれば良い!?」



「そろそろ(敵が)くるわよ! ミトン!!  …あっ! このアリーナ、広域仕様で座席がせり下がるはず……ナイフォー 、容量は!?」



『かなり強力なハッキングです……いえ これは、無線でなく直結です! どこかで接続している機体がいます!』




「エイトーっ!!」 「わかった! 場所だけでも……」




「ならこっちは数で対抗ね…  カーリーっスピーカー繋げて!」




「!… わかったわ!」 カチッ!



キイーンッ!!



『あー あー  皆さん!  敵有線でのハッキング犯の場所割り出しをします!  皆さんのワルツの容量を間借りさせてください!  私の騎体からスーパースコープを飛ばすのでそれを中継に早く繋いでください!!!』




ガキッ!  キンッ! ババッ!!   ジュバッ!!


ガラガラガラガラ!!!



子機が攻撃を回避し後ろの観客席に着地し、そこで踏ん張り飛び上がる


この一回の接触ですでに観客席はボロボロである




「まだなのっ!?」 「くぅ… だれもリスクがあるモノに自分のワルツは繋がせないか!」




「ちぃっ!」ガサガサ カシユッ! 「ぐうっ……こうなったら、  うっ、ンンッ んっんっ!」



咳払いでチューニングし、



『早く繋げないか!!  接続も表層だけなら情報抜きもウイルス感染はない!  どうせ正規軍が来るのを待ってんだろうがなあ!  見てみろ! この建物はいつまで持つ!?   せっかく生徒だけで倒すチャンス!  スゥ〜……』



とシリカの声真似で怒鳴りつける


その後 もう一度


息を吸って大声で、




『カッコつけてやろうと思わんかあっ!! ここはなんの学校だあ!?   騎士だろう!  出来ることが転がってて保身のためにそれをしない   それが騎士かあ!   違うだろう!?』




数秒後   ピピピピピ キンッ!  モニターに座標が出る



『ハーハッハッー!!  やれば出来るじゃないの!!』



「エイトー!」 





「わかっている!!  そこっ!」




ドドオーーンっ!!




少し離れた所で爆発がしたのを確認し




『さあ もう一仕事!!  あんたらのいる座席を下に隠すぞ!  早くアクセスしてチョチョいとイジってやれえ!!』




ガガガガガガガ………  数秒も待たずに降下が始まる



ちなみに声真似はすでにやめているが、一度やってしまった生徒達はもういいや と作業を続行してくれた




「さっすが全校生徒分の容量はすげぇなあっと……  

イヤイヤでも使っちゃったなぁ  薬……



さあっ!   これでやりやすくなったわね!!」

(それにしても妙ね  なんであのデカブツはあまり動かないの? あのスペック、まとめてこられたら私たちではムリなこと 向こうもわかっているはず ……遊ばれているの? そもそも目的は何……?  あれ?)




「ミトンっ! よくやったわ! まさかシリカ様のマネで乗り切るなんて!!  それにしてもやはりシリカ様! マネとはいえ一言でここまで…… ミトン?」




「あ、 あれ?」 グラグラ… ガクッ!




急に膝から崩れるミトン




「どうしたというの!?  まさか! ……ナイフォー!!」



『こっ、 これはっ!  彼女! 先程の解析、40%以上をあの一騎だけで賄っていたようです…!!

いくら騎士と騎体のコンビでも、耐えられる演算量を完全に超えています』




「ミ、ミトン嬢はどうかしたか!?」



「どうやら、さっきの演算  結局人が集まらないことを踏んだミトンがほとんど1人でやったみたい ……まったく、どんな親和性持ってるんだか……」




「そう呑気なものか!?」  




「とにかくデカブツが大人しいうちに子機を倒すわよ! ……シャクだけど、ミトンが起きた時の露払いよっ!!」




「くぅ……!!」




――――――――――――――――――――――――


ロボアニメ特有 謎対話空間にて




「おぉい そこの嬢ちゃんよぉ  初めまして 俺シリカの父です」




「どうも… お義父さん?  いやいや違う! ええっとぉ あっ! グローさんだっ!   それで、なんの御用でしょう?」




「ハッハッハッ!  お義父さんかぁ…… ふざけたことぉぬかしてんじゃあねえぞガキっ!!」





「えっ!?  ええっと、 すみません!!  漢字表記がおかしいだけなんですよお!!!」





「あれっ、 そう?  ならいいや」




「良いんですね……」(あっぶねぇなあこの家族  シリカさんも若干こんなだよなぁ)





「よし! 本題だぁ   まぁたいした用はないが…」




「なら帰りますね  向こう戦闘中なんです」




「待った待った!  あるから! ええっと…  用というよりようやく"繋がれた"からせっかくだからな」





「ああ さっきの演算の  確かに騎体のポテンシャル、全部使った感じはあったわね?」




「そう だが、無理もしていた   結果としてシンクロ率を高められたが、褒められたものではないな」




「アハハハ… 気をつけます   それにしても、なんか上書きしてくるのってどうにかならないんですか?」




「あぁ それねぇ   気持ちは分からんでもないが、こればっかりはもうそういうものとしかいえないからなぁ  メリットは、互いにとって悪くないと思うんだが  そう簡単なことでないのは、 まぁわかる」   




「ならせめて、 過度な乗っ取りをやめてもらいたい!」




「その事については"甘ったれるな"としかなぁ」




「えっ?」




「そう! 甘ったれている!  思い出せ さっきは何故持っていかれた!?」




「えっ!?  それ、は…  はっ!  迷った…!  どの程度かわからない相手に武器を抜くことを迷ってしまった!!!」 




「まずそこからが未熟!  何故一目で相手を見極められなかったか! そこが未熟!!  未熟だから精神に"隙"が生まれる!!」




「未熟!?  隙!?」





「Y_ROIのシステムはな、 一度強い乗り手を得ると次の奴もそこまで持って行こうとする

この意味がわかるか?」





「えっ!  じゃああの"上書き"を止めるには… 貴方を、超える?」




「そうだっ!  だが大変だぞぅ?  なんたって俺はナイトマスターだしな!!」




「や、 やりますよ  私は、"記憶"じゃない!!」




「ハハハッ 楽しみやなぁ  おっとじゃあ話を戻して、武器の話か……」  




「仮に相手が分からなくともなるべく早く倒してしまうため必勝の意気を持って相手に当たることは"悪"でなく! 誰もが納得する"理"がある!!」




「…なにより、 測り損ねて負けたら "カッコ悪い"だろぅ?」




「っ!!  私の"考え"と同じ!!」




「当たり前だ!  この騎体に乗ってきた者たちは全て  それに全てをかける意思を持ったもの達だった



"カッコよく"ありたい!!!



そして、その意思を強くするたび、騎体も答えてくれる



さあっ!  行ってこい!!」

(誰か遠隔で騎体をチューニングしている? もうそろそろ帰しても良さそうか…)




「はいっ!  なんか流れにずっと乗せられっぱしで雰囲気だけの話だった気がしますが行ってきます!!」




「あちゃあー 痛いとこつかれちゃったなぁ  おっ! そうだ 記念におまけ付けちゃう」




「おまけ?」




「まあまあ  それはお楽しみ!   


ハーハッハッー!!  


さあ! 新たな乗り手よ!  


Y_ROIを驚かせ続けろ!!  俺を超えてみろ!!


誰よりもカッコつけてみろ!!!



仲間が呼んでいるぞ!!!   




今行けばカッコいいだろう!!!!




気が向いたらいつでも来ていいからなぁ〜〜!!!」 




――――――――――――――――――――――――



場面は戻りミトンが倒れた直後



「起きてくれ!  どうしたと!?」



「考えなさい!  限界で倒れるのなら演算中にああなるはず! しかしなっていない!  けど騎体との過度なシンクロナイズがあったのは確かっ…… ならっ!!」




「そうかっ!!」




そう言いエイトーは中距離までレンジを下げるべく狙撃位置から大ジャンプし、空中から子機を牽制する




ガッガッガッ! バッ!!  ヒュウ〜  「当たらなくとも!!」




ギギギンッ!!  宣言通り当たらないが問題はない




弾を避けさせることで動きを予測し、それを走り出していたカーリーが撃破 もしくは飛び退いた敵をエイトーが狙撃する


とりあえず三機撃破である 

残り子機は二機である




「エイトー任せた!  デカブツがあっ!!!」




カーリーが急接近し大型機にハンマーを振る



攻撃をする動きを見てた途端、今までピクリともしなかった大型機がものすごいスピードで迫ってくる



驚くが、 それにハンマーを合わせる




ブオッ!  


既にミトンによる指の損傷からの重心異常は修正済みである




スカッ!  もちろん当たらないのは承知! しかし 相手に攻撃をさせない様連続で攻撃は可能!!




数回振り、ハンマーを回転させるなどもした後




グググッ… 少し態勢を下に下げ横に大振り




同時に左手の仕込みスパッドを展開!




左手をハンマーから滑らす様に離し、先に切り込む




敵はそれを受け流すが、ほとんど間を置かず右手だけで振っているハンマーが到着する




「イケる! はずなんだけど……」




キッ!  ギャギャッッ!!  スカッ!



「そうよ、ねっ!  でもっ!!」




それすら見切り敵が後ろに回り込む  のを見込みハンマーを片腕だけで振ったバランスのズレを利用し騎体を回転させ、



「ナイフォー!  ハンマーパージ!!」『イエス!』



と叫び、ハンマーを柄だけにし槍状のスパッドにし、おそらく弱いであろう敵機の盾の様な腕の内側、 接続部を狙う



はずであった




ギギギッ パキパキ…… バキンッ!




ビー! ビー! ビー!




「!!」  『ダメです! ミトン様との戦闘で負った伝達不良があります!!』




なんと取れない!  ハンマーが!!




しかしカーリーも一応優秀  そこからでも防御に入ろうとハンマーを引き寄せようとする




だが! 元々よろめいた動きを利用した攻撃  敵にとっては全て隙に見えている!!



「早くしなさい!!」   ズギギンッ!!



!?  バッ!  大型騎が避ける




「…… まったく、  本当にお嬢様なんだな?」




「褒め言葉として受け取っておきますわよ?  それにしても……」




「どうした?」   




「いえ、」

(いやぁ あっぶねエ〜 アイツ、呼んだら助けてくれたってことはあの子機相手にして余裕を持って倒せたってぇことよね  いくらなんでも強すぎない? 今は良いんだけど…… しょうがないわね!!)



「エイトー  いくわよ  えっ?」




バゴオオオオンッッッッ!!!!  




少し吹き飛ばされミトンの少し後ろで立ち上がり爆心地を見る




「っ!!  自爆!?  そうか… そうよね……!!」




今まで意識的に無視していたこと

1体から5体の子機が出るなら大型機はまだ少なくとも一体はいる  そして、そう考えれば子機の数が合わない。まだ居る! どこかに!!



それが最悪の形で確認されたのが今の攻撃

恐らくアリーナの屋根の上に隠れていた子機がエイトーに飛びつき自爆したのだ




「それに! まだ2、3体はいる!?」




「イケるの?  でも! 全体の"希望のぞみ"であるならば!!


"カッコつける"ことが……!!!」




キンッ! キンッ! キンッ! キュッ! キチッ! チンッ!




走り出し  ガシィッ!!  ローゼスターのスパイドをひったくり(ハンマーは手にない)、装甲をパージする

これで太刀も扱える


飛びかかってくる大型騎に一瞬立ち止まり回転で攻撃を避け通り過ぎる

その時オーバーバウムは前屈みで右手を肘で曲げて上げ、左手をそれに添える構えをとる




「イケたわね……  」




ギギギッ…… ズルゥ   




腰から上半身がズリ落ち、 

腰の構成素材がヌルリと流動し 瞬間治る。



キュルルルルゥゥ  ピトッ




「……… はあぁぁぁぁぁ……(クソデカため息)


そろそろ帰ってきなさいよ……  帰ってきなさいよ!! ミトン!!!」




――――――――――――――――――――――――


またも謎空間





「いやぁ  意気揚々出てきたが、道わかんねぇっすわー  どうすっかなぁっとぉ……」




『さあ ミトンよ  お前に小難しい設定やらチューニングなんぞ分からんだろうからわかりやすくしたぞ  ここを超えてみろよ?』

(ミトンには聞こえていない)




「なんか頭痛いし、 あれぇ? なんか考えがまとまらない……?」




『それは騎体とのリンクを高めるために色々イジってるからだな

その状態で立っていることが

チューニング完了の証!! 

耐えるのだ!  耐えて見せろ!!  "私達"に!!!』




「……んっ?  いつ座ったっけ?  あれ、いつ横になったんだっけ……   

行かなきゃ ……? なんで行くんだっけ?  何処…へ……?






「「ミトンッ!!  起きなさい!  ここで動かない事は"カッコ悪い"事よっ……!!!」」





"カッコ悪い"……?  …………それは、ダメ……



何か、聞こえる?   まだ寝かせてはくれないのね……


まぁ、いいけど、どうやって行くかなぁ」






「あ、 ぅんっ?   ピーチコメットの、スパイド…… いつから手に…」




「ふんっ!! んぐぐぐぐっっ!!!」




『立ったか!!』




「暗闇で私には、この手の刀のみ!  であれば!!  できる事は一つ!!!」




グググッ……



居合を構える  カーリーに放ったものと同じ構え




しかし! 今回は流されてでなく、 自分の意思からのもの!!




(視野がどんどん狭くなる いや、暗くなってくる… 体中痛い  でも、こんなに暗いのに何処を どう切ればいいかハッキリとわかる!!

早く行ってカッコつけるぞお!!!)




「ダアアアアアアア!!!!!」





カチッ   ズバアアアッッッ!!!! 





――――――――――――――――――――――――




ズゴゴゴゴゴ  ガチンッ!! ヒュヒョォォ…  ヒュヒョォォ……  キュキュキュ、チキンッ! チキンッ!




「ふぅ… 戻ってきたわね   周りは?……なんで視界が暗いの!?  うわっ!?」




ガンッ!!  ガギンッ!!





「何が!?  え?」




ズルりと視界が開き、ミトンが叫ぶ




「何よ… これ  これは!!!」





カーリーのオーバーバウムであった



オーバーバウムが敵の攻撃をミトンのローゼスターに被さり、右手にスパイドを握らせたまま受け続けていたのだ




オーバーバウムがズリ落ちた隙間から敵の攻撃が見える



「そこなら 私で… なに!?」




ガシィッ!



一旦スパイドを離して攻撃を受け流そうとするが、離せない


オーバーバウムが握らせたまま離してくれないのだ




メギッ!!  バキャアッ!!! 




左手が切り飛ばされても緩めはしない




「離しちゃぁ、 ダメよ…!!  私が!  持たせている……  これで勝ちなさい!!」





「…… ッッ!!」





ズババババババッッッ!!!





ローゼスターが立ち上がり その瞬間敵が切り刻まれる



カーリーにすら切った後の敵のオイルのと 何故か急に出始めた装甲の隙間からの桃色の粒子?のようなものの軌跡でなんとか追えた程の早さである




「まったく カーリー、 怒鳴るもんだから 目が覚めちゃったじゃないの?」




「はんっ!……  誰が……ゴホッ! 起こしてあげたんだか……!?」




「まぁ 休んでなさいよ  どうせまだ終わらないんでしょ?   

……… ええっと、 貴女、 "カッコよかった" わよ」





「…… ははは それはどっちが……」(ボソッと呟く)




キュシャアアアアアアアア  ドゥルッ!ドゥルッ!ドゥルッ! チキッ キンッ! キュイキュイキュイキュイキュイ!!!!!




「騎体が軽いしエンジンも良い感じっ!  いけるわ!!   それで相手さんは!?」




あと何体いるのか? と言おうとしたが、まさかの瞬間再生で立ち上がっているので唖然とする




「……あれえっ?   あちゃー  どんな演算と親和性って  おおっとぉっ!」




ガチャッ!  ギッ!……ギギギ ガギッ! キンッ! 




敵からの蓮撃を受けきり鍔迫り合いする

装甲の隙間からの謎の放出現象は続いている

現在絶好調のミトンからすれば今の攻撃よりなんで相手が演算能力と親和性が高ければ損傷が治るのかわかっていることに対して

「また同化かよ!?」という考えの方が大変である




「なんだかパワーも上がっちゃってるわよおっ!!」




と、ハイテンション気味に言っていると




ガチッ!   ビビッ ヴヴンッ!  と敵騎のカメラアイが光り、色が赤から黒縁の赤の二色に変わる

その後、フェイスパーツが外れ、口のような排熱口と髪のような放熱索が展開されエンジン音も変化する




パチッ パッ! パッ! 


ツカー… キンッ!!   ツカー… キンッ!!


ギュキュウッッッ!!! シャリシャリシャリリリリリリ!!!!!




そしてその状態の敵騎がもう一騎降りてくる!




「パワーアップって感じよねっ……!!  それに二騎同時にね!?」




ババッ! キンッキンッ!




バックステップで後ろへ引き、しっかりと構えなおす




「こっちもよ…   ハアッ!!」




カシュッ… ファサァ〜  背部スタビライザーの根本が開き、それに沿って放熱索が伸び、束ねられ



ドキャキャキャキャキャキャキャ!!!!!

キャアアアアアアアアアッッッッ!!! シュヤアーーーーー  キンッ!! キンッ!!  キイイイイイイイイーーーーンッッッッッッッ ツキキキキキキキ




同時にエンジン音のピークが上がり機械らしい感じから叫び声か耳鳴りのような音になる




パチッ! パッ!パッ! ビチッ…!  ババババチチチチッッッッ!!!




先ほど出た放熱索からピンクと赤の放電が起こる




カチッ  ググ ガチャッ!  頭部装甲と目元が変形し



ピキンッ! 四つ目になる





その間0.5秒未満!!




「計算が凄すぎるというのならっ!!  はあっ!!!」





ドガドガッ…… バンッッ!!




斬撃を出せば爆発音のような音が響く



一騎の攻撃をかわしつつ、同時に攻撃してきていた、先ほどカーリーと戦闘していた方を

右手のスパイドで右斜め上から左下へ斬り右へ水平に斬り右回転

周りつつ左手のスパッドで水平に斬る




圧倒的なスピード! パワー!!




「……治らないでしょう?  演算速度を超える攻撃は、治せるわけないわよねぇ?……   



解体しなさいっ!! この端材がああっっ!!!」





バララララ  ドガアアアアンッッッ!!!




一騎爆発!  しかし、 パチパチッ バフンッ!   スパッドが壊れる  どうやら機体のパワーに着いてこれていなかったようである これで確実な一撃必殺ができない

(現在ミトン達には敵のコックピットなどの位置がわからないためとりあえず人が入れそうな胸と腰を同時に潰す必要があるのだ)

加えて、これではもう一騎に背を向けている状態!  もちろん敵もそこを狙い飛びかかる


なんとそのまま前へ飛び一瞬しゃがみ込み、




「今ねっ!!」




カチカチカチカチッッ!!   ドドムンッッ!!!!




エイトーが撃っていたまだ爆発していない杭を一瞬でハッキングし爆破させたのだ




敵がほんの一瞬、  少ぉしだけ動きが緩んだ隙に何かを持ち また前へ飛びながら半回転し敵と向き直る




ガギイイインッッ!!   爆発をもろともせず突っ込んできた敵のスパッドが正面からモロに直撃する




「使ったわよっ!!」




普通に考えれば完璧に撃破された


しかし! 


他騎体オーバーバウムから装甲を剥ぎ取り被るなどといったとんでもアクションをするミトンは普通ではない!!




バギィッ!!   



オーバーバウムの袖の仕込みスパッドを起動させ敵の腕を切り落とす




バチバチッ! バフンッ!!




片腕を落とされ、切断面が爆発する


どうやら切られたパーツが離れていては再生がうまくできないようである




グググッ  バッ!  キンッ!キンッ!




なんという胆力! 腕がなくとも噛みつきで向かってくる敵を危うげなくかわし、


ガシィッ!


口を上下で捕まえる




「自分のじゃなきゃ、どうなのよっ!?   はあっ!!」




落ちていたオーバーバウムの腕を脚で ポンッ! と蹴り上げキャッチし 


ねじ込む!  敵の口へっ!!




ガギッ! ギギギッ バギャッ!!




ミトンは一歩引き、状況を見る





ガガガガ…… グラッ!  ガシッ!  ググ、キュウ〜  フラッ…フラッ……





なんとまだ動く! さらにミトンへ手を向け、ゆっくりと近寄ろうとしている





「こうまでなって……!?  最後は潔く、カッコつけときなさい、 ヨっ!!!」






ドドンッ!!!   ズバババババババッッッ!!!!!






こちらへ伸ばしていた手の先から腰の付け根までを細切れに切り捨てる






「レディーに触りたいなら、まずは身だしなみかお金からよ?」






ドドオオオオオオオンッッ!!!






決め台詞  後に爆発!!






しかし気は抜かない!




「ええッとぉ!?  確かまだいるかもなんだっけっ!?  やってやるわよ!!」





「上ねっ!?」




例の如く上から何かが来る反応がある



それも二騎である!!




「いいわよ  やってや………  ローゼスター……?

そう、 ね   動けないのね……もう」




実のところローゼスターはガタガタである

もうほぼ動くこともできない

最低限格好つけるため、スパイドを地面に刺し仁王立ちで目を瞑り迎える





ヒュゥゥゥゥ…… ドガッシアアアンッッッ!!!!





(来たわね……)





着地しエンジン音が響く




Fi! Fi! Fi! Fi! Fi! Fi! ツカーーーーー キンッ! ツカーーーーー キンッ!


キュキュイイイイイイッッッッ!!!  ツイィィィィィ………




(これで……)



ギョギョギョギョギョギョパキパキパキパキパキ!!!!


ショゴゴゴゴオオオオオオオオオ!!!   


ピピピュウウピピピュウウウ〜〜〜〜   


ガガガガガガガガガガ!!!  


フュイッ!フュイッ!フュイッ!フュイッ!


ブボバババババババーーーーーキンッ!キンッ!キンッ!





ズバババ!!  ドズドスドスッッッ!!  キュガアアッ!!




(……… なんかエンジン音多くない?  なんか攻撃?の音っぽいのも聞こえるし  ちょっと見てみるか……?)





パチッ  目を開ける





「………  アーハハハハッッッ!!!   これでこそよね!!  やっぱり騎士なんてやるんならカッコつけてくれないとっ!!!!」





そこには!  なんと何騎ものY_roi が敵不明機体に群がりスパッド、 スパイド、 スライダー、 ランス、 ガンロッド その他あらゆる武装を各部に突き刺している!!!




さらに





「「「「「「後は任せたああっっ(ましたあああ)!!   」」」」」」






さらにもう一騎が落下しながらスパイドを構える!!!





「これで終いだ……!!」





ドズボオッッッ!!!





と、敵騎が真っ二つになるのを見届けてミトンは意識を失う


直前に、



「これが、カッコうつけると、 いうものだな? ……ミトンよ」


と聞こえたような気がした






そんなこんなで、入学当日の騒動はどうにか収まったのであった。




そして、メインキャラの紹介も、だいたい終わった感じである



いやね? 本当ぅに次回からはまともな学園日常系になるから!


ホントですってっ!!





とにかくお楽しみに!!!!


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