002 間違いは正して頂きたい。

 うん?どういうことだ?俺はついに『君の名は。』的な世界線に行ってしまったのか?俺が光瑠で、光瑠が俺、みたいな。やったね!これで今日から俺はイケメンだ!

 この辺りに彗星が落ちたなんて話は聞かんけどな。

「うん?僕は鳩山光瑠だけど」

 と、訝しげに言う光瑠。そりゃそうだ。学校中の女子から人気を集めるイケメンが俺みたいな男に間違えられたんだから。

 いや〜、しかし残念!イケメンに転生(?)した訳ではなかったようだ。

「あ、そうでしたか!すいません。間違えてしまって……」

 永沢は顔を赤く染める。

「ちょっと、沙耶ダメじゃない。校内1の美男子とそこのボサボサ頭の男を間違えたら……」

 概ね認めるが、初めて話す(正確にはまだ話してないか)先輩に向かってボサボサ頭は……。流石の俺もショックだぞ。

「でも、あの頭をどうにかしたら意外とマシな感じになるかもよ?」

 "意外と"って……どういうつもりか知らんが、フォローになってねぇ!

「うん、確かに。彗ってそんなに悪い顔じゃないと思うんだけど。その髪が、ねぇ」

「やっぱり、もそう思いますか?」

 ちゃっかり、訂正してやがる。

「それで?どうして、お前たちはここに来たんだ?」

 いや、そんな銅像が急に話し出したみたいな顔をせんでも。まぁ、今まで黙りこくっていたから仕方ないか。

 

 永沢らが話したことによるとこういうことらしかった。

 まず所謂、格さん側にいる女子—永沢の右側に立つ腰巾着—の名前は途中で天宮志帆あまみやしほだと判った。そういや、クラスの男子が一年に永沢ほどではないが、ルックスに於いて文句のないがいるとか言っていた。

 それはさておき、この同好会『空気自然同好会』は一部のレアな生徒においては謎な部活として知られているらしい。その割に今まで生物実験室ここを訪ねてきた奴いないんだがな。

 そして、謎が謎を呼び、それが途中から『謎研』と呼ばれることとなり、この後輩女子たちに『ミス研』だと勘違いされるに至ったらしい。

 光瑠曰く日清みたいだな、と言っていたが、ちょっと違う気がする。あれって、豚肉と大豆由来の原料に野菜とかを混ぜてミンチ状にし、フリーズドライ加工したものだしね。あれ?これって言ったらいけないやつ?

 まぁ、早い話が永沢達の早とちりという訳だ。

 うん?えらい雑に纏めたって?それはきっと気にせいだな。うん。俺がそんなテキトーな仕事するわけないだろ。ああ、部活のことは置いといて……。


「じゃぁ、そういうことならお帰りください。残念ながら、ここは『ミス研』ではございませんので、ご希望に沿うことはできません」

「いや、なんで敬語?気持ち悪いよ」

 光瑠の辛辣な意見は置いといて、 

「なんで、あんたらは勝手に荷物を置き出しているんですかねぇ!」

「え?体験入部って、同好会の場合できないんだっけ?」

 永沢が天宮に訊いている。

「どうなんか、知らないけど、多分そういうことを言ってはるんじゃないと思うよ」

 俺は一瞬で天宮の虜になった。いいぞ、天宮。いい感じの中和剤だ。永沢がボケで天宮がツッコミって感じか。 

 Ms.緩和剤の称号を授けようじゃないか!

「じゃぁ、もう入るんで明日、入部(?)届け持ってきますね!今日は仮入部ってことで」

「いや……」

 俺が何か言おうとすると、横からスーッと何かが突き出された。

「うん?生徒手帳?」

 開かれたページには『生徒が入部することを阻むものはあってはならない。(同好会を含む)』

「……」

「よろしくお願いしますね!久川先輩、鳩山先輩!」

 一般的に美少女と呼ばれる後輩女子に"先輩"と呼ばれる事態。本来は喜ぶべきものなのかもしれないが、今の俺にはどうもそうは思えそうにない。

 ってか、なんでそんなに光瑠はウェルカムな感じなんだよ!

 

*※**※*

 やっと、ここまで来たという感じです。二人が入部するまでに3話もかかるとは……。

 話の進むのは遅いし、投稿スピードも遅いですが、この先もお付き合い頂けると幸いです。

 

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