第19話 それから1年栗東にて
「ここが栗東トレーニングセンター」
大谷さんからの連絡を受けやってきました栗東トレーニングセンター、大輔です。
あの後も色々ありました。
日本に百数十人しかいない専門の心療内科の先生に治療を受けた大谷さんが、未だ治療中ではあるものの、ようやく心の問題を乗り越えて仕事に取り掛かれるようになり、少数預かってた管理馬の成績も良くなったそうで、加奈子夫人からも感謝の手紙が届いたり
テイオーの名前が史実のトーカイからカザマテイオーに変更になったり
小次郎と真理子さんがテイオーマニアと化し頻繁に関係者と連絡をとって情報を集めてたたりと
まあ様々な事を乗り越えて本日栗東トレーニングセンターに入厩となった訳です。
「大谷さ〜ん」
「やあ、久しぶりだね大輔君」
おお、肌艶も良く顔色も随分と明るくなったな〜大谷さん!
「大谷さん、テイオーは何処」
今日も一緒に来た小次郎と、もはやネクスト競馬部門専任となった真理子さんはさっそくテイオーが気になる模様、会話そっちのけでテイオーが気になる小次郎に苦笑しつつ
「すいません、大谷さん、テイオーを見せてもらっていいですか?」
「はは、わかりました、今から調教となりますのでお見せいたしますね」
数分後、連れてきたテイオーを見た感想
「で、デカくなったな〜テイオー!」
元々幼少期のテイオーは馬格も小さく、余り見栄えのする馬ではなかったのだが、随分と大きくなったよな〜
「なんだ兄貴知らなかったの?」
小次郎は情報を集める中で日に日に大きくなるテイオーを写真で見てたらしい、そういうのは共有しようぜ小次郎
「ははは、栗東の2歳馬の中でも時計が良く、徐々に話題になってますよ」
話を聞くと、慎重に抑え目の調教を進めているものの、ストライドの大きな走りで時計がでるようで栗東で凄いのがいると噂になってる模様、まあテイオーだしな〜
「気を付けて下さいね、見た目以上に跳びが大きい走法は負担も大きいでしょうから、まあこれは釈迦に説法でしょうけど」
「心得てますよ、この馬の脚元のケアについては入念に行ってます、予算もかけてますしね」
そうテイオーの育成費については、ほぼ無制限で出すと明言してあるのだ、史実を思うと気にし過ぎるくらいで丁度いい
「それでは調教を始めよう、俊樹進めてくれ」
弟の俊樹さんに合図を送り調教スタートする、大谷さんの顔が一気に勝負師の顔に
ゆったりとしたスタートで軽くキャンター気味で走るテイオーだがその伸びは凄まじく、ゴールする頃には抑え気味で走ってたのに凄い時計が出てた模様
「凄いテイオーはえ〜」
「テイオーちゃん、凄いですね」
小次郎と真理子さんが喜ぶ中、後ろに立っていた別の調教師さん達がヒソヒソ話で
「2歳の時計じゃね〜な、これはあんちゃんと相談しね〜と、頭いて〜ぜ」
「返しの手首の音がここまで聞こえるなんて!」
流石テイオー半端じゃない
調教を終えたテイオーに向かった大谷さんが脚元の確認をして戻ってきた
「すいません、随分抑えたつもりだったのですが予想外にスピードが出てしまったようで、今日は残りは引き運動のみですね」
少し顔を青くした大谷さんでしたが、脚元は大丈夫そうです
「どうです、大谷さん、テイオーは?」
率直に聞いてみた
「化け物ですね、この馬に勝てる同歳馬がいるとは正直言って思えません」
メンタル弱い大谷さんの掛け値なしの絶賛である
「デビューはいつ頃になりそうですか?」
「12月の阪神芝2000mを予定してます、楽しみにしていて下さい」
こうしてテイオーのデビュー戦が決まったのであった
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