第5話 ネクスト準備室でダラダラと
『納得出来ません、これが本当に国民の為になると思いますか?』
目の前のTVでは政治討論番組が放送されているのだが、野党側の論客がたじたじになる位暴れているのは我が伯母である。
「いや〜、お前の伯母さんマジですげ〜わ!」
本当に感心するやら呆れるやらの大吾さん
「やり過ぎて上の連中から睨まれないと良いんだけど……」
そう参院選で見事当選を果たした伯母は信康さんを慕っていた5名の議員を味方につけ、派閥のあり方を考えるの名の元『風間政策研究室』を立ち上げ、その人気と考え方に興味を持った新人議員を党派に関わらず取り込み、結果18人を数える新政策集団とあいなったのだ。
『大体貴方のとこの政策集団も結局は派閥じゃないのかね?』
『いえ、研究室として仲間内でのお金のやり取り等ありませんし、私が室長とはなってますが政治的になんの権限を持ってる訳でもありませんよ? 本当に皆で討論する場所を用意しただけ、これを派閥と呼ぶのですか?』
『ぐぬぬ……』
やり込められたおっさんが無言となる、この歯に衣着せぬ発言もお茶の間で大人気となりTVでも引っ張りだこ、今や政界のNewヒロインと言われる程の人気振りなのだ。
「まあやり過ぎないように信康さんに注意しとくか、それより物は用意してあるんですか?」
「ああ今朝秋葉原で購入済みだ、さっそくインストールを始めよう」
そう言って目の前のPCにソフトをダウンロードする大吾さん
「悪い悪い、待たせたな」
「ごめんこっちもようやく仕込み終わった」
健太と誠司も用事も済み準備室に入って来た。
「おうこっちも丁度インストールが終わったとこだ、早速おっ始めようぜ!」
「戦争以外の政務時間は1人五分までだからな、目の前の砂時計使ってくれ」
「わかった」 「了解」
「それじゃあ」
「「「「三国志の世界へ!」」」」
俺達の三国志Ⅲのマルチプレイが始まった
大輔 董卓
大吾 劉備
健太 曹操
誠司 孫堅
「ワハハ、我が養子呂布よ曹操軍を蹴散らすのだ!」
「ああ〜、我が陳留が!」
「ふははは、よくやったぞ呂布よ〜、ん? そこで裏切るんかい!」
「シメた、今こそ陳留奪還のチャンス!」
「何だと〜、これでは戦力大幅ダウンではないか〜」
「鬼の居ぬ間に何とやらだ、陶謙よ悪いが徐州はこの劉備が頂いた!」
「え〜劉備なのに陶謙排除するんですか〜」
「ふははは、誠……孫堅は甘ちゃんよな、所詮世の中弱肉強食の乱世よ、よしこれで反撃の拠点は用意できたぜ!」
「うう、我が軍は未だ劉表相手には戦力不足、内政を進めねばならぬ」
「ぐわ〜、反董卓連合だと!」
「ブフ、劉備なのに一揆起こされてやんの」
「ぐは!」
「まだだ、まだ内政のターンは終わらんよ、ん?」
「ププ、孫堅戦場に立つ事なく病死ですか!」
「そんな〜」
こうして波乱万丈な三国志Ⅲは守衛のおじさんが来る頃に曹操の天下統一という形で幕を閉じたのであった。
「弱いの〜、弱いの〜!」
「「「ぐぬぬぬ!」」」
いつか健太の奴は泣かす!
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