第3話  スタート リアライズ


次回予告!!   ローターネを倒したら  助けた騎士さんにお城につれられて  突然王様から言われて、私は国一番の騎士にならなくちゃいけなくなっちゃった!!


えっ!?  まだこの世界の文字もわからないのに学校にいけってぇ!? 


それに何ぃ その大きな機械!!




――――――――――――――――――――――――



前回までのあらすじ



ロボーターに乗ったら中から違うロボーターが出てきた!!

そのまま自分でもわからないうちにドラゴンみたいなロボーターをやっつけて一件落着!……なんだけど 次回予告、なんかいやな事が起こる予感!?



――――――――――――――――――――――――



キィィィィィィィィ チキンッ チキンッ ツキキキキキキキ (フローラーのエンジン音)



「うぅっ……んっ、   はあっ!」


ガバっ!



「ここは? 車、 いや、浮いている…の?」



「あぁ 起きたね… これはフローラーと言ってこの世界では一般的な輸送用マシンさ  ケガは大丈夫かい?」



「ヘェ〜、  進んでるんですねぇ  あっ、包帯  大丈夫です!  ……んっ?  この世界って…」



「もう気づいたのかい?  いやぁ、すまないね 君が寝ている間に、君のテイムに聞いてね」



『おい 俺はこいつのテイムになったおぼえはねぇんだがねえ』



「ハハハ 君のような物言いのテイムは珍しいよ  それにしても大変だったねぇ  コイツに呼ばれたような気がして走っていたらいつのまにかこの世界にいた、なんて さすがの私も初めて聞くよ」



と、騎士がロボーター(ピーチコメット)の方を見ながら話す



「えっ、」 とミトンが反論しようとするがシュガーが必死それはに言うなとジェスチャーをしている

とりあえず今は従っておくことにした



「えぇ そうです……  あっ! あの時は、ありがとうございました!」



「あの時、…?  あぁ あれは偶然だよ、 いや、違うね  あれはコイツが、 メタルシード………あっ、 今は違った… コイツが呼んだのさ  それに、私の方こそ助けられたさ    ところで、今はなんと言うんだい?  コイツの名前」



「この子は、」 チラッとシュガーの方を見て言って大丈夫か確認してから言う


「……ピーチコメット………ピーチコメットだって、この子が自分から…」



「そう、 ……あの子が自分から…」 ギュウウッッ!!メシメシメキッ‼︎


操縦桿を無意識に強く握りしめる  


そのあまりの音にミトンが驚いたのを感じて そっと離す



「す、すまない  ちょっと興奮してね、 なんせコイツ…この子は特別なんだ………  そ、そうだ  君の名前はこのテイムから聞いたが」


『俺はテイムじゃねえぞお』


「とりあえず自己紹介といこうか」



「あ、 ええっと、私は れいだミトンと言います 向こうでは学生でした……夢はたくさんの素敵な人たちと付き合って立派な主婦になることです」



「ハハハ それは、 若いわね  私は

オロチ・アルス・パバウルフック・ブライド・シリカ メンツ国の、いわゆる武家、王家直属のアウター騎士団筆頭、 ってぇこれじゃあ自慢しているみたいだ   まぁ、その よろしくね」



「はいっ! よろしくお願いします  えぇっと、オロチ・あるす・パ、 パウ?  うんっ?」



「いいよ シリカでも、 人前じゃアウター騎士団のオロチ、かシリカとでも言えばわかるさ………行くところ、教えておくね?  オロチ・アルス・パバウルフック・ザ・メンツ=レブル  この国の、王様に会ってもらうよ」



「ほぇ〜」寝そべり足組鼻ホジ「…………っっっ!!!!  えええええええっっっっ!!!!!」 



一方シュガーは落ち着いている



「フフッ そう気負うことはない  向こうもそれぐらいわかって接してくるさ    だが、先に謝っておく………本当にすまないことをした いや、することになる」



「…………わかっ、 わかりました」 「そうかしこまることはない  あっ、だが 二人だけの時だけ、 な?   少し飛ばすぞ?」



ギュギュギュッッ!!  ギィィィイイイイイ…………



先程シリカの見せた異様な雰囲気にいまだに押されつつ、この間読んだマナーの本の内容を思い出すことに専念することにしたミトンであった


――――――――――――――――――――――――



「さあ 到着したよ  先に……いや、一緒に行こうか」


と緊張でガチガチになったミトンを見て言う



「んっ?……あぁそうか」



城に併設してあるガレージにつくや否や大勢の騎士や整備兵、メイカーまでいる



「こいつは大事だな、確かに……そうだろう」



「シリカ様!  ご無事でしたかっ!!  メタルシードの反応が途絶え、さらに直後に新たな騎体反応が出た時は、  それはそれはもうっ!!」



と、シリカと同じ衣装を着た騎士が一際騒ぎ立てる



ミトンは何か芝居がかった様子に訝しんだが、それを察したのかシリカが


「アイツは、いつもあんな感じでね  あれで名誉あるアウターのメンバー、コート以下の全騎士への指南役を勤めてるんだから、 才能なんてわからないさ…」



「それは、すごい? ですね」 「んっ、 そろそろ降りるよ 陛下には事情を伝えてあるからその格好でも気にすることはない」



カチッ カシュッ!プシュゥーー ロックを外しフローラーから降りる


ガキンッ!プシュゥーー プシュゥーー グググググッッ………ガラガラガラバラバラ!!!


フローターのハンガー部分が開き、作業アームでパージした装甲が押し出される



「なっ!!」×その場の全員    

ほとんどのものはメタルシードが撃破されたのかと驚き、一部のメイカーと騎士だけは別の意味で驚き、我先にと自分の派閥へ取り込まんと兵を動かした



ギュグィィィィィ…… ガッコン! 「おおっ!!」×全員



ピーチコメットがハンガーごとスライドして出てくる



先の戦闘からアイドリングは使わず完全に動力を落とし表面のバリアーが起動しておらず砂埃で汚れてしまったが、それでもあまりに美しい騎体にその場の全員が息を呑む



騎体の搬入が終わる直前、シリカはミトンを抱え、



ガシッ! 「キャっ!」 「すまないが、少し荒っぽく行かせてもらうよ!!   ハッ!」



フローターからシリカが出てきた瞬間どこからともなく飛んできた先程の騎士の空中で踏み台にして、上階への直通の昇降機へと飛ぶ


少なくとも10メートルは飛んだのだ あまりの早さに他の騎士達には見えなかったようだが何故かミトンには見えていた

しかし、そのせいでしっかりと高さを感じて怖かった と言っても一瞬ではあるが



スタッ、  ガーーーー (昇降機の音)



昇降機の中ではシリカはスマホのような板状のものでどこかに通信していた


「私だ  今すぐ屋敷に部屋と……サイズがわからないな……メイドの中で一番小柄なやつの普段着を、悪いが貸してくれ 客人が行く  そいつには、何か土産でも持っていこう」



「これでよしっとぉ…  どうかしたかい?」



「あっ、 いえ、…今のは?」 「勝手ですまないが ウチに少しの間留まってもらうよ………とにかく、王の話は、 恐らくとても一方的で、君にとっては受け入れ難いことかもしれない  でも、どうか聞き入れて欲しいんだ」



「……それは、 どんな…?」



「私の考えでは、  いや、恐らく確実にそうなるだろう……… 君は元の世界へは帰れない」



「っ!!………」『やはりな……』



ミトンも一応そうでないかと薄々感じてはいたが、さすがに同様せざるおえない

しかし、その瞬間決心もまた ついた



ガクンッ…カチッ


「………着いたよ  ここからは向こうに言われるまで自分で話さなくて良い  私の隣にいなさい」


「……はい…!」



これでもかと豪勢な扉が開き中に入る  部屋の四隅にマントと頭巾を被った騎士が立ち、奥の玉座にいかにも王様です と言った雰囲気のムキムキイケオジが座っている



ミトンは一瞬王と目が合う その瞬間猛烈な危機感を感じた 



ミトンは考える


(ど、どうするの!  なんだと言うの!? あの人は!………切られるのか…な?   なんでわかるのかは、わからない… でもっ!  嫌よ!せっかく第二の人生始まったのよ  絶対によけてやる!!!)


と、気分が悪くなるほどの威圧感を押し除けようと半歩だけ前へ出る


その後踏ん張り後ろへ飛び退くつもりだったが、何か視界に線が見えた気がした次の瞬間、


気がつくと目の前に王がおり、顔に少しかすった所で剣がとまっている


顔の傷につけていたガーゼが取れただけであった



「フフフ、 ハーハッハッハッハア!!!   よもや我が本気の殺気を受けて動いたか!  それもすぐさま逃げるのでなく、なんと跳ね除けんと一歩踏み出すとはっ!!  我はお前が動かずとも眼前で止める気であったが」



「シリカよ!」 「はっ!」 「この者は何ともうすか?  いや、 お主 名乗ってみよ」



「…………ミトン  で、 す」  バタッ



ガシッ  王が急に倒れたミトンを抱き抱える



「フフフ  さすがに気を失ったか   しかし、この年であれを押しのけ、あまつさえ数秒間とはいえ立っているとは…  なんとも素晴らしいのぉ  えぇ? シリカよ?」



「………はい この子には、とてつもない可能性が………しかし、陛下  女の顔に、傷を!!」



ピッ!  シリカの顔、ミトンのケガと同じ部分に剣を突き立てる



「くっ!」   



「それがなんと言うか?  こやつはすでに騎士  これも、先の戦いで負ったものであろう  それに対してお前は傷ひとつない、 キレイな顔じゃのぅ?  聞けばこやつに助けられたと、 我が国の筆頭騎士が  このような少女に助けられたと」




王が普段は豪快で、さっぱりとした人物である事を よく知っているシリカだからこそ、 この王の自分への言葉は、王としての責任 シリカ自身の立場、責任に対してのものであると  決して、他のつまらない貴族の奴らのものとは違うのだと理解できた

だからこそ シリカにも覚悟はきまる

跪き、言う



「… 陛下、 ここは私が、自身の進退をかけるのが道理  しかし、私には 他の騎士達への、 筆頭としての責任があります   ですから、この程度で不足なのは重々承知、 しております 」



カチャッ  立ち上がり、剣を抜く  「うぅっ、 んっ?」 ミトンがうっすらと目を覚ます



「私は、 今まで美しく、女であろうとした  顔の傷だけは、決っして負うまいとした………  それも、 今日までです!」



「ま、待って!」 とミトンが手を伸ばすが



スパッ!……プシュッ タラァ~ ピピッ! ペチャァ とシリカの血がミトンの手についた そして、シリカが泣いているのを見た

ここでミトンはまた気を失ってしまった




王はチラリと自分の腕の中で眠るミトンを見てから、普段の顔立ちにもどり



「そうだ  こうやって言うことしか、そうやってするしか…  ままならないのが、我らの立場…… なぁ シリカよ」



と言い、座り込みまだ剣をしまえていないまま泣くシリカの肩を抱き、さらに言う



「それはこやつ… ただここに来て、ロボーターを動かせてしまっただけの異界の少女にも、それはついてまわる…… 我らにやってやれることは、 こやつ いや、ミトンに、 せめて、できる限り真っ当に生きさせてやることぐらいなものだ  いや、それすらも、難しいかもしれん  だがな、  わかってくれ………  シリカよ 」




「くぅっ……………」  



シリカはその言葉からくる重みと、眠るミトンの顔を見て、さらに泣くことしかできなかった





しかしそれは、 確かに自身の負うべき責任なのだと、自覚するのだった





   第三話  スタート リアライズ  完

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