第5話 花蓮先輩との駆け引き

「てな事がありまして、で事件は無事解決できたって訳です」


 あの当時の裏であったヤバい事を除き花蓮先輩に状況を説明する


「成る程そう言う事だったのね、でも変ねあなたが隠し立てしてないなら情報はもっと拡散しててもおかしくないんだけど?」


「聞かれたら答えますよ、別に内緒にしてる訳じゃないですし? ただ聞かれてない事をベラベラ喋る事はしませんけど」


「は〜……」


 思わず溜息をこぼす花蓮先輩


「あなたね〜、あの時あの大騒動でどれだけの噂が飛び回ったと思ってるの? 時期的に新入生が関わってるってのは確かだと言われててそれ故に新世代の乱って話になっちゃったけど、やれ3組の誰々だやら、いや剣道部の新人らしいやら、ただその中で唯一個人名で風間某って奴が関わってるって噂があったのでカマをかけてみれば……」


 なるほどどうやら俺は先輩にしてやられたようだ


「まあそういう事ですね、カツアゲされていた生徒も今後巻き上げられる事も無くなった訳ですし、めでたしめでたしですよ」


「んな訳無いでしょ!!」


 いきなり先輩が大声を出したので驚く


「あの事件の後どれだけ後始末に追われたと思ってるの、PTAやら教育委員会から全教員が吊し上げをくらって学校関係者が誰1人処罰されなかったのは半ば奇跡ね、事件を探っていた当時生徒会書記だった私も教師からの当て擦りで散々嫌味を言われたわ!」


「ありゃ、それじゃあ俺が解決してしまって悪かったですかね?」


「怒るわよ、あなたが集金を止めてくれた事は正しい行いよ、私も集金システムの噂は聞いて動こうとしたけど、事なかれ主義の教師達を動かす事までは出来なかった、言うなれば唯の愚痴ね、多分自分が出来なかった事を解決されたのが悔しいんだと思うわ」


 へ〜、この時代にこの世代で自分を客観的に外から見られる資質を持ってるのか、凄い希少な存在だな


「先輩凄いですね、こういう時って普通厄介な相手の排除にかかりませんか?」


「冗談じゃないわ、自分を超える相手なら頭を下げて教えを乞うか、その相手を取り込みにかかるのが私流よ、てな訳で風間大輔君、あなた生徒会に来ない? 副会長権限でスカウトするわ!」


 げっ、そういうタイプか、だが冗談ではない、俺のゆるふわ高校生スローライフにおいて生徒会活動等に縛られるという状況は想定してないのだ


「残念ながら先輩、自分は投資サークル活動の部長としての活動が忙しいので残念ですがお断りさせて頂きます」


 高校に入ってからはお互いのリアル活動が忙しい為、実際には年一回しかシックルの会議は開いてないものの、嘘も方便ここは回避させて貰いますよ


「あら、サークル活動を行ってるのね、しかも投資サークルなんて、実は私も親の影響で少しばかり投資行為に興味があるの、是非参加させて欲しいわ」


 ぐわ〜藪蛇だったか! だがここは俺のスローライフの為にもお断りせねば


「いや先輩、高校から金勘定に現を抜かすのはいかがな物かと、それに生徒会活動や受験があるのですからサークル活動までわざわざおこなわなくても……」


「あら心配してくれて有難う、でも一年の模試の時点で東大理ⅢのA判定貰ってるから心配は無用よ、生徒会も今はそれ程忙しくないし、それじゃあ次の会議には呼んでね風間君!」


 そう言うと花蓮先輩はスタスタと立ち去っていってしまった、いやこれどうすんのよ?

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