第132話:モチーフの答え合わせ





「帰省から帰ってきたが、主のやる気が底をついているため、ダンジョンの仕事は主が回復してからとなる」


 現実世界から帰ってきた翌日、配信画面を見ながら朧が伝えるその背後でひすいのもふもふに埋もれて虚無顔を晒して微動だにせず寝転がっている一颯の姿が映っている。




《草》

《土方さんの顔が虚無wwww》

《陰キャなのに人前に出て視線集めてたからな》

《そらそうなる。同じ陰キャのおれでもそうなる》

《朧さまたちはめっちゃ元気》

《帰ってきたばっかなのに今日水龍の都の店舗に矢馳くんいたんですけど》

《元気だなぁ》

《深山さまも治療所にいるぜ》

《土方さん以外は元気!》

《自分の部屋で転がらなくてそこで転がるんだ……?》

《↑自室にこもってたら引きずり出されるからな。今も引きずり出された後だ》

《さっき朧さまに荷物みたいに抱えられてきて今の位置に転がされてたゾ》

《↑草》

《引きずり出されたあとwwwwwww》

《ワロタwwwwww》



「さて、本来は主がやるべきなのだが、あの通りである故、我らがやるはめになった」


《やるべき……?》

《なんか紙取り出してね?》

《なになに??》



「新エリア群のモチーフの答え合わせよ」

「事前に主から聞いているため、小生たちでも答えられる故に安心せよ」

「昨日、主さまたちが帰ってきた時点で主さまにも人たの子たちに伝えるように頼まれているのよ」


 朧の近くに錦と馨も寄ってきて龍王3人が揃う。



《うおぉおおおお!》

《やっと答え合わせ出来る!!!》

《モチーフが判明したらモチーフにされた場所がまたにぎわうな!》

《いつものこと》

《ワクワク》




「ではまずは神社エリアから」

「ここはモチーフが2つある」


《2つ!》

《有力候補は香川の金刀比羅宮!》

《後1つあんの!?》


「うむ。皆の予想通り、香川のこんぴらさんこと金刀比羅宮が全体的なモチーフとなっている」

「それから其処許らが奥の社と呼んでいる場所、あそこは高屋神社がモチーフよ」


《金刀比羅宮あってた!!》

《高屋神社!天空の鳥居のとこか!》

《どっちも帰省してた土方さん目撃されてる件》

《あれかな?モチーフにさせてもらったっていう報告に行ってたとか??》

《↑それだ!》

《高屋神社ある場所とか土方さんの出身地も出身地じゃねーかwwww》

《自分の出身地ネタにするのはあるあるなので》

《たしかに》




「次ね、門前町エリア。こちらは産寧坂と坂本の2つよ」


《坂本もか!!》

《どこら辺に坂本要素??》

《入り口周辺じゃね?》

《ぽいな》

《産寧坂は分かりやすかったからすぐに特定されてたな》


「うむ、察した者もいるようだな。主が言うには坂本は門前町エリアの入り口あたりに取り入れておる」

「そこから産寧坂ベースになっていく様に作られたのが門前町エリアよ」


《はえー》

《1か所だけじゃなくて複数個所を組み込むのはようやるなと思う》




「次は城エリアであるが、ここは3カ所モチーフにしておる」


《3カ所!?》

《3カ所も!?》

《え、どこよ……?》

《雲海の城で有名な所だとは思うんだが、どこだ?》

《多分竹田城はモチーフにされてると思うんだが》

《あそこ遺跡だから天守閣自体はもうないんだよな。だから別の城もモチーフにしてるんじゃないかとは言われてたけど》


「備中松山城、越前大野城、竹田城の3つであるな」

「全体的な構成は竹田城、天守閣等の建物については備中松山城と越前大野城と言っておったぞ」


《言われてみればそうかもしれない!》

《言われると確かに!ってなるなった》

《確かにどっちも白っぽい城だな》

《モチーフを更に白くしてファンタジー化したのが城エリアの山城なんか》

《綺麗なので全部ヨシ!》

《PV見た後、天守閣はセーフティエリアかって思ってたらそんなことなかった記憶》

《それな。普通にモンスター出てくる場所で天体観測してた天文学部まじ天文学部》




「城下町エリアも2つモチーフがある」

「犬山城下町と松阪城下町よ。どちらも主さまは資料として現代の姿のものしか持っていなかったから想像で江戸時代風にしたと言っていたわね」

「城エリア近くが松阪城下町、入り口近くが犬山城下町がモチーフである」


《あ~~、犬山城下町かー!おれの予想外れた!!》

《松阪城下町は実際の場所見て知った後だと物凄く分かりやすいんだけど、犬山城下町は分からんかった!!》

《松阪城下町は確定だとして後1か所どこだってずっと言われたのが判明してスッキリ!》

《入り口近くはモチーフっぽい場所がホントにいくつもあって特定できなかったんだよな》

《そっか犬山城下町か~~!》

《相変わらず水と緑の街で綺麗なのは変わりないので何も言うことないです》




「モチーフがあるのは以上だ。田園エリアと茶畑エリアはモチーフは存在せぬぞ。まあ、主が言うには茶畑に関しては静岡のそれをちらりと見たらしいがな」

「田園エリアについては完全な想像とのことだ。資料をちらりと見もしていないそうなので、こちらについてはモチーフを探すだけ無駄であるぞ」

「主さま、最初は悩んでいたのですって。田園風景、湿原、茶畑、湖が候補になっていたそうなのだけれど、湖は水龍の都があるのですぐに外れて、湿原は今回のコンセプトとは少し違うと感じて外れて、残ったのが田園風景と茶畑だったらしいの」



《なるほど》

《確かに土方ダンジョンの湖と言えば水龍の都っていうイメージある》

《ちょっとだけ参考にされたらしい静岡県wwww》

《まあ、お茶と言えばあの県だからね》

《あれ、雲海エリアは?》

《そういえば雲海エリア》



「む、雲海エリアか?あれも想像であるぞ。しいて言うならば神々が住まう土地とはこんな感じだろうか?という様な事を主は言っておったな」


《確かに神様雲の上に住んでそうなイメージある》

《おれ的に高天原って雲の上にあるイメージ》

《なるほど理解》

《ほぼ……?》

《なんか参考にしてそうな雰囲気あるな》



「参考かどうかは分からぬが、主は雲海の城の写真で雲が広がっているのを眺めてはいたがな。参考にしたと言えるのはその程度であるぞ」


《あ、なるほど。それ参考にしてるからほぼ想像なのか》

《理解した》

《なるほどねー》

《そもそも今回の新エリアは多分土方さん的に雲海エリアがメインなんだろうな。雲海エリア作りたいがためにその下のエリアを作った。だからめっちゃ広くなって複数エリアで完成する景色を作り上げた》

《↑それだ》

《言われてみればそうだわ》



 流石に実際に神々が住まう場所の資料を基に作ったとは言えず言葉を濁した朧だが、視聴者は良い様に解釈してくれたので内心胸を撫でおろす。

 また、新エリアについても色々コメント欄で言われているがあたらずといえども遠からずな内容だったので特に触れずにスルーした。





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