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第六十四話 とある団体の悲劇
「ご迷惑をおかけしました」
黒木が頭を下げる
「構わん保釈金なぞ痛くも痒くもない、それでどういう事だ？」
「対象のガキに嵌められました」
当時の経緯を説明する
「何だそのガキは、しかししてやられたな、そうなると今後子供を使っての脅しはマズイか？」
「警察側も今は目も光らせてます、家族への脅しは組本部への圧力となるでしょう」
「作戦を変えねばなるまいな、ふむ例のルポライターに誹謗中傷の記事を書かせるか？」
「いい手ですね、搦手から相手を弱らせられます」
これでジワリジワリと追い詰めてやればいい、あの会社の利益は莫大だ、絶対に手に入れて見せる
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
数日後
「組長大変です」
黒木の奴が事務所に駆け込んでくる
「こいつを見て下さい」
黒木が差し出した地元紙の欄に今回の顛末が記事にされていた
「暴力団体からの脅迫を跳ね除けた若き女性代表は現代のジャンヌ・ダルクか、か……」
「例のルポライターもこの一件で記事をボツにされ沖縄に飛ばされたそうです」
「くそ、このタイミングで先を越されるとはどうなってやがる！」
こうなってくると搦手は使えない、仕方ない何人か引っ張られるのは覚悟の上だ
「三瓶、若いの連れてネクストのビルでやらかして来い、手段は問わねえ！」
「ヘイ！」
何としてもあの会社はうちの組の傘下にしねえと、手段は問わねえ
「組長すいません、若いの連れてトラックで突っ込む予定がいつの間にか全員伸されちまいやして、俺は気づいてすぐ抜け出したんですが、若い連中は朝方連絡を受けたサツにそのまま連れていかれました」
「何だと！」
馬鹿な一体何が起こった、こう見えて三瓶はウチで一番腕は立つそう簡単にやられる筈がねえ
「このままじゃ組に迷惑をかけちまう、俺が指示したと自首してきますんで後をお願いします、申し訳ねえ」
そう言って三瓶がそのまま組事務所を出て行った、くそ何が起こってやがる、こうまで上手くいかないのは流石におかしいぞ？
数日間俺が頭を悩ませてせいると、黒木が飛び込んで来た
「組長大変です！ うちの事務所と龍虎会の事務所に銃弾が撃ち込まれました」
「何だと〜、ウチと事を構えるとは何処の連中だ！」
「組長、これまでの流れひょっとして山西会の連中の仕業じゃ？」
そういう事か！ アイツら俺達を嵌めやがったな、うちが力を落としたのを幸いに狙ってきやがった！ 誰か裏切り者がいやがる
「黒木、身内に裏切り者がいる可能性がある徹底的に洗え、そして山西会の連中は潰すぞ」
「はい、龍虎会の連中にも伝えときます」
くそ、この一件高くつくぞ、山西会の連中め
竜星会事務所前
「まっ、こんなとこじゃろ」
「えげつねえな爺さん」
現在組事務所前で盗聴中の大輔です、このジジイ無茶苦茶だ
盗聴して相手の策を先回りして潰した上で、対立事務所を喰い合せやがった
「でもこの後どうするんだ？ 抗争が激化すると被害者が出るぞ？」
流石にそれはマズイだろ
「細工は流々、仕掛けは上々、後は仕上げを御覧じろってとこじゃの、まあ見ておくと良いわ」
正直不安だ
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