第二部 第4章 伝説の幕開け

第28話 初陣

 秋は無かった、いいね?


 冗談はさておき、秋に健太と早苗の剣道の大会があり、健太が全国4位、早苗が2位に入るなど剣道部は躍進、ただ審判の誤審? で2人とも負けた所為で後味の悪い物となったようだ、後日かなり問題になったらしい(一部で有力校の圧力があったとか)


 また学祭とかもあったのだが特に特筆すべき事もなかったので割愛する(誠司が料理研で活躍して、当日告白されたとか記憶にございません)


 さて暦も12月となり、世間ではバブルの崩壊の足音が聞こえ始める季節となりましたが、明日、日曜日がカザマテイオーのデビュー戦です。


 大谷調教師からは出来は8割程度との事です、メイチで仕上げなかったのはデビュー戦勝利したら脚元の状況を見て年末に2戦目、来年2月のきさらぎ賞を目指すローテーの為との事、輸送は本番まで極力減らすそうです


 小次郎と真理子さんも明日に向けて準備万端との事で、今も小次郎は色々準備してる模様、大谷さんから口取り式の準備してて下さいと頼もしい一言も頂いた事ですしね



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「風間オーナー、いよいよ初陣ですね!」


「大谷さん、テイオーの事よくぞここまで無事に、ありがとうございます!」


「大谷さん、ありがとう!」


 俺と小次郎からの感謝を受け、若干照れながらも


「いえ、テイオーを任せてくださり、こちらこそ感謝の気持ちで一杯です、今日はテイオーの走りをご覧になってください」


 俺と小次郎と真理子さんがにこやかに頷くと、今度は大谷さんから本日の騎手を紹介してもらう事に


「オーナーからの依頼もあり、日原騎手にテイオーの主戦を引き受けて頂きました」


 お〜、史実とは異なるが、あの有馬記念の名コンビが叶うとは!


「日原騎手、テイオーの事よろしくお願いします」


「こちらこそお願いします、いや〜、デビュー前から栗東でとんでもない馬がいると話題になっていた馬ですからね、是非にって奴ですよ」


「そろそろ時間ですので、ここら辺で、オーナー、口取り式でお待ちしてます」


 こうして俺達は関係者と別れ馬主席でテイオーの勝利を見届ける為移動する。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「兄貴、テイオーが来たよ!」


 現在本馬場入場、テイオーが独特の歩様で馬場入りした、うん調子は良さそうだ


「小次郎、テイオーの調子良さそうだぞ」


「あったりまえだよ兄貴、今日はテイオーの勝利を見に来たんだから、ね、真理子さん」


「その通りです、勝ち以外あり得ません!」


 この2人、かかり気味だろ!


 本馬場入場も終わり、返し馬も順調に進む、数分後スタートの準備も終わったようだ


「小次郎、いよいよだぞ!」 「うん」


 スターターの人が旗を掲げる、楽隊の音楽も終わり、ゲートも完了……ズダン! スタートだ!


「スタート悪くない、位置取りもちょうど中盤位だな、ヨシ!」


「テイオー頑張れ〜」


「テイオーちゃん頑張って〜」


 道中も順調に進み3コーナー、日原騎手が軽く仕掛けると、グンとスピードを上げたテイオーが先頭をあっさり交わしていく


「うわ〜、テイオーが先頭に立った!」


「本当です、テイオーいけーーー!」


「おいおい日原騎手、仕掛け早くないかい?」


 俺の心配を他所に、テイオーはグングン後続を突き放していく、実況も興奮しているのか大声が聞こえてくる


「テイオー直線で先頭に立った、ムチも使わず後続を突き放していく、これは強い、これは怪物だ、テイオー手綱を持ったまま、カザマテイオー1着でゴールイン!」


「「「やったーーーー!!」」」


 カザマテイオーは周囲の期待に応え、デビュー戦大楽勝の圧勝を見せた、興奮冷めやらぬ俺達だったが周囲が騒然としている


「なんだあの馬は?」 「化け物だ!」 「なんて瞬発力だ」


 周囲が騒然とする中、俺達は口取り式の撮影の為、ウィーナーズサークルへと向かう



「オーナーおめでとう御座います!」


「大谷さん有り難う、ここまで仕上げてくれて!」


「大谷さんテイオー凄かった!」


「有り難う御座います、大谷さん」


「いや予想してましたが、とんでもないレースでしたね、騎手には最後抑えてくれと言った通りの走りだったんですが、それでもアレですから」


「日原騎手も有り難う御座います!」


「オーナー、こいつは俺の騎手人生においても、ちょっと見た事がない強さです、任せて頂ければすごいところ取れそうです、今後ともよろしくお願いしますよ」


「お任せします、日原騎手、今後ともよろしくです」


 こうしてカザマテイオーのデビュー戦は圧勝で終え、関西では結構な話題となり、全国の競馬関係者から関西にとんでもない馬がいると噂されるようになるのであった。

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