日常の終わり

 アメリカで起こったデモは実は謎の感染症に罹った人々でした。治安維持の為に派遣した警官とも連絡が取れず大変です。


 ふざけてる、しかもアメリカでこれってことは、じゃあ日本で起きた傷害事件も謎の感染症の可能性大じゃん…え?どうしよう…。


 昨日の夢と、ゾンビパンデミックという言葉が頭から離れない。


 とりあえずいざと言う時の為に買い溜めでもしておこうか?どうするか……まぁ一応やっとくか急げ!。


 裕也は、部屋を飛び出ると外出用の服に着替え、買い物に出かけようと準備するが母親に呼び止められる。


 母「ちょっとちょっと、どこ行く気してんの?」


「え?買い物」


 母「はぁ…?まぁいいけど?」


 財布を取り鞄に入れ、いざ出発しようとすると、妹が話しかけてくる。


 妹「あれ?お兄ちゃんは行かないの?」


 行かない?どうゆう事だ?裕也は妹に詳しく聞こうとすると母が質問を遮るように話す。


 裕也「行かな………

 母「あ〜違う違うお兄ちゃんは用事があるの。ねっ!」


 母は妹を睨む。


 妹「え?あぁー…お兄ちゃんやっぱりなんでもない!」

 と、妹はそう言いったきり黙ってしまった。


 なんだコイツら全く持って意味のわからん無駄な時間だった。


 さてさて、こうしてはいられない早く買い物に行かなくては、このままのんびりしていると間違いなく自分と同じ考えの奴が買い占めを行うだろう…まぁまだ朝の7時ぐらいだ居ないだろうそんな奴。


 とりあえず、まずは近くのコンビニでも行こうその後はスーパーやドラッグストアにでも行くか。


 裕也は、家を出て近くのコンビニへと走る。


 走っていると何故だろうか、久しぶりにワクワクが止まらない。


 家が停電した時や近所で事故が起こった時、そんな普段の生活じゃ起こらない事が起きてしまいそうなこの状況に胸の高鳴りが抑えられない。


 バクバクと胸から感じる高鳴りに翻弄されながらも、コンビニに向かう。


 住宅で囲まれた道を出ると、すぐに国道4号線に出る。


 店員「いらっしゃいませー」


 コンビニに入り早速缶詰などの長持ちする食べ物、パン、菓子類をカゴに入れる。

 あとは退屈しないように漫画や前から気になってた週刊誌を買った。


 コンビニを出ると一旦、家に帰り荷物を降ろす。

 ──現在時刻──

[7時13分]

 ホームセンターやドラッグストアの開店時間まで暇だし朝ごはんでも食べるか。


 いつものようにパンではなくお茶漬けをゆっくりと食べ、何杯かおかわりをする。それでだいたい50分ぐらい粘った。


[7時55分]


 腹いっぱいで気持ち悪い。


 真面目な妹は、もう学校に行き母親は仕事に行った、父は埼玉に単身赴任である。


 そして俺はのんびりと朝のニュースを見る。


 ニュースでは新型の感染症の話ばっかりで、専門家達が意見を述べたり。別のニュースだと、日本でも既に感染が始まっているのでは、と恐怖心を煽っていた。


 WHOは、早くとも今日ぐらいに会見をするらしい。


 ニュース番組を見ていると、気づけば9時になっていた。


 そして颯爽とスーパーへ駆け出す。


 スーパーでは缶詰、インスタント類、飲料水を購入。その後、近くにあるドラッグストアにも寄りケア用品や包帯、消毒液や飲み薬など医療品を買った。


「あとはどこに行こうか……そうだホームセンターに行こう」


 ドラッグストアから道路を渡るとすぐ近くにホームセンターにある。

 着いたらまず木材、瞬間接着剤、ダクトテープを何個か購入しよう。


 ホームセンターに着くと次々と目的の物をカゴに入れていく。


(よし後は…やっぱりキャンプ用品も買っておくか)


 キャンプ用品を求め、アウトドア用品売り場に向かうと中学校時代の知り合いがいた。

しかし、ただの友人ではなくめんどくさい奴だった。


 ??「お!松田〜久しぶり!」


「……」


 真奈「真奈だよ、元気〜?」


 佐々木真奈、中学校1年の時に出会い3年まで一緒だったクラスメイトだ。


 特に一年の頃は、めちゃくちゃに虐められたが、授業中に問題を教えたり媚びを売りまくって最終的に仲良くなった。


 テストは5教科合わせて150点と終わっているが、そんな自分も五教科180点で、なんとも言えねぇ。しかも道徳は真奈の方がしっかりとしてる…多分。


 真奈「そういや松田、不登校になったんだってな〜」


「あ…あぁ〜う、うんそうだな〜」


 真奈「え、まじか!?いや別の学校の友達がさぁ───」


「おい待て、待てよ…お前もなんでここに居るんだ?今、9時半だぞ?まさか──」


 真奈「寝坊したから親に頼んで病欠ってこと、一緒にすんなボケッ」


 中学校の頃からヤバいなって思ってたけど、高校に上がって更にやばくなったな。


「終わってる…こいつ終わってる…」


 真奈「黙れ終わってんのはお前だろ〜」


 気づけばかなり話し込んでいた、ついでだしなんでここにいるか聞いてみるか。


「そういやなんでホームセンターに?」


 真奈「え?あぁ今日のニュースでさぁ新型の感染症のことやってたじゃん?あれ今日本でも流行ってるらしいから。念の為!」


 裕也「いや?流行ってなくね?」


 真奈「いやニュースで、日本でも既に感染が始まってるってニュースでやってたじゃん見ろよ!」


 確かにそうだけどそれってメディアの偏見じゃ、と思ったが、言うのは辞めておこう。楽しそうだし。


 真奈「というわけ松田!じゃあねー」


 裕也「またね」


 色々だるかったけどなんか中学に戻った気がしてちょっと楽しかった。


 かなり話し込んでしまったが、目的のクッキングギアやヘットギアもあるし後はダクトテープだけっと。


 残りの目的の物をカゴに入れ、会計を済ます。


 家に帰り時間を見るが、まだ10時だ。


「目的の物は買ったし二度寝しよ」


 二階に上がりベッドに潜り込む。走り回って疲れていたのか、すぐ眠れた。


 ジュー。何かを焼く音が聞こえる。


「……んー起きたフゥー」


 スマホを見ると、18時になっていた。


「うわっ…めっちゃ寝たな」


 ニュースサイトを開くと、どうやらWHOの会見はもう終わったらしい。


「うわー寝過ごしたー」


 ニュースサイトの記事に会見時の発言を一部切り取ったものがありそれによると。


 一部抜粋「このウイルスが、過去に確認された事の無い新型であることは事実であり、既にアメリカ以外の国でも確認されており。

早急な対応を目指し、引き続き調査をしていきます。

 現時点の調査では、この新型ウイルスに感染すると脳機能に異常をきたし正確な判断が出来なくなると共に、凶暴化し他人を無差別に襲うようなるという事が確認されております」


いつもどうりの日常が終わり、新しい日常が始まりそうな予感が頭を過ぎる。


俺は、昨日見た夢を思い出すそしてゆっくりと冷や汗をかいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る