Episode 8 - 再会の宴

「いらっしゃい――」

「――まァ、マロカちゃんったら一段とハンサム&マッスルになってなァいかしらン! ちょっとその上腕二頭筋をムニムニさせてン」

 玄関のドアを開けるなり、マシンガントークに負けず劣らずのハイテンションで、長身のデザイナースーツがマロカを抱擁ハグしてくる。

「サ、サリーも変わらないな。なんというか、相変わらず輝いてるというかだな」

「まァ、うれし! きっとラヴな仕事をしてるおかげねン。マロカちゃんなら私のキ・モ・チ、わかるでしょ?」

「あー、まあ、たしかにな」

「後ろがつかえてます、マイスター」

「あらァ、ごめんなさいネ」

「よう、“戦錠”。調子はどうだ? ニュースで見たぜ? 絶好調らしいじゃねえか」

「ジャック。よく来てくれた。アマンダとジミーは元気か?」

「ああ、オレより元気だぜ。今日はジミーの試合があってな。リエリーによろしくとさ」

「伝えよう。あの子も喜ぶ。今度は一家で遊びに来てくれよ」

「まったく、なんだってまた好き好んで公園に泊まるかね」

「ミセス・マチルダ! あなたが来てくれるとは!」

「なんだい。アタシが来ちゃマズいのかい? レイモンド爺さんに運転任せてりゃ、死ぬからね」

「ははっ。お元気そうでよかった。それで……」

「爺さんなら『外装を見てから行く』だとさ。まったく、これだから機械馬鹿は……。アンタのことじゃないからね、ルー」

「ええ、もちろんです。みなさん、よくいらっしゃいました。どうぞ中へ」

 二階から降りてきたルヴリエイトが、マニピュレータを広げて客人たちを歓迎する。その背後に主役の姿が見当たらず、マロカは「で、あの子は?」と耳打ちした。

「ちょっとだけ時間をあげて。きっと来るわ」

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