第二十八話 武者修行の旅へ

 暦も8月を過ぎ、ようやく気温も暖かくなりいかがお過ごしでしょうか大輔です


 あれからのアンダードッグですが、地元周辺のあらかたのライブハウスで前座に出まくり伝説を作りまくってます

 

 今ではアンダードッグ前座お断りの状が、地元のライブハウス中心に配られてるほど荒らし回ったらしく

どうやらあちこちのバンドから泣きが入ったみたい


 普通にメインでのオファーも来てるのに何故前座ばかり?って聞いたのですが

対バンで噛み付けないのは気合が乗らないとの事


 うーん、演奏前にメンバーを励ますのに何かないか? と聞かれたので、例のハードマン軍曹式の奴を半ば冗談で提案したのが不味かったろうか?

最近バンドの皆が軍隊ナイズ化されてきて恐怖を感じるのだが


 ま、まあとりあえずプロデュース業も一息ついたのでようやくお役御免て感じですね

 

 それで今後はどうするの? と尋ねたら『逆境』のテープの売り上げとメンバーの貯金で中古のバンを買ったらしく

これから全国行脚の武者修行との事で、全国南回りでライブハウス巡りするのだとか


 対バン巡りなら曲の方は足りてるの? と尋ねたら

現在ミーコさんが由佳さんの新しい声に触発されて、今まで作った曲を半ば魔改造してほぼ新曲として叩き直したみたい


 弟子には負けられないと寝食を削って作り込んだらしい、最近俺を見る師匠の目が燃え上がってたのはそれか〜



〜3日後〜


俺と健太と美和子さんと小次郎の4人で今日はunderdogの見送りに来ています


「それじゃあ由佳さん達、メンバーの安全と将来ビッグバンドになるのを期待してますよ」


「ああ、皆には沢山世話になったな〜」


「健太に大輔、借りはいつか返すかんな」


「皆またね〜」


「いずれ、またお会いしましょう」


「弟子、またね……」


「し、師匠が喋った〜〜!!」


 そうやってバタバタしつつも大変だったバンドプロデュース業が終わりを告げたのでした


 後年、このアンダードッグに色々とお世話になるのだがそれはまだ先のお話

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