間話 罪深キモノ

 ガラーン! ガラーン! ガラーン!


 ダ・ダン♩ ダダ・ダダ・ダダン♫



 TVから皆がよく知るあのイントロが流れる、今我が家には一つの決まり事がある、土曜の夜19:00にはTVを女性陣に譲るという決まり事だ。


「始まったわよ、永遠!」


「美和子さん、楽しみですね〜」


 そう、あの伝説のセーラー服美少女戦士のアニメ放映がスタートしたのだ。


「本当に永遠はセーラーサンが好きだよな〜」


「そういう兄貴も見てるじゃん、少女漫画のアニメなんて恥ずかしくね?」


 小次郎が、興味はあるものの少し恥ずかしそうにしてるが、俺は笑顔で否定してやる


「馬鹿だな小次郎、アレは少女漫画の皮を被っているものの、中身は正体を隠しながらも正義を成す変身ヒーロー戦隊ものだぞ? 男女拘らず子供に受けないはずがなかろう?」


 そう、世の子供達はこのアニメの虜となりアニメは大ヒット、この流れは日本という枠を飛び超え、世界中の子供達をも虜にしてしまう作品となるのだ。


「ふ〜ん、そんなもんか」


 そう言ってた小次郎も、土曜の夜にはきっちりTVの前に座り興味なさそうにしながらも視線はTVに釘付けとなっていくのである。



 そうこの罪深き作品は、大きなお友達の心にも突き刺さってしまう、未だ世の中に認識されていなかった萌えと言うものを萌芽させた作品の一つでもあり、当時のオタク達のハートをも鷲掴みにしてしまったのだ。


 大きな男のお友達達が、グッズや雑誌の付録を求めて小さな女の子達と一緒の列に並んだりする景色が突如として出現、阿鼻叫喚の地獄を生み出してしまったり


 また大きな女の子達はヒロインのモーニング仮面様をそっちのけで敵役の幹部達に魂を惹かれてしまい、そんな彼女達はベストなカップリングを求め深い腐の森へと誘われて行く事に、真に罪深き作品なのである。



 えっ? なんでそんなに詳しいのかだって、かく言う自分も当時アンソロジーコミックなんて物まで手を出してしまうほどこの深い闇に飲み込まれてしまい、現実世界に戻ってくるのにかなりの年月を要したりした事もあったのだ。


 実際この後、小次郎もどハマりしてしまい、永遠から原作コミックを借り読破する程ハマってしまうのであった、深き闇の底まで落ちないよう俺が注意しなくてはな。



 さて毎週子供達の心を揺さぶったこの作品だが、話が進みボスとのラストバトルの直前に、あろう事かセーラー戦士達全滅エンドと言う、当時の子供達の心を奈落の底に叩き落とすという離れ業を展開


 その余りの展開に絶望した子供達の親達から、TV局へクレームの電話が殺到するという事態に発展する事になる


 御多分に洩れず、当然我が家でも永遠があまりにもな鬱展開ぶりに泣き出したり、ついにTVにかぶりつきで見るようになった小次郎も一緒になって泣き出す事態に


 結局感動の最終回を迎え、続編Rの発表があるまで2人の顔が晴れる事はなかったのであった、本当に当時のアニメスタッフには子供達のピュアな心を何だと思っていたのか、半日くらい問い正したい気分の大輔であった。




あとがき


 とりあえず時代の流行的に書かなきゃいけないだろうと思い書いてみたのですが、著者の偏見が、かな〜り入ってますので怒らないでやってください


 また実際には著者をオタク道という深い闇の世界へ誘った本当の作品は、天下のNHKで放送された不思議の海の娘だったりします。

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