第2話災難

竹内が帰り支度をしている長谷川に近付き、

「先輩。今日のミーティングありがとうございました。一緒に夜、お食事しませんか?」

と、言った。

「お食事〜、良いよ!美味しい焼き肉があるんだ。そこに行こうよ」

「はいっ」

2人は一緒に会社を出発した。

歩きながら、

「先輩は、いつもお腹を壊していますよね?」

「またぁ、体質だと思うよ」

「私、昼休み時間調べたのですが、『過敏性腸症候群』じゃないでしょうか?」

と、竹内が心配気に話した。

「うん、そうだよ。過敏性腸症候群間違いない。実は薬を飲んでいるんだ。でも、効かないんだよね」

「私、専門の病院探します」

「いいよ、いいよ。アリガトな。病院は自分で探すから」

と、言っていると焼き肉屋に着いた。

2人はテキトーに注文して、生ビールで乾杯した。


かんぱ〜い


「今日は、ホントにすいませんでした。資料もミーティングも」

「気にすんな。皆んな、そう言う時代があったんだから」

2人はタン塩を焼いていた。

「オレはコピーしようと書類を100枚印刷しないといけないのに、ボタンの押し間違いで1000枚コピーしたことがあるよ」

「1000枚ですか?」

「うん。残りの900枚は資料室に隠した」

2人は仲良く、焼き肉とビールを楽しんだ。

お勘定は、長谷川が全額払った。

「長谷川さん。今夜はありがとうございました。また、お願いします」

と、竹内が店外でお辞儀した。

「いいよ、いいよ、こんなオッサンと飲んでくれてありがとう、じゃ、またな」

と、言う長谷川の後ろ姿を竹内は見詰めていた。

竹内は、長谷川に好意を持ち始めていた。


長谷川はバスに乗り、自宅最寄りのバス停で降りた。


ゴロゴロ、キューグジュグジュッ


「た、大変だ。自宅まで間に合うかな?」

と、独り言を言って家を目指した。


グノアッ!


「こ、コイツはオオモンだ!どうしよう、間に合わない。場所だ、場所!第一波をどこかで出そう」


長谷川は駐車場、資材置き場を歩き回り、資材置き場で尻を出した。

ポケットティッシュは持っていた。

「くそ〜、こんな場所で!屈辱だ!」

だが、治まる気配がしない。

そこへ、1台のトラックが止まる。

長谷川は、取り敢えずポケットティッシュで拭いて、裏の道に出た。

足早に、その場を去った。軽犯罪である。他人の敷地内で下痢をしたことは。


作業員が、

「うわっ、先輩!ここで、誰かがクソしてやがる」

「きったねぇーな?犬か?」

「違います。ティッシュがあるので人間です」

と、言い出すと、その作業員はホースで水を掛けクソを流した。


帰宅した長谷川はまた、トイレに籠もる。

そのままシャワーを浴びた。


夜の薬を飲んだ。

ホントにこの過敏性腸症候群を治す方法は無いか?真剣に考え始めた。

翌朝、竹内を捕まえ相談した。

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