第10話『三匹のおっさん ふたたび』
三人は現行犯で逮捕され、警察に連行され、留置場に留置された後、身元引受人として来た環と叶愛に説明されて、めでたく釈放となったが、三人共に疲労困憊で、鈴木などはこれからどうなるのかを考えると一睡も出来なかった。そしてこともあろうか、ストーカーは三人組が留置場に勾留されている時に、通学のバス停から再び、制服のスカートを刃物で切り刻む卑劣な犯行に及んだ。そもそも三人組の夜警によるパトロールへの通報の声質も、どうやら音声変換ソフトによるもので、機械的な声で、『怪しい三人組が彷徨いているので、補導か、もしくは職質して欲しい』との連絡があり、不承不承、付近の交番警官が動いたら、源太郎の白杖で思い切り殴られて意識を失ったとのこと。おっさん三人組は、三蔵法師の手のひらで操られた孫悟空の如し、深い諦念へと誘われた結果である。三人組は、一枚も二枚も上をゆく姿を見せぬストーカーに対して、煮えたぎる程の憤りを覚えた。鈴木と源太郎、鵜澤の三匹のおっさんと、環に叶愛の二人の乙女たちは、鈴木邸にて、居間でテーブルを挟んで作戦会議を行っていた。『あん野郎、うち達ば罠にはめて絶対に許しゃんたい!』源太郎は顔を紅潮させて、怒りをあらわにした。『で、極めつけはコレ!』と環はA4用紙をテーブルに叩きつけた。その紙には、「鈴木叶愛は売春行為をしている売女だ!ただちにクビにせよ!」と書かれていた。このA4用紙が叶愛の通う塾のポストに投函され、それを発見した塾の講師が、鈴木と叶愛に事情の説明を求めたが、これまた事実無根で、鈴木は呆れた様子で、塾をしばらく休ませてもらうことを申し出た。講師の疑るようなものの言い方に、源太郎は抗議に
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