第74話 秘密会談を終えて

 その後、俺が記憶している政治や経済の四方山話等を交え皆で話し合い、良い時間になった所で今回の会談は幕を閉じた


「いや大輔君、実に実りのある会談になりました、君さえ良ければいつでも政権スタッフとして雇う準備をしておきますよ」


 総理のお誘いだったが


「冗談でも勘弁して下さい、俺はのんびり暮らしたいだけなんですよ、政治の世界なんてブラックな環境ごめん被ります」


 俺がお断りすると苦笑する総理


「残念です本気でお誘いしたのですが、銀行の債権問題に関しては喫緊の課題として政権として対応を考えて行きますのでご安心ください」


 俺はそのセリフを聞きつつも表情は冴えなかった


 何故ならこの不良債権処理を進めようとした宮沢政権は大蔵省の猛反発を受け潰されるのを知っていたからだ。


 当然だ自分達の天下り先に塩をかけるような真似を当時の大蔵省が許すはずがなかったのである。


 また当初金融機関への国費投入による不良債権処理は金額の面からいっても銀行単体では処理が不可能な為仕方ない、という世間の流れだったのだが、これに対し朝緋新聞が金融機関側の責任を追求する方が先だと論調を展開、他のマスコミもこれを受け同調全乗りをした結果、世間の反発も受けてしまうのである。


 まごう事なき正論ではあったのだがタイミングが最悪である、この当時不良債権処理を進めていたら8兆円程度で処理は終わってたという試算もあったのだが、これが先送りされた結果、最終的に100兆円でも足りないと言われる位に不良債権は膨れ上がるのであった。


「釈迦に説法ではありますが、マスコミへの対応と大蔵省の横槍にはお気をつけ下さい」


 俺は助言として注意を促す事しかできなかった、総理はそれを聞き


「ご助言有り難うございます、本日ここに来て正解でした、それではまた」


 そう言って総理はにこやかに退室していった。


「ふむ、本当に勿体無いの〜、君ならワシよりよほど良い政治家に成れただろうに」


「勘弁してくださいよ〜、約束は守って下さいね」


「残念じゃの〜」


 本当に残念そうな表情の金角さんの隣で苦笑する信康さん


「先生お時間ですのでそろそろ、大輔君またな!」


 そうして2人も退室していった、1人VIPルームに残された俺は目を閉じて大きく息を吐き出す


 結局俺はこの機会に1番伝えたかった事は言えないままだったのだ、自分の正体を明かしてでも本来伝えるべきだった事


 1995年1月17日5時46分52秒に起きる大災害について



あとがき


 とりあえずはここでひと段落となります、今後アイデアが閃きましたらまたボチボチと投稿していきますので、よろしくお願いします。


PS

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