大規模メカ戦闘回‼️ 第7話 スター・ウェアー・ジャケット前編




前回のあらすじ  



あれよあれよと騎士の学校に入ることになっちゃった!


とにかくエンジョイよ!  変な体格のイケメンに会ったかと思えば今度は嫌なお嬢様の事故現場に遭遇!


叱ったら決闘することになって もう大変!!



――――――――――――――――――――――――



騎体ハンガー(決闘アリーナ用)にて



つい先ほど脱いだのにせっかく入学式後の一大イベントだからとまた儀礼用装備を付けさせられている




コンコンッ 準備室のドアがノックされ 「ミトン様  フレクです」




「うんっ?  どうぞぉ」  ピピッ(手元のロックキーボタンを押す)




シュッ(ドアの開く音) 「失礼します  ミトン様、何かお手伝いできる事はないかと…」




フレクは騎士ではないだけで一応は貴族系の家の出である

騎士以外にとって非常に重く扱いにくい儀礼用装備はこれまで当然メイドなどに手伝ってもらっていたのだ

特にこれといったことも考えず 手伝った方が良いか と考えて来たのだが、




「ちょっと!  私も居るんだから勝手に開けないでよね!…… あなたもジロジロ見るんじゃないわよ!!」




要らないのが1人いたので露骨に冷めた風になりつつ、ハッキリと身体のラインが出るボディースーツを着たカトラーリーの一部分を見て一言、




「勝った」




「………あなた  今どこ見て言ったの?……」(割とマジギレ)




すかさずミトンが和ませようとする 



「まあまあ  そんなかっかしない ストレスは体の育ちに関わるわよ?」




「ハハハ そうですよねミトン様」




「………アンタも大したことないくせに」 

「もう一回言ってみなさいよ! ぶっ殺してやるわ!!」(マジギレ)




「み、 ミトン様!?」




「はっ!  ごめんねフレクちゃん  驚かせた?  あっ、それと 手伝いに来てくれたんだって?  ごめんね もうほとんど終わっちゃってるの… でも、ありがとうね」





「ミトン様!」




「あ、あと そのミトン様って  なんで様付け?」




「え?、  そ、 それはぁ  き、騎士です!  騎士様としての心を見たからです!!」




顔真っ赤である 


(でも本当は、 いいえダメね この様なお方に私が好きだと言えたところで……)




一方ミトンは




(やっぱ可愛いよなぁフレクちゃん  それにしてもこの反応、まさか私のことが好きだったりしてぇ…… なぁんて ないない 流石に調子乗りすぎよね)




そしてカトラーリーはなぁんとなく察しつつ、



(なんなのよこの2人の雰囲気…………    最高じゃない!!  どう見ても自信の足りないタイプと鈍感タイプじゃない  ここまでテンプレ通りなんて…… 素晴らしいわ!   早速決闘なんてどうでもよくなってきたわね)




と、三者三様にも案外似たもの同士にも見える考えを展開する




「とにかく、私達同級生なんだから"様"とかは気になっちゃうわよ  もっと気軽にね フレクちゃん」




「そ、そうはいきません  騎士様と、騎士様以外では そういうものなのです  それにフレク"ちゃん" というのも、ちょっとぉ……」




「えぇ〜  なんだかなぁ」




「まったくあなた   考えてもみなさいよ 騎士とそれ以外として示しが付かないって言ってるのよ

それは互いに望まれないことよ」




「………あなたに教えられるのは嫌だけど、 わかったわ  フレクちゃ、  フレクがそう言うんなら、私はそれで良いわよ  ごめんね? 私こういうのには慣れてなくて…」




バタッ!  急にドアが開いて「あっ、」と言って一旦閉じて コンコンッ とノックしてからシリカが入ってくる




「さっ、 お前たちそろそろ準備はできたか?  もう全校生徒ほとんど集まっているぞ」




「えっ、 全校生徒!」 とフレクとミトンは驚くが




カトラーリーはなにか嬉しそうに「フンッ!」 と、鼻を鳴らしている




「じゃ、 双方リフトに乗って待て  私は実況室だ フレクも来い」




シリカに呼ばれた 加えて一緒の部屋に行けるとなり上機嫌なフレクが、意外なほど静かなミトンに




「では、私はもう行きますね  ミトン様、応援してます」




と、「なんであの子はシリカ様と一緒なの!」 と雰囲気をビンビンに出しているカトラリーはまったく意に介さず出て行った




「まっ、 私たちも行かなきゃね?」




と気を使ってみるがカトラーリーはやはり無視して出て行ってしまった




「ふぅん?  私も行くわよ!」




――――――――――――――――――――――――



ガガガガガガ……キュキュッ ガガガガ




作業員の人がリフトの設定をいじりながら叫ぶ 「今日は入学式で! お前たちもパイロットスーツを着ているから特例だぞ!!」




今回は入学式後の余興としての利用を考え両者は騎体の肩に乗って登場するのでその調整である

ちなみにミトンの騎体にはホロ(迷彩用に被せるもの)を被せている




「ナイフォー、  今回は相手が恐らく駆逐型 モーフィングパターンは短期決戦用  パワーは全開、エンジンジョイントの準備もね  必要以上にメイカー達にも詳細はさわらせないでね」




グググッ…ニュグググ〜〜 「装甲が  動いて、変わっているのね  実際に見ると凄いわよねぇ」  




『お前なぁ しょうがないとはいえ俺置いてくか ふつぅ?  俺は良いが、最高の男か女か探してるお前にゃ致命傷だ』





「そりゃあ 悪いことしちゃったかね…… はっ!」




『!  お前、薬飲んでねぇな?』



「へへへ… ちょっくらドタバタが多くってな?」



カチッ  ゴックン  タブレット錠を飲みこむ




「ふぅ〜  あっぶなかったわね」




『まぁ 俺としてはどっちでも良いんだがな  せっかく貰ったんだ 使わないのは、 な?』




「……ところで、  そういえばなんだけど  あなた、シュガーはなんでついて来てるんだっけ?  それもずっと騎体にこもって なんかやってたわよね?」




『あれ?  言ってなかったっけかなぁっとぉ………』




「ふぅん………」 




「おぉい!  向こうは出てったぞ こっちも行くぞお!!」




とスピーカーで怒鳴られる




「わっ!  は、はいー!  今行きますー!!   あらよっとぉ!」




スタッ ミトンが肩に飛び乗ったのを確認しリフトが動き出す




ガガガガグゥイイイイン…………   




カトラーリーはバウムシリーズ、 バウム国の新型旗騎 オーバーバウムの肩に乗り隣のケージ(リフトで上がったところにある屋根付きの待機場 中は全面スクリーンで外の状態がわかる  隣のケージの中は見えない)

の中のスクリーンで周りを見渡す




「そろそろね……」 ガコンッ! 少し床が揺れる



「来たわね!」




ビイイイイイ!!!  サイレンが鳴り、アナウンスが鳴る




「双方、 前へ!」




ギュギュゥゥゥゥゥ  ガシャッ!  騎体がケージから外へ床ごとスライドし観客に晒される 



シリカに決闘者と騎体について説明があり

歓声を送る観客に、ミトンは大ぶりに それでいて少し縮こまって手を振る

カトラーリーは少し周りを見渡したのち、意外にも静かになる




ババッ!  カトラーリーがコックピットに飛び入る




「私もよ!」  バッ!  ミトンも勢いよくコックピットに入る




「さあ!  行くわよ! フゥ〜〜……」 




ミトンがシートにハマり込んだことを確認しロックが開始される


カチャッ  キッ カチャッ グググググゥ〜 プシュッ!




「っ!  まだ慣れないわねこの注射…」




ロックが完了し シンセサイザー(操縦用デバイスの総称)が斜めになりミトンが少し垂れ下がった姿勢になる




「さぁって、 やるわよ! …新しい装甲に、ちょっと戸惑ってるの? 大丈夫よ 整備のおっちゃん達、信じましょうよ……  いくわよ?…   ローゼスター! 起動!!」  



ミトンの掛け声に合わせエンジンが始動する




ガションッ!!  ヒョォッウンッ! キョッカン、ズゴゴゴ キョッカン シャアーーーシャアーーーン


エンジンの起動に合わせ装甲がY_ROIの基本であるメタリック色からテカり具合が鈍くなり一瞬透明になりその後少し青の混じった乳白色の半透明になる

透けた装甲面とその隙間から見えるフレームはショッキングピンクである


ローゼ=スターがスパイド(太刀型) を地面に突き立てその上に手を添えたポーズで隙無く構える




「ふぅ〜  なんだか、」 ギギギッ… 「こんなに動き固かったっけ?」





ヴォヴアンッ!!  ボッ!  ボッ!  カチカチカチカチ ヴォーーンッ  ヴォーーンッ




カトラーリーのY_ROI、 オーバーバウムのピークの低いエンジン音が響く

大出力騎の特徴である

過度に重ねた装甲から キチッ キッ チンッ!チュインッ! と擦れる音が常に鳴っている




「行くわよ!」






「始め!!」




同時に走り出す



キンッ!キンッ!(高速で動くものが地面などに擦れる音 Y_ROIの足音)




キンッ ドドンッ!  踏み込もうと足を意識するが違和感に気づく



(後、一歩っ! ………違う!?)




グヴォンッ! 



意外な速さでOBオーバー・バウムが自慢のスパイラルハンマーを振る




「あの厚みで!?  でもっ!」  ギャッ! バリィッ! キャンッ!





「私の方がまだ早い!」





半歩引き、ハンマーの横を盾で叩き向きを逸らす

これぐらいのことなら既に上書きされた歴代パイロットの技能でできる




「決闘では、スパッドは(スパイドを)切れないんだっけ!?」




パリッ… 腕のシールドに内蔵された小型スパッドのスイッチを切る




通常ではスパッドは基本的にスパイドやハンマーは切れる

しかし決闘ではスパッドは全てスタンモード  切れない




次のOBの攻撃は振り上げ  これでは軌道の変更はさせられない  




「ならっ!」  キュヤアッ!  一瞬踏ん張り前へ踏み込み、当たる直前で横に回り込む




「これで!  えっ!? 」




避けられたOBはハンマーの重さに任せそのまま振り上げつつ体をかかとのアイゼンで固定 

ハンマーの一番下に付けられたインパクト(衝撃発生装置)をローゼスターへ振り下ろそうとする



   


「避けられない!?」  バリッ!




キッ!  ドドンッ!!   インパクトが盾に当たる着前に爆破され小型スパッド応用バリアが破られ、そのまま振り下ろされたハンマーの"ケツ"により盾が根本から破壊される



メキメキッ  バッ! バキャッ!!




バッ! キンッ キンッ 一旦距離を取るため飛び退く





「やるわよね  流石に一国の推薦受けるだけは、  うんっ?」   ピピピピピピピピ……


通信が入っていた様である




「ええっとお…… 」 カチャ…カチカチ




「あっ!  やっと繋がった!!  レーダーOミトン あなたねぇ!!」




「ミトンでいいわよ  何かしら?  ええっとぉ…カーリーでいいや」




「ならミトン!  決闘は、スピーカー通信は常にONにする  常識よ!!   ……誰がカーリーよ!!」




「はいはいわかりましたよぅっと」   カチカチ




「あー、あー  聞こえますかぁ?」




それまで定番の騎士同士の会話が聞こえず半困惑していた観客が待ってましたとテンションが上がる

それを確認してミトンが




「……多分、できてるみたい…?」



――――――――――――――――――――――――




その頃、シリカは実況室の外にいた 席からデータの同期で片目では試合を見ている




「…で? その所属不明機とやらはどうなった?」



「はっ  我が国内で現れたそれら三騎は非常に大型、現在我が校の情報結界には入ってはいませんが、付近を一見飛び回っている…  様に見えますが明らかにこちらを観測する意図を感じます  加えてスクランブルした戦闘機は全て落とされています」




「戦闘機がY_ROIに勝てないのは当たり前だ  カフス3をスーパーフライヤー装備で3人、 カフス2以上 四騎分の捕獲装備で2人出せ  まともな奴ならY_ROIの訓練校になど攻めてはこん」




「了解!  急げ! 出動!!」




と通信で入れ対応を伝えている 



(早くナマで試合見たいなぁ…) と思いつつ今度は逆に渡された端末に有線し実況室へ戻る

これで試合を見つつ指揮も出せる



――――――――――――――――――――――――




「ミトン!  よく避けたわ 今の攻撃!  貴女も抜きなさい!  泥試合は観客の望まない、騎士らしくない勝負よ  派手に来なさいよ!!」




「……わかったわよ」  ズズズゥゥ…




「……えっ?  はっ!?」  バキイッイイイイ!!! 




グワァンッ! 突然衝撃が襲い「ナイフォー! 損傷!」



と聞く 「肩部および胸部フライヤー 二十枚断裂!  耐久力69%減少……!」




「「一撃で…」」  そう、 2人同時に言う





「私、  一撃で…  いえ! 抜いただけで……?

違う!  今の私は、誰!?   答えて! ローゼスター……ピーチ・コメット!!」




 


「コックピット、 狙ってきたわね…… 普通のバウムシリーズなら、  貴女  わかっているのかしら?」





ミトンはスパイドを抜刀した  そうした瞬間気づけばすでにローゼスターはオーバーバウムを居合で切り終わっていた

知らぬ間に行われていたに関わらず、ミトンにはわかるのだ



「今、私はカーリーを殺そうとした……!!」 と。





「やってくれる……!」 と、カーリーはいくら多少気を抜いていたとはいえ全く気づけなかった事、あくまで一部ショーとしての側面も持つ決闘で真っ先にコックピットを狙うと言うある意味で無作法な攻撃に激怒し、




「ナイフォー! エンジン、フルジョイント!!」



「イエス  コマンダー  15分です」 カチッ! ピッピッ



ガヂョンッ…!  キキキ… ギュルギュルギュルギュルルル!!!   ヴァッ!キュッ!ヴァッ!キュッ! ヴァギュゥゥゥゥゥゥゥ!!!! ズドドドドドドド!!!!





「ピークが下がった!?   更にパワーを上げたか……  このっ!  しっかりしなさいよ私!  自分は、記憶じゃない!!  ……抗わずには いられないわよ!  こんなにも気持ち悪いじゃないの!!!」



観客もバウム国の旗騎の機能が見えるとあってテンションが上がる




シュガーが、


『来るぞ!!』




「ちぃっ!!」   






「何を悠長なこと!」  OBのスピードが上がる



「!!  早すぎる!?  でもまだ(追いついて)来ていない!」




ヴォンッ!  「……ここで!」




タイミングを見て避ける  まだこちらの方が早い様ではある




「避けてもねえ!  てぇいっ!!」 




(ハンマー、 いくらこのスパイドでもスイートポイントで受けるわけにはいかない……)「そこおっ!」




キッ!  バッ! ガッ… ギャリギャリギャリ!!…スススゥゥ




質量差で明らかに負けるはずのスパイドに殴られたハンマーが、振り下ろされている途中であるのに関わらず軌道をまたも逸らせれる

ちなみにミトンは何故そこに攻撃を与え何故効果があったかわかっていないが、シリカや一部生徒は気づき興奮で前のめりになる




「何?!」  キキキ…… 「はっ!」



シュバッ! キッ!キッ!




カーリーがローゼスターが納刀しているのを見て退がる

また居合が来るのを警戒したのだ

しかし!



ピーンッ! 直感が働く「ならば!  どう!?」



あまりに未知な敵に見失っていたがカーリーの騎体は突撃重騎体

引くより前に出た方が最大限装甲も活かせる

そして相手、居合を使うなら踏み込む前に距離を決めるはず  であれば、相手がスパイドを抜いた瞬間に前へ出る!!




ガガガ キキッ キュンッ! チュインッ 装甲とハンマーを前に構え、


「今!」  突撃する  



カチッ  ジャッ!!ズガアァァンッ!!!



……ガンッ!  キンッ!  バッ!ババッ!!




やはり腕で受けるのがやっと… 




「報告!」 「イエス コマンダー   両腕の装甲 56%の損耗 ハンマーのシャフト(持つ所) 内部伝達機関一部破断 これにより……」



「もういい!  こう、ターン制では!!  えっ! 連撃!?」




そう気づいたカーリーは人が変わった様にスパイドで攻撃するミトンへ、その持ち前のパワーと見事なハンマー捌きで対応する

反撃もするが、どれも決定打にはならない

すると、今度は急にバランス型の攻撃に切り替わった




先程まで決闘中は通信での会話がどうとか言っていたがすでにカーリーにはそんな余裕はない




「どうしたというの!?」 とミトンへの違和感に訝しむ






ローゼスター コックピット内




「くぅ〜  流石に推薦枠、 生半可なのはだめ?  でもまだヨッ!」




「………それにしても、記憶の同化!  恐ろしい…」




と、恨み言を言った時気づく




「あれ?   治って、る?  あぁ〜っ でもすでにさっきの動きとか攻撃の"型"は頭に染み付いてるぅ  気持ち悪い〜!!」




気を使ってシュガーがオフにしていたスピーカーにスイッチを入れカーリーに言う




「ごめんねぇ ちょっと、取り乱しちゃった  さぁっ!  ここからが本番よ!!」




「どうしたというの!?」 「ごめん ちょっと混ざってた!!」




「?……っ!!  そういうこと、 てっことはまだ初期化ね   とにかく! これでマトモに……!!  

だあーー!!」




「こちらもこれでっ!  せえぇーー!!」




ガチャッ!  ギンッ! キッキッ  ブオゥンッ!キャンッ!!  ガギイーーッン!!!




連撃 お互い全て流しきり その後鍔迫り合い




ギギギッ…… キッキッ …チキチキ




グラッ……  「そこよ!」  ジャジャッ!




「なんで押し負け …てえっ!?」




ググヌヌヌヌヌ〜〜




「時間は!?」 『あと12分です』 「まだあるっ!!  じゃあ!?」




「あれ?  あれぇ〜?  ジワジワ、押し勝っちゃうわよ〜」




「損傷は!?」 『右手 中指、薬指の動力系に異常  そこから伝播し右手全体のパワーが低下』


「何故伝えなかった!?」 「指へのダメージがごく僅か 規定報告域にありませんでした」





『ヤツめ… ミトン、ヤツの指を切ったな?』



「?……わからないけど……あっ、  切ったわ!」



『そう Y_ROIは身体の延長 一部がケガすれば場所によっては全体に作用する

まぁ、それでも指をちょこっと傷つけただけであそこまでパワーダウン、 神業ってヤツだな もしくはマグレとも言うがな……』




「どちらでもっ!  押し切る!!」  ググゥイッ!!




「ヌゥッ…うう!」 OBがよろけるが、「まだっ!!」




ガチャ  ボゴンッ!!  ガキッ! グルウゥッ ガシィッ!


後方にインパクトを使い吹っ飛ぶハンマーに蹴りを駆使して向きを変え、

スパイラルハンマー この名前の由来である仕込み破砕ドリル(スパイラー)を使用



ギャギャギャッ…ドルルルルッッ




「あんな!?  くぅっ!」 ババッ!




とにかく受けるしかない スパイドを引っ込めることができず「これでは!?」 バランスを崩されると気づいたミトンは咄嗟にスパイドの持ったての力を弱める




グリリリリリリ ガギッ! ギャギャギギギギギ 



グラァッ…… 「掛かった!」




ローゼスターがよろけるのを見てカーリーは完璧に術中にハメたと感じた


しかし  パッ!  キュリャッ!! 



すぐさまミトンはスパッドを手離す




「ちぃっ!?  このタイミングで!!」




通常、戦闘中武器は手放せない そして、その真理に付け込んだ戦法も多くある

カーリーの技も、敵をスパイドごと絡め取りバランスを崩させるもの あわよくば武器破壊も狙える 強く耐えれば耐えるほど効果は高い

しかしそれも、武器を手放してしまえば関係はない

すでに書いたが、そこが難しいのだが……



そしてミトンがグラついたのは、絡め取られたからではない!

体を揺らし体重移動を利用し重心を変え移動し立ち位置を変える


つまりっ!



ただ攻撃を避けて横へ回り込んだっ!!!





シュバッ! 「……どうしようもないっ!!??」




カチッ!カチッ! 「そうよっ!!」




オーバーバウムの左後ろに周り 腰のスパッドを抜き振り上げる




ズババッ!!  ……バチンッ!!!!!


   


「勝った……違う!?」




シュウゥゥゥ〜〜……  グググッ 




「……よくやる  これは使う予定はなかったのに」




手首とその上の装甲の隙間からスパッドのビーム刃が伸びている




「隠し武器めっ!」  飛ばされたスパイドの方へ移動しようとするがOBのスパッドからビームが発射され止められる




スピピッ! スピピッ!ジュジュッ!!  「ぅぬっ!」




足元の左右が削られ 逃げられないぞという圧力である




「これ(スパッド)だけ!…… え?」




カーリーがハンマーを置く  「実戦ならば!!」




ここでカーリーは"勝負"に勝つために"試合"を忘れ動きにくい上に実戦であればスパッドに切られるハンマーを置き、スパッドを展開する




ヴヴンッ!!  「いくわよ!!」





――――――――――――――――――――――――



「所属不明騎は?  なにっ!?」  



「くうぅっ!  強制停止、 か…… しかし……」



(ピーチコメット、恐らくオーバーバウムもまだ自我は赤子同然… ヘタなトラウマを与えるかもしれない  何よりこの試合  お互い性能任せのメチャクチャだが  見てみたい!!)




「?…… どうされました? シリカ様」




「いや、 なんでも…少しな……」 (はっ!  ダメだ! 私は今教師 ここでどうすべきかぐらいわかる!!)




「フレク!」 「はっ、はいっ! どうされまし…」



「前言撤回だ!  ベイトール、直ぐに避難誘導をっ!!」



「イエス コマンダー」




「いっ、 一体何が!?」  



「ここに "電球バルブ" か …… 私も出なければならないか?  まずはミトン達だな…」




「バルブ!  なんです!?」 「お前は私が送る 道に迷っても困る!」




ガチャッ!  シリカが放送のマイクを引き抜き  



キュルルゥ~ スチャッ…  アリーナの制御装置からコードを伸ばし端子にはめる




――――――――――――――――――――――――


ガッ! ブジュッ!! ビジッ…ビュジュジュッ!!



キャンッ!  ヴオォンッ ギュイィッ



「くっ!  てええいっ!!」  



「ちぃっ!   はぁあっ!!」




先程スパッドに持ち替えてから互いに連撃の応酬である



互いに深く仕掛けようにも思い通りにいかずこうするほかなく焦っているが観客には大ウケである




「!!  そこはっ!?」 グオッ! 「なんのっ!!」




隙を見て大振りでミトンが切りかかるがほぼ同時にカーリーも同じように切り掛かり肩でぶつかる



ガンッ!! ギュキュキュウウ〜〜カチッン チュインッ!チッ! チッ! 





「こちらで……!!」「体格差は、あるのよっ!!」


「そうかっ!?」




一瞬早かったミトンは自分が押し勝つと考えたが、カーリーのオーバーバウムは重Y_ROI 、単純なパワーで普通は近づくのすら極力避けられる機体である



「ダメ押しっ!!」  パカッ!  ビビビュッ!!!



「レーザー?  うわっ!?」  ガラッ!




足元が少しだけ崩れ騎体が大きくぐらつく と思われた。


Y_ROIはその場その場で絶妙なチューニングを随時行っており今は平地の設定で踏ん張っている なら、急な地面変化による処理についていけず、転けるとは言わずともよろけるのが普通の反応である




「…… なぁんってね」  ドンッ!キッ!




一見よろけたように見せてミトンは片足を半歩分斜め前に踏み込み先ほどより更に下に潜りこみ、



ビュゥッ! パッ!  



「えっ!?」『!! おとりですっ!!』   



グッ カチンッ!




ミトンは一瞬スパッドの刀身の色を変え視線を引きそれを手放す

それにカーリーが驚いている隙に、もう片側のスパッドを引き抜く



「すぅっ…!」  



オーバーバウムの左に抜けようとしながらギリギリまで手元を隠し思い切り騎体をねじり左足を軸にオーバーバウムに背中を向けるようにクルリと回りながらスパッドの長さを最大にし両手の肘の直ぐ下のあたりにスパッドを狙う


しかし、



スパッドを握り込み、振り上げようとした瞬間




ビイイイイ!!! ビイイイイ!!! ビイイイイ!!!




会場とコックピット内に立体ディスプレイで


「緊急避難命令 レベル5 直ちにシェルターへ避難せよ」



と出される




「なんだってのよ!?」  ガガガ… (二体が並ぶ)




「レベル5って言ったら… 学園、周辺学園都市の存亡危機レベルよ」




『そう考えれりゃぁ  この、学生とはいえ一国の大隊クラスのY_ROIを持つ学校に攻めてきて、 おまけに存亡の危機ってくりゃあ』




「相手はY_ROIっ……!」 「それも複数ね」




『とりあえず俺らも退避だ  何体かわからん以上迂闊だ』




「わかった」「仕方ないわね…生徒の方は……えっ?」




カーリーが他の生徒の動きに違和感を覚え、思考をめぐらせようとした



その時…




バシャアアアアンッ!!! パリパリパリ シャシャシャ


フュウゥゥゥゥウウ……




アリーナの上部を覆うガラス?状の屋根をぶち破り何かが落ちてくる




ドウッ!! キッキッ ガシャアアアアンッ!!! ドドドド!!




「何!?  えっ、Y_ROI!?  これは!」




「まだよっ!  ミトン! 下がりなさい 降りてきている!!」




Fi! Fi! Fi! Fi! Fi! Fi! ツカーーーーー キンッ! ツカーーーーー キンッ!


キュキュイイイイイイッッッッ!!!  ツイィィィィィ………




異様なエンジンを鳴らしながら見る角度によって色が変わる強いメタリック色の大型の騎体が二騎降下してくる




「なんてぇ威圧感よ…」


「ダメっ! さっきからやってるけど搬入口が開かない! それに、他生徒達もアリーナから出れないみたいで!……」


加えて観客席を守るシールドもパワーが切れている




その時、不明騎体の背中のコンテナが開く



ガパッ!  ヴヴヴヴヴヴッッッッ…… テゥクンッ! テゥクンッ! キュキュウウウウッッッ!! トッ! トッ!



またも異様な起動音と共にコンテナから手足が細長いヒョロヒョロなY_ROIのような機体が五騎づつ飛び出し同時に着地する



キンッ! キンッ!




予想外なほど敵の数が一瞬にして増え、ミトンとカーリーは流石に動揺しつつ




「「ここで勝てば最高にカッコいいんじゃねえかぁっ!?」」




と、思考を切り返し、互いの武器を拾い投げ渡しで交換する




「仕掛けはある ってことね……  へへっ  お嬢様、私と踊ってくださる?」




「えっ!?……フフンッ しょうがないわねぇ  ええ 喜んで…  あなたこそ、自分が誘った女にリードされて恥ずかしがる準備はどう?」




「言ってくれるわね  ……フフッ  行くわよっ!!」




そして、


「「不思議と、 コイツと2人ならもう負けるって気が全くしねぇなあっ!!!」」



と気付かぬうちに互いを認め合っていた というやつである






 スター ウェアー=ジャケット   後編へ続くっ!!



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