第二部 第3章 夏の思い出

第20話 1990年夏の伝説

 梅雨明けも近づき夏本番も迫ってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか、大輔です。


 学校では5月に早めの修学旅行があり、旅行先はまたも沖縄となったのですが、剛田さん達にも再開でき交流を深めて参りました、誠司が料理研究会の2年メンバー連れて『ハイサイ』で伊佐雄さんに指導して貰うと息巻いていてその許可を貰うのに苦労したりと色々大変でした。


 さて本日ですが、なんと日本武道館へ来ています、何故かというと


「健太、バック、バック……写った? OK」


 ジャン、なんとアンダードッグ初の武道館ライブ何ですよこれが


「凄いわよね、由佳さん達、アンダードッグは今や世間の話題の的よ、うちのクラスからもサイン貰って来てと頼まれちゃった」


 岡崎夫妻、ブラザーズと共に応援に駆けつけた訳です、早苗と永遠ちゃんはもう張り切りまくってカメラマンの健太をコキ使ってます、更にもう2人


「本当にお呼ばれして良かったのかしら?」


「シックル書記なんですから身内みたいなもんですよ、先輩気にしないで」


「坊ん、呼んでくれて感謝してる、今日は伝説になるぜ、これはよ〜」


 はい花蓮先輩と熱烈なファンのマサさんです、まあ花蓮先輩はもう身内みたいなもんですから割愛しますが、マサさんはガチのアンダードッグのファンですから、一応声掛けたら滅茶苦茶感謝されましたよ


 さっそく楽屋の方へお邪魔しようかと思ったのですがマジで厳戒態勢、関係者以外お断りの看板が、身内なんで関係者とも言えるのですが、かなりピリピリした様子だったので、打ち上げの時でいいやと花束をマネージャーに預けて顔出しはやめておきました


「凄い緊張感ね」


「なんせ初の武道館ライブですしね」


「これは予感がするぜ、伝説の幕開けの予感がよ〜」


 皆がいつも以上の緊張感に固唾を飲む中、まさに伝説となるライブの幕が上がった



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「あ〜みんなあの頃ともう違うんだな〜」


 俺はしみじみとそう思った


最初の頃はリズム隊も駄目駄目で、努力しようと頑張ってるのはわかるがそれが結果に結び付かず、皆がまさに噛ませ犬状態だった


 俺が未来の楽曲を提供し猛練習を行なった結果、ようやく一つの武器を手に入れた彼女達は数々の戦場に乗り込み腕を上げ、イケテンでの活躍で全国区にそしてこの舞台にたどり着いたのだ


「「きゃーーーー、リーダー!!」」


 隣では早苗と永遠ちゃんの絶叫に鼓膜が破れるかと思ったわ


「うおーーー、ユッカ、パパパン、スバル、パパパン、ミーコ、パパパン、タマキ、パパパン、ケーイ、パパパン」


 マサさんは完全にオタ芸です、本当にありがとうございました


 そうして伝説のライブは幕を閉じたのであるが、最後にメンバー全員がステージの前方に立ち、由佳さんが語り始めた


「みんな今日は聴きに来てくれて、マジでありがとうな、本当に魂の全部をこのライブに注ぎ込む事が出来た、皆に心からの感謝を」


 全員が頭を下げる、皆が拍手する中全員が俺を見つめる、ん? なんだ?


「大輔ありがとな、私達がやりたかった事全て叶えてくれて、本当に空っぽになるまでやり尽くしたぜ」


 俺は急に目頭が熱くなるのを感じてそっぽを向く、笑いながら俺を見てたメンバー達だったが最後にとんでもない爆弾を落とす


「本当に空っぽになるまでやり尽くした、もうこれ以上の演奏はできね〜、以上の宣言をもって私らアンダードッグの引退宣言とさせて貰う、今までありがとな」


 全員が再度頭を深々と下げる


 完全に静まり返った武道館会場は、数秒の後、絶叫の渦に叩き込まれる


 こうして伝説の幕は開き、同時に伝説の幕が閉じたのである



後書き

 漫画家、鳥山明さんの冥福をお祈りします


 正しく著者の青春ど真ん中でした

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