曇りのち晴れ

ゆる弥

曇りのち晴れ

 今日も部活の先輩に怒られてしまい、ちょっと落ち込んでいるの。

 一年生の間は仕方ないことなんだけど。


 家まで真っ直ぐ帰る気になれず、公園のブランコを漕いでいるところなの。


「はぁぁ。なんであんなミスしちゃうんだろう……」


 ソフトテニス部の私は中学時代の成績が良かったからと、先輩と組まされているのよね。

 

 でも、なかなか上手く相手を翻弄することができなくて。相手の隙をつこうとするとラインを割っちゃうし。


 どうやったら、成瀬先輩みたいに上手くなれるんだろう。

 

 いつも隣のコートで躍動しているのを見ると私の心も一緒に躍動する。


 空を見上げると私の心模様と同じ曇り。

 近頃寒くなってきたから、ブランコに乗っていると手足が寒さで仄かに赤くなり冷たくなる。


 漕ぐのをやめて下を向いていたとき。


 突然頬に熱を感じた。


「きゃっ!」


「あっ、ごめん。驚いた? 寒いだろ?」


 ホットカフェオレを頬に当ててきた、その聞き覚えのある声に心が翻弄される。

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曇りのち晴れ ゆる弥 @yuruya

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