第2話
とりあえず、王様に報告だ。
四輪車を用意して貰ったけど拒否して、杖をついて歩く。
まだ、衰えたくはない。自分の足で歩くのだ。
王様の前で座った。両手を会わせて敬礼する。
「お騒がせしました」
「うむ。それでは、出陣を頼む。軍は整えたから、よろしくね」
おいおい。老人を労われよ。
燕国って本当に人材がいないんだな。
逃げる隙もなく、馬車に乗せられて出発だ。
どうなってんのかね、この国。
◇
国境の武遂と方城に向かう。趙国の狙いは、分かっているのかな?
『李牧かな~。史実だと負けんだよな~。どうすっかな~』
武遂に着くと、2万の兵士が並んでいるよ……。
その中を、歩いて進んで行く。
「「「
声援が、五月蠅いんだけど……。鼓舞って言うのかな?
太鼓叩かないでよ……。
「あ~、挨拶は抜きで。防衛態勢に戻ってね~」
「「「はっ!」」」
うん、いい兵士たちだ。できれば、生きて帰してあげたいね。
その後、軍議になった。
「……防衛戦にしようか。趙国って兵士が多いのよね」
「えええ? 地の利があるのに打って出ないのですか?」
相手は、李牧だよ?
戦国四大名将だよ?
勝てるわけないじゃん。史実だと、燕国は、ここで失敗したんだな~。
趙軍が来た。
遠目に見える場所に陣を構えたけど、攻めては来ないな?
そのまま、数日が経過する。
そうすると、趙国から手紙が届いた。木簡かな。
「明日、決戦をしよう? 冗談じゃない」
「燕国は、腰抜けの集まりか! 大陸中にその腑抜けさが伝わるぞ!」
使者が、罵倒して来るよ。度胸だけは、認めるけどね~。
死ぬ覚悟で来たのは認めるけど、それは勇気じゃないね。
「劇辛大将軍! 舐められています! 戦いましょう!」
「ダメ。相手にする必要はない。この使者追い返して」
「「「えええ!?」」」
挑発には、乗らないよ。
使者には、帰って貰った。でも次も同じ人物だったら、処そうかな~。
趙軍は、冬になったら撤退した。
結局は、一戦も交えなかったんだ。
将兵は、不満なようだ。
「劇辛大将軍……。これでは、天下の笑いモノですぞ!」
防衛できたことを喜ぼうよ。
「笑われるのは、儂だけだから。それよりもまた来るから、今の内に兵士を故郷に帰してあげてね」
こうして兵士の半分が、一時帰宅した。
儂は、武遂に留まる。
そうすると、斉国が攻めて来た!?
「歴史にないじゃん? どうなってんの?」
「はえ?」
とりあえず、防衛態勢は整っている。
兵士が減っているだけだ。
斉軍は、城攻めを開始して来た。
多大な被害を出しながら、攻めて来ている。軍の指揮官の差が、ハッキリ分かるな。準備万端な武遂を力攻めするのは、下策だ。
「う~ん。後は、燕王さま次第かな~」
史実通り、武遂と方城が陥落するのであれば、儂はここまでかな……。
でも、違う可能性も出て来た。だって、攻めてんの斉国じゃん。
そう……。歴史を変えられるのであれば、まだ間に合うか?
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