グラスに拾う。
桜の花びらを拾った。
いっぱい拾った。
明日になれば潰れてしまう花びらを拾った。
薄張りのグラスにいれると、ピンクのコーンフレークみたいにおいしそうで、
アイスクリームをのせたくなった。
友だちに見せると、こんぺいとうみたいだねといって、
ひとつちょうだいと指を入れた。
わたしの時間はタイムラプスのように緩まってしまい、
彼女がいちまい、舌の上にのせるのを、
とめることは間に合わなかった。
おいしそうと思ったのはおなじなのに、
罪びとだ。罪びとだ。罪びとだ。
わたしはそう思い、彼女を突き飛ばした。
わたしの靴底は、アスファルトにつぶれた桜の花びらを踏む。
よけようと思っても、踏む。
そして、こびりついている。
きれいには、はがせない。
拾われなかった花びらに、私は罰を受ける。
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