第4話 猫下さん山本文緒作品を語る
早朝の真冬のF井県の寒さは中々の手ごわさで、アウトドア派の環も慣れるまでは、なかなかスッと外に出ていこうという気にならなかった。会社のそばにあるカラオケボックスで友人と二時間ほど歌って外にでたら、歩けない程に雪が積もっていたこともあった。日本海から吹きつける寒波は、全身を針で刺された感覚で、寒いを通り越し、痛くて皮膚が破裂しそうな強烈な感覚であった。環は一眼レフと焦点距離四百ミリの超望遠レンズ、三脚を愛車コペンをオープンにして、ラゲッジスペースにカメラの機材を詰め込んだ。環は防寒具を着込み、待ち合わせ場所に指定していた図書館にクルマを走らせた。フルレストアされたコペンは以前とは見違えるほどに軽快な乗り心地で、愛車のあまりにも素晴らしい仕上がり具合に環は思わず苦笑した。メカニックの
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