矛先


 突きつけられた刃に最初は動揺した。


 驚き。その感情はやがて、血なまぐささと共に怒りへ変わる。


 しばらく経ってから、自分を責める。


 それを自分らしさと形容する烏滸がましさに辟易し、絶望感に膝を震わせる。


 弱いのかもしれない。弱さから出る熱源体を噛み殺す。それは時に血の味がした。それは時にガムの味がした。


 耳を塞ぐ。両耳をポップソングに浸す。


 道化師のように、笑顔を取り繕う。


 ふと鏡に映った自分の姿が、この世で一番憎らしい。

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