探索そして恐喝
薬局を出てしばらく道を進むと、ドラッグストアが見える。
ドラッグストアには車が突っ込んでおり入口を窓には大きな穴が空いていた。
大吾 (酷いな…一応何かあるか見るか)
警戒しながらドラッグストアで中へと入っていく。
中には車が棚を押しのけレジに乗り上げていた。中に人は居なく事故って直ぐに脱出したのが見てとれる。
崩れた棚からは商品が散乱していてぐちゃぐちゃになっていた。
大吾「うわっマジで酷いな」
思わず声に出してしまいながらも、店内を隅々まで探索する。
風邪薬、消毒液、包帯といった医療物資を次々とバックパックの中に入れていく。
皆逃げることに必死だったのか商品が片っ端から無くなってる感じはなく、まだ沢山残っていた。
ドラッグストアを出て右にある駐車場には、眼科クリニックと菓子店といった建物しかない為、無視し左方面を進む。
またしばらく歩くと一関バイパス道路に戻ってきた。
大吾 (確かここの車の中から大量に感染者が……流石にもう居ないよな)
僕は、周囲を警戒して進む。周囲には感染者がちらほら居るが、必ずしも戦わなきゃいけない程の数ではなかった。
恐らくあの時追ってきた大群でかなり離れたのだろう。
再びホームセンターに戻ってきた。松田も、もしかしたら戻ってくるかも知れないしホームセンターも探索しよう。
僕はホームセンターの中に入ろうとしたその時、パリンッという音と共に後ろが明るく感じる。
ァ゙ァ゙ァ゙アア゙ア゙ア゙!!!
誰かいる。もしかして松田か?。
ゆっくりと後ろを見るそこには。
燃えている感染者を、ダンベルを木材に括り付けたような簡易ハンマーで殴り付ける女の人が居た。
大吾「え…女性?」
思わず口に出す。その女性は燃え尽きても動こうとする感染者の頭をハンマーで潰すと、腰のベルトから火炎瓶を取り火を付けた。
そして車から這い出ようとしている感染者に投げつけ車ごと焼き殺していた。
僕は生き残りがまだ居たという喜びよりも始めて実際に見た火炎瓶に驚愕し動けずにいた。
大吾 (話しかけたいけど多分死ぬよな)
ゆっくりと音を立てないように一歩また一歩と、ゆっくり下がる。
大吾 (よし…バレてないこのまま隠れ──)
ァ゙ゥ゙ア゙ア゙ガァア゙アゥ゙アア゙
背筋が凍る後ろにいる逃げ──。
ガッッ!!ギュュュユユュ
腕を掴まれ激しく締め付けられる。
大吾「痛!辞め!……あ!あぁ助け!誰か!助けて!」
掴んでいる手を話そうと腕を振るが、後もう少しのところでまた引き付けられ腕を締め付けられる。
ア゙アゥ゙アアヴア゙ア
感染者の息がほんの近くで感じ取れる。
喰われる嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
大吾「助けて!さっきの人!助けてくれ!」
全力で叫ぶ。叫ばないとダメだと本能が言っている。死ぬ…喰われたくない。腕が痛い。生きたまま喰われたくない。死にたくない。
大吾「松田!誰か!」
感染者の口が肩についた歯があっている。
もうダメだ──。
ゴッ……ドシャッ───
大吾「……あっ…あぁ──肩!肩が!」
「うるさいなぁ〜ゾンビもどき寄ってくんじゃんマジ黙れよキモイ」
大吾「でっでも肩!」
「はぁ?血ついてるだけで傷ついてないなら感染しねぇよ」
助けてくれた女の人は、パニック状態になっている僕にキレながらも後ろに転倒した感染者の頭をしっかりと潰した。
グシャッ……
後ろで何度聞いても気持ち悪い音がする。
でも助かったんだ。
大吾「やった……やった!ありがとう本当にありがとう!あっごめんね、興奮しちゃってでも──」
「いいよ。それじゃぁ君のバックパックから武器まで全部置いてってよ」
大吾「え?……いやそれは」
「助けたよね?…ねぇねぇお礼無しって酷いと思わない?思うよねぇ!」
ゴッンッ
足に激痛が走る。鉄の塊を足に打ち付けられたような痛みだ。
大吾「カハッ……あっぁあぁ…痛…足がァ……痛い…ぁあ」
「痛いって…折れてないのによく言うねー…次は頭だよ分かったら…交渉に乗ってよ」
必死に首を縦に振ると彼女はニヤリと笑い僕をホームセンターの中まで引っ張って行った。
「んじゃぁ自己紹介から私は真奈、君は?」
大吾「大吾…佐々木大吾!…はぁはぁ…」
真奈「息荒いね女子と話せて興奮してる?それとも足痛い?」
大吾「痛い…痛いから──」
真奈「ふぅん…んじゃ本題、君さ死ぬのとしばらく私の仲間になるのどっちがいい?」
大吾「え?え?」
真奈「本当は物資を奪うだけのつもりだったんだけどね?せっかく生存者しかも同じ年齢ぽいっ子だないてラッキーだし物資だけ奪って置いてくなんて可哀想だから」
大吾「仲間って…何するの……」
真奈「おっ結構がっつくね〜簡単だよ私を一関ICまで連れてって、そして一関ICまで来たら君の物資全部、私に渡すだけ
ねっ簡単でしょ♪」
大吾「嫌って言ったら」
真奈「君を襲ったゾンビもどきと同じにする」
物資を全て奪われる事には変わりないが、彼女の顔を見ると本気なようだ。彼女の言うことを断れば頭を生きたまま…松田を探す所じゃ無くなってしまった。
大吾「わっ…わかった……」
真奈「やった!じゃよろしくねー──あっ後、自分で立ってね」
真奈はズカズカと進んで行った。僕は足の痛みを我慢しながら立ち彼女に着いてく。
大吾「松田すまねぇ…これが終わったら探しに行く……」
真奈「なんか言った?」
何も……。
────
同時刻|フオン一関店、駐車場。
松田「ここら辺の店片っ端探したけど、何処にもいねぇ」
コンビニから始め、バーガー屋、スマホショップ、ペットショップ、銀行などなどを探したが大吾は何処にも居なかった。
松田「もしかして戻ったかぁ…?戻るにも感染者が──」
松田は二度見をする。
何者かがフオンの中へと入っていったのだ。
それも、明らかにこっちを見てだ。あれは感染者じゃない生存者だ。
松田はフオン一関店に向け走って行った。
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