第二十六話 赤い怒り⑤

 とりあえず人様に聞かせられる程度のデモテープは完成したので、翌日それを持ってボイトレチームに合流。


「へ〜、曲初めて聴いたけど中々いい感じじゃん!」


「ソーデスネー、ベリーストロングなビートをカンジマス」


「とりあえずのベースになる物は出来ました、これからはこのデモ曲を使って練習していきます、それとこれが歌詞になります」


「オーライ、ユカさん、ハジメマショウ」


 そう言って2人は早速練習を始めるのだが、うーん、こりゃ駄目だ、ただ音楽に沿って歌っているだけで情感も何もあったもんじゃない


「はいストップ、由佳さん一度脳内を空っぽにして教わった事を全部忘れて貰っていいですか」


「「?!」」


 2人とも驚いてるな、そりゃそうだ、でもこのままだと何も進展しなさそうなんだよね〜


「とりあえず由佳さん歌詞の方を読み込んで貰っていいですか? 2日ほど」


「「!?」」


 1〜2分の曲の歌詞を2日掛けて読み込む、普通じゃないのはわかってる、でも由佳さんの直感力に掛けてみたい。




 翌々日


「はい、今その気持ちのまま頭空っぽにして歌ってみて」


準備は完了後は野となれ山となれだ。


 そして由佳さんがゆっくりと歌い出す


「♪〜 ♪ 〜♪」


「!?」


 流石由佳さん、いきなり変わりすぎです


「ウィルソンさん、今です、指示をお願いします」


「oh〜ファンタスティック、君は魔法使いかい?」


「どちらかと言うと由佳さんの方が魔女っぽいんですけどね〜」


 その後は最初のほうが何だったんだ! ってくらい順調に進み出す


「モット、気怠そうに、コエにユラギを」


「モット〜ソウルフルに歌詞にあるようにタガを外シナサイ」


「ラストのサビのぶぶんデス、今までのシャウトボイスを超えなさい、コエヲキリサキナサイ!」


 終わる頃には2人ともクタクタになってへたり込んでいたが凄い満足そうだ


 コレなら合流日までに何とかものに出来そう。



 それから1週間が過ぎ、由佳さんが歌姫の真似事くらいは名乗って良いかな、ってレベルに達したので皆で合流し最後の3日間の仕上げに入る。


 合流した由佳さんは、合流後直ぐにこれでもかとばかりエネルギーを周り中に撒き散らすかの如くシャウトを響かせる。


「大輔が言ってた由佳さんが合流すれば歌の真価が分かる、って言ったの心の底から同意するわ、て言うか気を抜くとついてけね〜」


「本当、こんな凄い曲だったなんて」


「信じられない! ガラ声の方はパワーアップしてるのに気にならないどころか、それが声の質を艶やかにさせてるなんて!」


コクコク


 皆驚愕してるとこ悪いが完成まで時間がないぞ


「残り3日しかないんだ、呆けてる暇は無いよ、巻いて行こ〜巻いて!」


 さあラストスパートです


そうやって、最後の3日間が終わりを迎えました。

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