第二十五話 赤い怒り④

「これが新曲の『逆境』になります聞いて下さい」


 ようやくバンドメンバーに曲のお披露目です、ミーコさんから指導してもらったお陰で早めに完成に漕ぎ着けられましたよ


 (♪〜  演奏中  ♪〜)


 曲が聴き終わりましたので皆に感想を聞いていきます


「なんだろう? いい曲だとは思うんだが、不思議というか何というか?」


「これワザと半音ずらしたりしてますよね? 意味があるんですか」


「うんわかる、下手?って訳じゃないけど何だろうもどかしい」


コクコク


 まあピアノ独奏ではこの歌の魅力は2割も理解できないだろう、皆良い感性をしてるぜ。


「この歌はある特定のシンガーが歌う事で完成する珍しい曲です、恐らく普通の歌手が歌っても魅力は伝えきれないでしょう、ピアノ演奏だけでは理解出来ないのも同じ理由です」


 皆さん首を捻ってらっしゃるが、由佳さんが合流すれば1発で理解するはず


「皆には1週間で声無しバージョンのほうのデモテープを完成させて貰います」


 皆頷いてる、とりあえずは納得してくれたらしい


「完成したデモテープを由佳さんの所に持っていき向こうでも練習をして貰います」


 ジョンソンさんの話では2人の相性もいいらしく、1週間ほどである程度の目処は立つとの事、丁度いい残り時間は唄の完成に取り組んで貰おう


「デモが完成した後は、皆には更なるクオリティアップに励んで貰い、合宿終了3日前に由佳さんとも合流、残り3日で曲を完成させます」


「す、スケジュールが過密過ぎないか?」


 皆頷いてるようですが知ったこっちゃありません、巻きで行かないと巻きで!


「それでは今日からのデスマーチ皆で乗り切りましょう!」



 〜数時間経過〜


「ギター、リフが全然効いてないよ、開幕ソロは見せ場でしょうが、何チンタラやってんの〜(怒」


「ドラム〜、弾幕薄いよ、何やってんの!」


「ベース〜、リズム安定してるけど音圧がまだ全然足りない、ルート音バランス崩れてくよ〜」


「師匠、いつもいい感じですね頑張ってください、あっ、飲み物お持ちしますね♪」


「「「そこいい加減にしろ!!(怒」」」

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