グラスに拾う。

桜の花びらを拾った。

いっぱい拾った。

明日になれば潰れてしまう花びらを拾った。

薄張りのグラスにいれると、ピンクのコーンフレークみたいにおいしそうで、

アイスクリームをのせたくなった。


友だちに見せると、こんぺいとうみたいだねといって、

ひとつちょうだいと指を入れた。

わたしの時間はタイムラプスのように緩まってしまい、

彼女がいちまい、舌の上にのせるのを、

とめることは間に合わなかった。


おいしそうと思ったのはおなじなのに、

罪びとだ。罪びとだ。罪びとだ。

わたしはそう思い、彼女を突き飛ばした。


わたしの靴底は、アスファルトにつぶれた桜の花びらを踏む。

よけようと思っても、踏む。

そして、こびりついている。

きれいには、はがせない。


拾われなかった花びらに、私は罰を受ける。



https://www.nijinonoran.com/?p=4949

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