第27話 風間家本邸を離れ

「結局由佳さんを許してもらう事はできなかったな〜」


 結局あの後説得は不調に終わり翌日、帰路する際に俺が残念そうに語ると苦笑した美和子さんが


「いやあれで正解よ大輔君、泰子姉さんも色々理解出来たはずだわ」


「そうなの?」


 俺が疑問を投げかけると


「ああ見えて姉さんは愛が深い人なの、由佳を許さなかったのも由佳を思っての事よ、でも大輔君が康二さんの為人を褒めたでしょ、あれで納得したと思うわ」


「そうだと良いんだけど」


「でも驚いたわよ、いきなり書斎に入り込んできて姉さんを説得しようとするなんて」


 美和子さんは俺が説得に入って驚いたらしい


「さっき美和子さん、泰子さんは愛が深いと言ってたでしょ、俺もそう思ったから説得出来ると思ったんだ」


「どうしてそう思ったの?」


「史泰さんを見知ってるからだよ」


 美和子さんがどう言う事? と腑に落ちない表情


「名家の跡取り息子としては史泰さん優しすぎるからね、泰子さん自身は厳しく育ててるつもりなんだろうけどきっと駄々甘だよ?」


 話を聞いた美和子さんが思わず苦笑する


「それに史泰さんの名前、泰子さん自身の一文字を与えてるでしょ? 名家では珍しいよね、家に関するものじゃなく母親の自分の名前からって、それだけ史泰さんを大事にしてるんだと思ってね」


「成る程ね、姉さんらしい」


「そういや小次郎あの後俺が説得してる時、史泰さんと何してたんだ?」


「夕飯を一緒に食べた後、また信長の野心を一緒にやったよ、今度は僕が伊達、史泰さんが徳川で時間がなくて決着はつかなかったけどね」


「またやったのかよ、懲りないね〜」


 その後家族で本家であった話をしながら俺達は帰路についたのだった



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 俺等が自宅に辿り着くと、玄関の前で由佳さんが待っていた


「おかえり、みんな、なあどんな魔法を使って泰子姉を説得したんだよ、さっき泰子姉から、言い過ぎたわごめんなさいと謝罪の電話がきて勘当はなかった事になったぜ!」


 俺と美和子さんは同時に顔を見合わせた後に2人で思わず笑い出してしまった


「なあどうやって説得したんだよ、今後使えるかも知れないから教えてくれよ! なあ」


 なんとか話を聞き出そうとする由佳さんの周りで俺等の笑い声が響き渡るのであった



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 それから1週間が過ぎ、騒動も収まった頃、現在ネクストに泰子さんが訪れています。


 どうも俺があの時話したバブル崩壊の件でやって来たようで、根掘り葉掘り美和子さんを問い詰めているようです、ネクストのプランを検討しつつ、俺も呼び出せと矢の催促


 話を聞いて逃げ出した俺であった

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