未来知識で逆行した現代でスローライフを目指す

第五十八話 二学期の始まり

　ネクストでの会議の後美和子さんとも話をしましたが、今のペースなら来年の3月には予定より多い4000万ドル位の資金は準備できそうです

　交渉次第ですが、マイクロンソフト株の10〜15%は確保出来るのではないでしょうか、とある理由で丁度いい時期でもありますし

「という事です、美和子さん来年3月まで気合いを入れていきましょう」

「わかってるわ、ネクストでも出来うる限りの資金調達を行う予定よ」

　これで良い、この件が上手くいけば目的の未来のスローライフは確実に達成出来る、踏ん張りどころだ

　◆　◇　◆　◇　◆

　さて夏休みも明け二学期です、今日もブラザーズを引き連れて学校へ向かいます

「永遠ちゃん、おはよう！」

　永遠ちゃんといつも遊ぶグループの2人の友達が、今日も一緒に登校のお誘いです

「気を付けてな〜！」

　キャッキャ騒ぎながら離れていく永遠ちゃん達と別れ俺達も学校へ

　校門へ到着すると正面に健太の姿が

「はよ〜」　「おはよう」　「おはよう先輩」

「おはよう」

　ここで小次郎と別れ、健太が合流し入り口靴箱へ向かうと、健太の靴箱から一枚の手紙が落ちてきたのです

「「え〜〜！」」

　伝説の靴箱へのラブレターとか初めて見たわ、くそ健太の癖にモテやがって、爆発しろ！

「……」

　しばし無言だった健太はポケットへそっと手紙をしまいます

「いや驚くとかなんかリアクションしろよ！」

　隣で誠司もうんうん頷いてます

「いや初めてじゃないし、この娘も騒がれたくないだろ、静かにしてくれ」

　なんだと！　初めてじゃないのか、誠司も隣で驚いてるが何より何このイケメンムーブ、こいつ豆腐の角で頭打って◯ねば良いのに

　その後も、わいわいギャアギャア言いながら教室に入ると中に早苗が居た

「「「おはよう〜」」」

「おはよう」

　挨拶後、流石に早苗に知らせるのは拙かろうと俺は騒ぎを辞めたのだが

「ねえ聞いてよ早苗さん、健太ってモテるんだよ、ラブレター貰ったんだ」

　ちょ、この馬鹿よりによって早苗にチクるとか何考えてやがる！

　健太も驚愕の表情で目を見張ったまま誠司を凝視する

　まるで錆びついたブリキ人形が振り向く感じでギリギリとこちらへ振り向いた早苗が

「へ、へ〜〜、健太さんっておモテにならはりますのやね〜」

　なんで微妙な京都弁？

「い、いや、貰ったけど断るつもりだから！」

「えっ、じゃあその前に貰ったのも断ったんだ？」

　空気が凍り付くとはまさにこういう状況だろう、俺は思わず誠司の頭をぶっ叩く

「痛っ、何すんのさ？」　「いいから黙ってろ！」

　絶対零度の空気漂う中

「へ〜〜、健太さんそんなにモテるんやね〜、ど、どうぞお幸せに！」

　そう言って教室から抜けようとする早苗を健太が追いかけていく、どうするんだこの状況……