メガネ転生~転生したらメガネだったぜいやっほおおおおおおい!~

甘栗ののね

第1部

プロローグ

 初恋は親戚のお姉さんだった。お姉さんはメガネをかけていた。


 次に好きになったのは小学校の同級生だった。その子もメガネをかけていた。


 高校生の時に告白した相手もメガネをかけていた。まあ、フラれてしまったのだけれども。


 マンガやアニメ、ゲームの好きになるキャラもメガネをかけていた。


 高校生の時に、俺は気づいた。


 俺はメガネフェチなのだと。


 それに気が付いた俺は何を見るときもメガネが気になるようになってしまった。普通のメガネ、おしゃれメガネ、老眼鏡にサングラス。


 メガネ、メガネ、メガネ。俺はメガネをかけている人が好きなのか、ただメガネが好きなのか。


 俺はメガネが好きだった。メガネをかけている人もメガネキャラも好きだった。


 そして、俺はだんだんとこう思うようになった。


 生まれ変わったら美少女のメガネになりたい。


 そんな俺も成人して、社会人となり、社畜となり、ブラック企業で働くようになった。


 そんなある日の朝、俺は連日の残業に次ぐ残業でふらふらにで、意識もはっきりせず起きているんだか寝ているんだかわからない、朝からへとへとのまま会社への道を歩いていた。


 本当にふらふらだった。おそらく過労で倒れる寸前だったのだろう。


 そんな時に見てしまった。あれは幻覚だったのか、それとも現実だったのか。


「……メガネだ」


 道路にメガネが落ちていた。道路のど真ん中にメガネが落ちていたのだ。


「助けなきゃ……」


 本当にどうかしていた。あの時の俺は全く持ってどうかしていたのだ。


 俺は道路に落ちているメガネを助けようとした。助けようとガードレールを乗り越えて道路に出たのだ。


 まあ、そのあとはお察しの通りである。


 道路に出て、メガネを拾って、そこで俺の記憶は途絶えた。


 そして、気が付くと俺は。


「どうですか、お嬢様……?」

「……見える、見えます」


 俺は美少女のメガネになっていた。

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