あざとくてかわいいクズ彼氏

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 婚姻届けを提出したあとで、私が真っ先に頭を悩ませていたのは、彼氏の当麻万理(とうま ばんり)のことだ。

「訳あって結婚したの。万理のことは好きだから別れたくないけど、けじめをつけて別れなくちゃ。別れよう?」

 そう話をしようと決めて、会いたいと連絡を入れたら、1時間もしないうちに万理は「仕事やめちゃった」と言って、部屋に転がり込んでくる。

 上下よれたスウェット姿でやって来て、万理はあざといくらいに可愛らしい顔ににっこりと笑顔を浮かべる、私はあんぐりと開いた口がふさがらない。

「ライフライン止まったから、泊めてよ」と万理はカバンに荷物をつめて持ち込んでくる。

「待って、それは困る」

「なんで?美景も一緒に住みたいって言ったのに」

「それは、その。少し前までのことで」

 万理はついこの前、バーテンダーの仕事を辞めたばかりだ。以降はカフェ店員、パンケーキ屋店員と仕事を転々としている。バーテンダーのときに、一目ぼれしてアプローチをしてようやく最近付き合ったものの、それから1か月足らずで仕事をころころと変えていた。

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