新たな日常の始まり
WHOによる会見後、多くの国で感染が確認され、大きく話題になった。
既に欧米、ヨーロッパ、アジア圏で爆発的な感染拡大を見せており非常に危険なウイルスであることを思い知らされた。
が、日本では未だ感染が確認されておらず、ちょっとしたネットニュースで注意喚起がされただけで、特に政府からの発表も無かった。
このまま、ただ対岸の火を傍観するだけがと思われた五日後、6月22日に事態は大きく動いた。
6日前に、傷害の罪で逮捕された医者とその医者を、事件発生一日前に襲い逃走した後、つい二日に捕まった患者を検査したところ新型のウイルスに、感染していることが確認され東京での初の感染者となった。
このことは、大きく話題になり政府も緊急でこの事態に対処を始めた。
政府は至急、感染症対策や医療体制の強化、メディアによる感染症の情報提供と防止キャンペーンを始めた。
この万全な対応を持っても、ダメ…というか既に遅かったと言える。
それは、もうこの時点で、傷害事件の被害者、逃走した患者(感染者)に襲われた人、更に、これらに当てはまる人々の身内や知人も、感染している可能性があったからだ。
もうそこからは、まるでドミノ倒しのようだった。
6月25日
[今日、東京都内の感染者数は、1000人を超え依然と増え続け一方で、治療方法が未知であり現状隔離しか出来ないという状況に、国民からは、不満の声も。]
6月27日
[政府は、早くとも今週中に緊急事態宣言を発令し、国民に外出制限を求める方針を──。
今日、東京都内の感染者数は、3000人を超え様々な病院で、隔離体制に限界が。]
6月30日
[増え続ける感染者、東京都内では、初の一日5000人へ、全国的にも確認されており医療崩壊の現状に政府は、再び国民に自粛のお願いをすると共に、今後の対応について検討していく方針を発表しました。]
[アメリカでは、感染者が合わせて一億人を超え、孤立した東海岸では軍による救助や掃討作戦が行われておりこの掃討作戦について人権団体が西海岸で、集団となり抗議のデモを───。]
7月1日
朝起きると、家には誰も居ず机には一枚の紙が置いてあった。
[裕也へ。
お母さんには、黙っといて、って言われたけどなんか悪いから手紙を書いとくね。
今日、お母さんと一緒に、おばあちゃんとおじいちゃんがいる静岡まで行くの。本当は、お兄ちゃんも行くはずだったんだけど学校に行かない奴は、痛い目を見ろってお母さんが聞かなくってだからごめんね〜妹より。]
裕也「はぁ!?マジ?えぇ…マジか…」
7月3日
裕也「あれ?ニュースがやってない?おかしいな…ラジオ、ラジオ……」
カチッ……ジジ……ジ…。
〈トウ…京都内での感染者は、爆発的に増え続けており医療機関も、医療崩壊により機能しておらず、政府は東京都に自衛隊を災害派遣し、都内に残されている生存者の救助と隔離が出来ていない感染者を都内ごとに隔離することを発表し、綱総理は「このような対応になり非常に申し訳なく思っており、国民には理解して貰いたい。」と話しており今日にも、自衛隊の派遣がされる予定です。〉
7月5日
〈宮城、静岡、広島、福岡で爆発的な感染拡大これら全て、避難民の受け入れを開始した都道府県であり──〉
7月7日
〈避難民を受け入れた都道府県で爆発的な感染拡大が、起こった事により各地で、避難民受け入れ反対のデモが───〉
〈東北、九州で大規模な感染拡大、避難民反対のデモが感染を拡大の原因と見られ──〉
7月9日
〈綱総理は、東京都が閉鎖されるにつれ、政府機関を大阪に移動させるとして、今日にも政府専用機での移動を発表しました。〉
〈綱総理と各大臣を乗せた政府専用機が墜落。生存は絶望的か、機内で一体何が〉
〈在日米軍、撤退を発表。〉
7月10日
〈東京都内へ派遣された自衛隊の連絡途絶える隔離に失敗か──。〉
〈感染症の猛威により現在、臨時政府も機能しておらず各地では、混乱が広がり、一部地域では、犯罪率の上昇が──。〉
〈防衛大臣の死亡や東京封鎖の失敗により自衛隊内では動揺や指揮系統に混乱が──。〉
7月13日
〈岩手県で、初の感染を確認これで全国、全ての都道府県で感染を確認か。〉
〈避難民差別止まらず──避難民「今は協力すべき」〉
〈東北、九州地方で自衛隊が武装蜂起。〉
7月14日
〈武装蜂起を起こした自衛隊が、関門橋を占拠。東北では、仙台市内で発砲音が〉
〈武装蜂起を行っている自衛隊が声明を発表「政府機関の機能停止、在日米軍の撤退、自衛隊内での混乱これらに加え、未知の感染症により国家崩壊の一途を辿る現在、我々こそ真の日本国を自衛する組織であり治安の維持、感染者に対する徹底抗戦をしていく所存であります。」〉
7月15日
〈日本の各地で、自衛団が急増しており一部では、暴行や殺人事件も。〉
〈仙台、福岡で武装蜂起を行う自衛隊による感染者の掃討作戦が行われており、警戒が必要です。〉
7月16日
裕也「あれ?ラジオがつかねぇ…まぁこれ、死んだおじいちゃんが持ってたやつだしな」
たったの3週間ぐらいで、まるで地獄みたいになった。WHOは、あの会見以降大きな動きを見せず、海外からの情報も全く来ず分からずじまい。
俺は会見以降、外に出るのが怖くなってしばらく外に出ていない、まぁ外に出てもすること、といったら散歩ぐらいだからあまり支障は無いけど。
今日も、パソコンでオフラインのパソコンゲームをして暇を潰す、SNSをやってないせいでまともな情報も手に入れられず、頼み綱のラジオも壊れた。
もうどうなる事やら………。
7月17日
気づけば寝ていた、時計を見ると朝の2時ぐらいになっていて、こんな時間なのに外からは人の声が聞こえる。
裕也「え?なになに」
2階の窓から外を見下ろすと、多くの車が、走っていく音や何処からは、明らかに事故ったような音が聞こえる。
そして、人のパニックになったような声や叫び声が聞こえてくる。
外に出て、国道付近まで出ると、多くの車が渋滞によって、立ち往生しており人々は何かから逃げるように必死に走っていく。
だいたい何が起こったのかを察することは出来たが、いきなり過ぎて戸惑っていると。
「おい松田!!」
聞き慣れた声で、俺は振り返る。
そこには、7月という暑い月なのに厚着をしている大吾がいた。
裕也「大吾!え?これ、やばいよね……」
大吾「話は後で!まずお前の家に行こう!」
明らかに何から逃げる人々を横目に騒音の中、俺達は家に戻った。
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