第2話 謝罪会見
「え〜それではこれより風間参議院議員よる会見を始めさせて頂きたいと思います、皆様ご静粛にお願いいたします、それでは議員」
沢山のカメラのフラッシュが炊かれる中、議員がカメラの前に立ち会見が始まる。
「まずはお集まり頂いた皆様、並びに国民の皆様に対し、多大な政治不審を招いてしまった事に心からお詫び申し上げます」
頭を下げる議員に対し更なるカメラのフラッシュの嵐が巻き起こる
「今回の件、私が政治資金法に違反し現金を受け取っていた事に関しては事実であります」
議員の回答に会場から響めきの声が上がる、まさかあっさり認めるとは誰も思わなかったのだ、そんな中記者席に対し資料が配られる
「現在お配りしてる資料に私が受け取った金額の正確な日付と額を記載させて頂きました、これを見れば一目瞭然かと思います」
会場からは更なる響めきが上がり、記者達はひったくる様に資料を読み始める
「私の不徳の致す所であり、国民の皆様の前で発言した行為を完全に裏切る形となった事について、言い訳のしようもありません、この責任を取る為に私は議員の職を辞する事に致しました、期待して頂いた国民の皆様方には重ねて申し訳ございませんでした」
議員が謝罪して頭を下げるともう現場はフラッシュの嵐で真っ白となる
「それでは質疑に移りたいと思います、議員に質問のある方挙手の上お答え下さい」
一斉に記者が挙手する中、1人の記者が選ばれる
「毎朝新聞の虚議です、この資料に記載されてる金額についてですが、余りにも少額ではありませんか? 事実とは思えませんが?」
「その金額に間違いございません、紙幣の通し番号も控えてありますので間違い無い事実です」
記者席からまたもや響めきが上がる、通し番号すら控えてたと言う事実に動揺したのであろう
「読買新聞の町田です、確かに少額ではありますが、国民を裏切り裏金を受け取った事実に変わりは無いですよね? ではそのお金の使い道についてお答え頂きたい」
「貴方の言う通りです、国民を裏切った事実に変わりありません責任は取ります、また受け取った金額については、この後執行部に全額そのまま返金させて頂きます」
今宵何度目かのもはや怒号が湧き上がる
「ま、待ってください、まさか本当に一銭も使ってないのですか? なら何故受け取ったのです、受け取る必要なかった筈です?」
動揺する記者の質問に議員が答える
「残念ながら、現在日本の政治を動かす上で現金のやり取りは潤滑油としてなくてはならない物となっておるのは否定できない事実となっております、私はそんな政治の中でも早く上に立ってそういう流れを変えたかった、その為必要悪として飲み込む事にしたのです」
「詭弁だ! いい格好したいだけじゃ無いのか!」
何処ぞの新聞記者からヤジが飛ぶ、挙手した上で質問願いますと答えると
「朝緋新聞の轟だ、あんたの言う事が事実だと誰が証明出来る?」
「資料を見て足りないと言うのであれば、どうぞお調べになって下さい、その上で汚職を事実と認め謝罪をし責任をとって辞職も決意しました、これ以上私にどうしろと言うのですか? そう言えば貴方でしたね私の汚職をすっぱ抜いた方は、是非お聞きしたかったのですが、一体どうやってお調べになったのですかな? 政権内部にでも居ないと調べる事は出来ないと思ったのですが?」
議員の問いにその記者は真っ赤になる
「不愉快だ、全部記事にしてやるから覚悟しろ」
そう言い記者会見の席を後にする轟記者を白い目で見る他の記者達、感の良い方は政権内部からのリークだと気づいた記者もいるようだ
「騒ぎ立てて申し訳なかった、以上で私の謝罪会見は終わります、国民の皆様には再度申します、期待を裏切ってしまい誠に申し訳ございませんでした」
再度深々と頭を下げる議員に対して、記者の人達ももう追求しようとする気はなくなっていたようだ
長年仕える主の頭を下げる姿ではあったが、私は誰よりも誇らしい気分であった、主人の甥の言う通りにして間違いはなかったようだ。
こうして世間を賑わせた風間議員汚職問題は、彼自身の幕引きによりそれ以上の騒ぎにならず幕を閉じたのである。
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