第三十九話 円福寺事件③

「何で強くなってんの?」


 俺は気になってしまい健太に尋ねる事にした


 未来の健太は俺と同じく喧嘩はからっきしで、母ちゃんには腕力でも勝てないってよく言ってたもんだ、いくら何でも変わり過ぎである


「うーん、前に大輔から預かった200万あったじゃん」


「おう、それが?」


「最初はさ、それを投資に使って資産運用の勉強に使う予定だったよ」


 うん、その為に無利子無担保で貸し出した訳だし


「でもさ、これから資産運用の勉強した所で大輔に追い付くどころか、足を引っ張るのが関の山だと思ったんだ」


「うーん、そこまで気にせず投資の勉強に使ってくれても良かったんだけどな」


「そうだけどさ……たまに大輔が俺の事、相棒って言ってくれてるじゃん」


「ま、まあ偶にな! 偶〜にだ」


「だからさ、相棒に必要な事を必死に考えた訳さ、それで大輔に出来ない事をサポートすればいいと考えた」


「はっ?」


「最初は武道を習おうと考えて、空手の道場とかに行ってたんだけど、そこの先生が繁華街でチンピラに絡まれて、背後から不意打ちされて、タコ殴りされてた所を一瞬で蹴散らした爺さんがいてな」


「すぐに空手を辞めて、頭を下げてその爺さんに頼み込んで弟子にしてもらう事にした」


「は〜〜っ!?」


「最初全然相手してくれなくて弟子にしてもらうの大変だったんだが、当時先生借金があったらしく100万程だったんだが月謝替わりに俺が払っときましたって言ったら唖然とした後、大笑いしてようやく弟子にして貰えたんだ」


「は〜〜〜っ?!」


「後、英語の塾と、PCの事をネクスト行った時に奈々さんから教わってる、大輔が今後必要になるって言ってたからな」


「……」


「何で今80万くらいしかないんだけど……い、いつか返すからちょっとだけ待ってくれ」


「ぷ」


「ぷ?」


「ぷ、ぷプっ……ブワ〜〜ッはっはっは、ひっ、ひ〜ぃ駄目、お腹いたい」


 このバカ、あろう事か市場への投資資金と思い渡した200万を自分自身に投資しやがった!

 普通考えてもそれをやるか? まあだからこそ俺はこいつを相棒と思ってるんだけどな、あ〜可笑しいまだ笑いの発作が収まらんわ


「あ〜、健太君とりあえず200万の無利子無担保の件な、あれは辞めた」


「え〜〜っ!?」


 青くなるくらいならやらなきゃ良いのに、俺は笑いながら


「あれは健太にやる、ただし中学の内に使い切る事それが条件な」


思わず健太がコクコクと頷く


「あ、あと領収書だけは取っといてくれ、俺が美和子さんに怒られるからな」



 中学生卒業の時にこれを見た美和子さんが爆笑したのは後の話

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