現代ファンタジー

僕とエーリカ 間川 レイ様

【タイトル】 僕とエーリカ

【作者】 間川 レイ

【ジャンル】 現代ファンタジー

【執筆状況】 完結

【形式】 短編

https://kakuyomu.jp/works/16817330667939239937


 魔法という言葉には夢とロマンあふれていますが、魔女という言葉には悪いイメージがつきまといます。もちろん良い魔女が登場する作品もたくさんありますが、人を惑わす怪しい存在として描かれる物語もよく見かけます。実際に魔女狩りが行われたという歴史が残されていることもあるのでしょう。


 この作品に登場するのは魔導兵。夢物語だった魔法が扱えるようになったものの、適性を持つのは少女のみ。そのために彼女たちは畏怖と侮蔑を込めて魔女と呼ばれます。

 戦闘を激変させた魔導兵たち。本来なら歓迎されそうなものですが、魔法による戦いは勝利と共に被害を生みます。敵の魔導兵に仲間を殺された兵士たちの怒りや恐怖は仲間であるはずの仲間の魔導兵に向かうのです。


 恐怖や不安は冷静な判断を奪わせるものだとこの作品を読みながら思いました。魔導兵は大きな戦力です。彼女たちがいるか、いないかで戦況は大きく変わります。それを考えれば怒りや憎しみを向けるのではなく、大切に扱った方が戦闘は楽になるはずです。魔導兵がいなくなってしまえば負けは確定なのですから。

 ですが、この物語はそうはいきません。死と隣り合わせの戦場を生きる兵士にとって、死を撒き散らす存在である魔導兵は受け入れられるものではないのでしょう。


 出来上がったばかりの技術であるというのも魔導兵たちの立場を悪くしています。改変の時はなにかと混乱しがちです。魔導兵がいることが当たり前になった時代であればもっと反応も違ったのだろうなと読んでいて思いました。


 間川さんの作品は他にも読んだことがあるのですが、独特の空気感があると思います。厳しい世界観でありながら、どこか美しさのようなものを感じます。


 七千文字ほどの短編作品ですので、主戦力でありながら魔女として恐れられる少女の物語、読んでみてはいかがでしょうか。

 企画に参加いただきありがとうございます。


 


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る