ドリップ

流れたなみだのすべてが

くちびるに流れ込む


ポタポタとほおを伝って

ポタポタとゆかに落ちるものが


なみだだと思っていた

昨日までのわたし


今日ね、なぜか

わたしの涙はゆかへ落ちずに

右の涙も

左のなみだも

くちびるに注がれていきました


あふれてくる温かい気持ちが

濾過されて

ふたたび自らに注ぎ込まれていく


紅い和ろうそくに燈るほのおが

大きく揺らめき天に昇る


上へ上へ


目にうつる揺らぎの中に

あなたは雲をみるでしょう

その器は、いまは水蒸気となって

この部屋に充満し

その身体へ入り込むでしょう

あなたは肺へ入り

あなたを形作るものとなるでしょう

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