第4話  ユアー ポジションズ




前回あらすじ


シリカさんが責任を示した!

という回


――――――――――――――――――――――――



「うぅっん  はっ! シリカさん!!」 がばっ! 



飛び起きると豪勢、それでいて清潔感のある部屋のベッドに寝かされていた



「気づいたかい?  ここは医務室さ ……よっぽど体に応えたのか、 グッスリ眠っていたよ」



『まぁ アレを受けて一寝入りしただけで復活ってのもスゲェよ お前』



と、膝の上で丸くなったシュガーが言う



「しかしすまない事をした  その傷は、残るだろう」 


と、レブル王



「え、 ……借ります!!」 「なっ!?」



カチッ シャアッ ズバッ!   ギンッ!!



横にいるレブル王を見た瞬間 ミトンはシリカのスパイド(刀)をひったくり切りかかる



「良いが、 まだまだよのぉ  フッ、」  バッンッ!



「きゃっ!」 ドサッ   跳ね返されベッドに叩きつけられる



「ミトンっ 何を!?」  「いや!  やったぞ!!」



「フフフ……むぅっ!?」  タラァ〜……パカッ! ブシュウーー!!


右頬に斜めに切り傷ができ、パックリと割れ血が吹き出す




「おじさん……」 「おじさん、 だとお!? 貴様私を誰と、」



「関係あるの!?  なんとか王か知らないけど こんな綺麗な人に、  それも自分から顔にキズを入れさせた!   絶っ対に悪!!  顔に取り返しのつかないタイプのタトゥーがごとく模様を刻んでやるのよ!!!」



「でも、 やったわ!  シリカさん ちょっとだけだけどやってやったわ!!   シリカ、さん?」



先程ミトンが目を覚ました時とは打って変わって何故かとても悲しそうな顔をするシリカが一言



「……似ている………」



「?」 『……まさか、』



そこへ、こちらも何か複雑そうな顔をしたレブル王が言う




「……似ているのだ   その動き、その太刀筋、そのモノ言いが… "彼(ヤツ)"に………」



「…父上……」 「お父さん…?」



「そう、かつての文明の遺産 我が国がアレを手に入れてから一度も動かなかったピーチコメットにただ一人選ばれた最高の騎士  見ただけでメタルシードを起動し、初戦で装甲の解放を行い 圧倒的な戦果をあげた……

レーダー・ザ=グーロブ   我の友でもあった」



「?……」 『どう死んだ?』 「もう!  シュガー!!」  



「違う!  グロー(グーロブの愛称)は、あれぐらいでは死ぬはずはない ………とにかく生きておる!」



「………」 シリカは黙ったままである  



「そう、 あれは今から20年前………


ある作戦中、大量の爆弾間違えて冷凍したものを満載した家庭用冷蔵庫にまたがり海に発射され、水切りのように飛んでいき 最後は敵味方両方からの砲撃、爆撃を受け水平線で爆発した……」



「…………………(はあ?  いや何も言えねぇ……)」



「そして、あの騎体にはグローいわく過去の乗り手達の記憶や記録が記録されており、乗ることによってそれを受け取ることができるというのだ   ミトンよ これを読めるか?」



「んっと、……  国際 騎士学園連合代表理事推薦状……?」



「やはり読めるな?  この文字、気づかんか?」



「ええっと……あっ、  違う文字……?」



「そう これは我らの国の文字   そして、先程の態度、なにより、その剣技だ証拠……か」



「すでに、経験の同化が始まっているんだ  」



「……同化……」 「あぁ 実際他の騎体でもある程度起こるのだが、騎体の経歴、性能が高いほど影響は大きい  その中でもヤツは格別なのだ 人格にも影響が出るやもしれぬ……」




『それで、「帰れない」か……』



「どういうこと?」 「……………」



『考えてもみな   20年もの間、この国は一度手に入れた超兵器を騎体、騎士を同時に無くし、 今使えるのはコイツだけだろう?他にも騎体はあるんだろうが、  いくら油断したとは言えあの程度のローターネに負けるんじゃあなあ 』



「シュガー……それ以上バカにしてみなさい  あなたがどんなに嫌がろうと二本足で歩けるようになるまで姿勢矯正に通わせてやる」



『いや、俺元々歩けるし』「なら人間用マナー講座」『俺より必要なのはお前じゃねえのか?』「城中の掃除」『俺程度がやるような所残ってねぇよ 城なんだから』 「だあああああああ!!!」



『とにかく!  つまりはミトンをその枠に入れ込みたいんだろう? 』



「………はっきり言ってその通りだ  正直な所グローの存在は大きすぎた  P.K(ピーチコメット)もダメだとわかっていながら何とか体裁を保つためあのような姿での運用を行って、どうにか動かせていたに過ぎん  他国からも、だんだんとナメられ始めている……… ミトンよ、貴公は偶然とは言え、P.Kを呼び P.Kを操り敵を倒した ……我らの国の掟により、貴公にはこの国で最強(ナイトマスター)になってもらわねばならない」




「そ、 そんな急に!! ……シリカさん……… 断ることは?」




『できん  だろぅ?』



「すまないが  その通りだ ……我が国の現状では、なりふり構っていることはできない」



『あんたらねぇ  それはどうなんだい こんな少女囲んでよぉ?』



「もちろん  十分な報酬と生活の保証はする  そちらからの要望があれば極力応えよる準備はある」




『待ちな  極力、だと?  必ず応えてもらう  もちろん、常識的なモノだ   月に一つだけは、必ず要望に応える   これでどうだ?』



「………構わんよ」



「陛下! シュガーも、  私もああは言ったがまだミトンは応えていないのだぞ!」



「私  やるわよ」 「っっ!!」 「おおっ!」



「わかっているのか!? ……これを受け入れれば、今度こそ君は騎士になる……  それも、ただの騎士でない、  ナイトマスター……つまり戦略級の存在  それがどんな意味か!!」



「そんなのわからないわ!  でも、こっちに来た道は壊れちゃったし最初にシリカさんが言った時から決心はしてるの   少なくとも知らないところで住む場所だけでも確保できそうなんだもん  文句はないわ   あっ、さっきの報酬とかの件はもちろんいただきますね」




キッパリと言うミトンを見て もうシリカもシュガーも何も言わない



「では、決まり か   ミトンよ 騎士であれば君主の我の言葉には従ってもらうぞ?」



「わかっています(あれ? なんとなく流したけど あのなんとか王、結局シリカさんの顔に傷つけさせた大罪人だったっけ?……今は置いとこ)」



「では 最初の命令といくぞ   国際騎士養成学園に通ってもらう」




「はい………はぃ?」   




「明後日から」  



「…………ハアァァァァァ(クソデカため息)   私、文字はともかく勉強何一つわからないんですが?」



「大丈夫だ  今は騎体からの情報を受け取っただけでまだ"習得"できていないだけで一通り授業を受ければ自然に身についてくる  まぁ簡単に言えば、バイクの運転方法を知っていても初めてでは乗れんだろう?  それと同じだよ  普通に学ぶよりは早く身につく 頑張るのだ!」




「なんか話の流れ適当ではないか?(メタツッコミ)」



『いいのいいの こんなもんで』 「……そうか」 『そうだ』



「なら、 いいか」 「あっ、 いいのか」



「ではシリカよ!」 「はっ!」 


「ミトンに明後日の入学式までにこの世界の常識などについてできる限り教え込むのだ」



「えっ、…… あっ、 はっ!  承知しました!!」



「フフフ 我の顔にキズを付けた女騎士見習い  それだけで本来ならそのまま騎士にしたいほどの人間だ  学校ぐらい、とにかく楽しんでこい!  帰ってよいぞ」



「はっ!  さぁ 行こうか?」  



「………(やっぱりなんか流されてる気がする……) は、はいっ!」



二人と一匹が出ていき  レブル王だけが残る  横から頭巾の騎士が現れ言う




「陛下 お怪我は大丈夫ですか?」 「問題ない………それにしてもヤツ、 ミトンはようやりおるわ  切り掛かる直前スパイドと魔法用ステッキを両方握り斬撃と同時に魔法を放ち我の顔を切りよった   わかるか? これがどういうことか」


「………すでに我らの剣技、同時打ち(名前は今後変更予定)を無意識のうちに使っている  ということですか……  陛下、彼女は……」



「危険とでも言うか?  バカもん あれほど純粋なヤツらそうそういやぁしない  まぁ見ておれ ……れいだミトン、  素晴らしい騎士になるやもしれんぞ!! 」




――――――――――――――――――――――――




その後、前回の騒ぎの一部始終を見ていたシュガーの説明でレブル王の人柄や行動の意味を知り、すぐさま城に覚えたての字で詫びの手紙を送りましたとさ



(レブル王の手紙を読んだ反応)

「ハッハッハア!!  これぐらいどうってことないわ  我を誰と思っている!!」 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る