第4話

「劇辛大将軍! 趙軍が来ました!」


 楼閣を登り、儂も敵を視認した。階段が、キッツいな~。

 一年ぶりだ。でも趙国の再侵攻は、予想していた。


「前回と同じね。防衛に徹してね。無断で打って出ると、処すからね~」


「「「はっ!」」」


 大分、儂の考えが伝わって来たみたいだ。

 今はとにかく兵士を死なせたくない。

 この後、何時一大決戦があるか分からない。

 そう思っていたんだけど……。


「また使者が来たの?」


 毎回の挑発は、面倒くさいな~。

 木簡を受け取る。


『秦国叩かない? 合従軍するよ。龐煖ほうけんより』


 ふむ……。


「OK~、採用! 合従軍に参加しようか。今日から趙国は味方ね」


「「「えええ!?」」」


 そうだった、劇辛の死後に合従軍があんだった。

 合従軍で成功すれば、秦国の統一がなくなる。

 儂にとっては、唯一最後のチャンスかもしれない。いや、現時点で中華の最後の希望かもしんない。


「そういえば、燕国の大将軍って、歴史では不明なんだよな……。オ○ド?」


 少なくとも、儂じゃない。

 そして、儂が死亡する戦い未来も回避することができた。

 歴史は、動き始めているぞ!





 さーて、準備しないとな。

 燕国から函谷関まで結構遠いんだ。

 それと斉国が、参加しないんだ。防衛も必要だ。これは、機密事項だな。漏れたら、歴史が大きく変わってしまう。


 進軍中に本国を落とされる間抜けには、なりたくない。

 まず、燕王さまに報告だな。


「燕王様。合従軍に行って来ます。秦国が暴れているので、処して来ますね」


「うん。頑張ってね。財宝を持って帰って来てね」


 良し、許可が下りた。

 5万人の軍勢で出陣だ。国内の半分の兵士を出兵させるけど、この戦に全てをかけないとね。もう、後がない。


 兵糧は、趙国が出してくれることになった。

 燕国は、寒くて農業が余り発達していないんだよね。

 他国に援助して貰う。

 換わりに塩の提供だ。内陸国の趙国は喜んでる。

 趙国って、戦争ばっかりしているイメージがあるけど、時代なんかね?

 秦国が攻め続けていて、そう見えるだけかな?


 趙国を素通りして行く。

 兵士には、略奪などしないように通達を出す。

 今まで敵国だったけど、いきなり味方って言われても納得できないかもしれない。それは、趙国の民衆も同じだ。

 視線が、それを物語っている。


「劇辛大将軍殿。ご苦労様です。良く参加してくれました」


 ここで、声をかけられた。


「誰? 趙国の知り合いは、少ないんですけど?」


「李牧っす」


 お~。この人か!



 李牧と一緒に移動する。

 史実では、北方を守っていたけど、合従軍でも参加していたんだ?

 まあ、大した問題じゃない。


「皆、秦国に困ってんのね~」


 秦国の東郡宣言って、それほど脅威だったのね。


「秦国は、隣接する4ヵ国を侵攻し続けていて……。もう、滅茶苦茶なんです。まあ、白起の時代からなんですけどね」


 白起の時代より酷いのか~。

 秦王は……、本気なんだな~。

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