第25話 風間家本邸にて②
コン!コン!コン!
「失礼します大輔です、入ります」
「ちょっと大輔君!」
史泰さんが慌てて止めようとするも、強行して書斎に入ります
「まだお話は終わってないの、大輔君控えなさい!」
俺が強制的に入って来たのが気に障ったのか、少し強めに叱る泰子さん
「件の男性は、私の友人の兄なのですよ、少しばかり説明をさせて頂きたいと思いまして」
まったく気にせず俺がソファーに座る姿に
「美和子、貴女どういう教育をしているの!」
躾がなってないと美和子さんを叱るも、頭を抱えた美和子さんが
「は〜、姉さん大輔君は由佳以上の難物なの、こうなったらテコでも動かないわよ」
呆れたような表情を浮かべた泰子さんが、数刻考えた後
「……史泰、小次郎君を連れ先にリビングで待ってなさい」
「わ、わかったよ母さん」
史泰さんが小次郎を連れ出してリビングに向かう、背後で小次郎が頑張ってと手を降って離れていった
「話を聞いて頂き感謝いたします」
不満そうな泰子さんに対し、さてここからどう説得していこうかな〜、実はノープランだったりします。
「そう言えば信康さんは、まだ永田町ですか?」
そう、この家の長たる信康さんの姿が見えないので、ひとまず話のとっかかりとして聞いてみる。
「今は仕事が忙しいので、中々帰って来れないのよ」
「成る程、去年の参院選惨敗の後、今年衆議院での勝利で参議院側の風当たりが強いんでしょうね、今は永田町から離れられないでしょう」
まだ高校生の俺が、正確に政治の情勢を理解してるのを聞き、驚きの表情を浮かべ美和子さんを見る泰子さん
「こういう子なのよ」
美和子さんの説明に少々困惑気味の泰子さん
「あっ、すいません、話の腰を折ってしまって本題に入りましょう、どこまで説明を聞いてるのでしょうか?」
とりあえず美和子さんが説明した内容を補足しようとそれまでの話を聞く事に
ん? あれ、由佳さんが先に一目惚れしてガンガンアプローチかけていったんだが、説明してないのかな?
「すいません話の前提としてですが、由佳さんが初対面の際に康二兄に一目惚れしてアプローチしていったのですが、ご存知なかったのでしょうか?」
「き、聞いてないわよ、美和子!」
「すいません姉さん、私も初めて聞きました」
あちゃー、由佳さんが詳しく説明しなかったのもあるけど、美和子さんも鈍いからそこは気づかなかったんだな、それは説明不足にもなるか
「という訳で、とある理由で落ち込んでる康二兄を由佳さんが励ます形で仲を深めていったようでして」
俺が補足する形で説得していくのだが、ここで泰子さんが問題発言をしてしまう
「だからと言って嫁入り前の妹を傷物にするなんて、そのような下衆な輩は風間家に相応しくありません、お金目当てかもしれませんし別れるべきです!」
成る程、由佳さんがキレた理由はコレか、確かに結婚前に手をつけたのは問題だがそれ以上にその発言は頂けない。
ああ見えて健太の尊敬する立派な兄であり、俺も前世含め散々世話になった御仁だ、その人に下衆だのお金目当てだのようも言ってくれたな、久々にカチーンときましたよ!
「はあ、風間家だの名家だの聞くに耐えんな、たかだか明治の頃に廻船業でひとやま当てただけの山師の家系が偉ぶってるだけじゃね〜か!」
こうしてラウンド開始のゴングが鳴り響きました
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます