第6話
桃◯を始めて一時間程が経った。おかしな事に今勝っているのは聖子だった。
「ふっふっふ、あーはっはっは!どうやら今回は僕の勝ちみたいだね!」
「いや、勝ちを確信するにはまだ早い」
「おやおや、それで負けたら目も当てられないよ?」
「その言葉、そっくりそのまま返してやるぜ!」
聖子、お前は気付いていないんだ。お前の今までの発言全てが、フラグだと言うことにな!
「ふっ、そんな事あるわけ……は?」
聖子が特殊なカードを使いサイコロを増やして俺との距離を離そうとしたが、出た目は全て一だった。
どうやら、不運が始まったようだな。
「はっはは、まあ今回は特別運が悪かっただけだから……」
「それはどうかな?」
「え?」
俺は聖子と同じように、サイコロを増やすカードを使い、サイコロを回す。
出た目は——
「ぜ、全部6!?」
「ほら、こいつやるよ!」
「あぁー!?貧乏神擦りつけられたー!!」
聖子を引き離し、貧乏神を擦りつけて俺は今回設定されたゴールに辿り着いた。
「ぐぬぬ……一回僕よりも早くゴールに着けたからって調子に乗らないことだね!僕にかかればこのくらい……はぁ!?」
聖子の発言を否定するように、貧乏神が進化を始めた。
「ちょ、待って!それは違うじゃん!ここでそれは……あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
貧乏神の進化の中で、最悪なものが出た。このゲームで引いてはならない者。その名は邪神。これを引いた者は絶対的な敗北が約束される。
さて、ここからは愉快な反撃の時間だ。
「ちょ、僕のカードォーー!!」
全てのカードを捨てられ、崩れ落ちる聖子。
「でも僕が先にゴールに着けば……1!?」
サイコロを回しても出た目は1。そんな数字じゃあ到底俺に追い付くことはできない。
「また1!?」
何回引いてもサイコロは一しか出ない。その間にも俺はゴールへと近付いていき、聖子の借金も増えていく。
「はいゴール!」
「なんでだよ!さっきまで勝ってたのに!」
「おっ、次のゴールも俺の方が近いな」
「贔屓だ!ずる!チート!」
「単にお前の運が悪いだけだろ。ほら、借金サイコロ回せよ」
邪神はプレイヤーにサイコロを回させ、その出た目によって金を奪ってしまう。当然、運が悪い聖子は碌な目を引かない。
「なんで全部6なんだぁああああ!!」
こういう事も当然ある。なんならこういう事の方が多い。
なんか可哀想になってきたな。でも同時に興奮してきたわ。
「ちょっと!なんで君だけそんなにいい目が出るんだよ!」
「これが運だ!」
「不公平だ!」
あーはっはっはっは!!
きもちぇーーーーー!!!
「優斗、君ほんと性格悪いよね!!」
「お前に言われたかねぇよ!」
いつもいつも俺を煽ってくれるからな!
これは仕返しだ!!
「あぁああああ……負けたぁ」
「はっはっは!俺の勝ちだ!」
「ぐぬぬ……はぁ。潔く負けを認めるよ。納得はしてないけど。で、優斗は僕に何を頼むんだい?」
「………」
やべぇ、聖子に勝って気持ち良くなることしか考えてなかったから何も思い浮かばねぇ。
「あー、そうだな………なんでもいいのか?」
「うん。僕にできる範囲ならね」
さて、どうしようか……。
聖子にして欲しいことかぁ。
当然エッチな事はアウトだろうし、でも手作りのご飯食べたいとか一緒に遊びたいとかは今更だからなぁ。エッチな事と健全なことの境目くらいがベストだ。
「うーん……膝枕とか、あり?」
「ん?膝枕?」
「あー……ごめん、気持ち悪かったよな。忘れてくれ」
流石に膝枕はキモすぎたわ。幼馴染でもそれはキツいだろ。
やっちまった、絶対引かれたよな……。
「うおっ」
突然体が引っ張られ、頭が聖子の太ももに収まった。
「まったく、高校生にもなって膝枕を要求して来るとは思わなかったよ」
「え……あっ、え?」
「ただまぁ、そうやって甘えたい時もあるでしょ」
「………」
「君は僕の弟みたいなものだし、甘えたい時は素直に言ってよね」
そっと頭を撫でて来る。
顔が熱い。心臓がバクバクとうるさい音を立てる。
本当にこいつは、俺の気も知らないで……。
愛しい幼馴染の膝枕なのにちくりと胸が痛んだのは、彼女が俺を男として見ていないからだろうか……。
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