第33話 【悲報】幼馴染の株、大暴落【ざまぁ】
絵里花が勢いよくテーブルを叩きながら席を立ち叫んでいたが、俺がスマホ以外のバルキューバ製品のデザインを手がけていた事実は変わらない。
悪質クレーマーのように絵里花は俺に噛みついていたが、絵里花の父親の佐々木社長が宥めていた。
「まあまあ、絵里花。優一くんが優秀なことが何がいけないんだい? それに今日は絵里花と優一くんの婚約発表じゃないか」
「ぱ、パパ……」
「さあさあ、二人とも壇上に上がって、みんなに発表しよう」
「う、うん……」
俺と結婚したくないはずの絵里花は素直に佐々木社長に従い、俺の隣に並んでいた。
意外だったが、絵里花は俺に耳打ちする。
「いくら優一が優秀なデザイナーだろうが、キモオタで私の下僕なのは変わらないからね。それに優一があの子たちにモテるとかおかしいのよ。だから、私があんたと結婚すれば……あんたは浮気できないからね。私は渉と交際し続けるけど」
私が浮気するのはいいけど、俺が浮気するのは絶対に許さないといったアタオカ理論をぶちあげた。
「勝手にしろ。俺は絵里花のために結婚するんじゃない。家族のために結婚するんだ」
父さんは絶対に絵里花と縁を切らせてやるから大船に乗ったつもりでいろ、とは言っていたものの、これでは本当に俺と絵里花は……。父さんも体調がすこぶる悪そうだし。
「しゃっ、社長ぉぉぉっ!!!」
婚約破棄の計画がご破算になってしまうと思ったときだった。いきなりパーティー会場のドアを開き、バルキューバの社員と思しき人が血相を変えて飛び込んでくる。
「なんだ? いま大事な娘の婚約発表だと言うのに……」
「そ、その絵里花お嬢さまに関してなんですが……動画で拡散されてしまっていて……」
佐々木社長はスマホを取り出し、画面を食い入るように見つめるとみるみるうちに真っ青な顔へと変わっていた。
俺もi Phoneへ変わったスマホを取り出し、確認するとおすすめに出ていた動画をタップする。
【悲報】バルキューバのご令嬢、自社スマホを罵倒し破壊する
『お疲れさまです、やみなべです。とんでもないニュースが飛び込んで参りました! 見てください、バルキューバというおしゃれ家電を売るメーカーがあるんですが、そちらの社長令嬢が、なんと自社製品のスマホを叩き折って踏みつけ、さらに罵倒している映像なんですね』
サムネは目消ししたJKが膝にバルキューバフォンを当てて、叩き折るという強烈なもの。見終わるとおすすめに、もふもふアバターの時事系YouTuberたちがこぞって絵里花の愚行を拡散していた。
メスガキポーラちゃんにも取り上げられ、底辺インスタグラマーお嬢さま、自社製品をバカにして大炎上、フェミさんが彼女を擁護するも延焼してしまって大草原不可避、ハハッ! と三白眼で乾いた笑いを提供してしまっていた。
「あ、あああああああああーーーーーーーーっ!」
「しゃ、社長ぉぉぉーーー!!! Googleマップで我が社のクチコミは中傷でいっぱいになって、評価がどんどんと下がって……あ、ああああっ、今★1にぃぃぃーーーっ!」
島谷砲が絵里花に炸裂して、ウソで塗り固められた絵里花のペラペラの装甲を姦通、じゃなった貫通して、面白いくらいに大炎上していた。
「しゃ、社長……」
「なんだ、今対処しようとしてるところだと言うのに!」
「バルキューバ株がストップ安です……」
社員から告げられた言葉に佐々木社長は白目を剥いて、後ろ向きに倒れそうになる。慌てて、社員と絵里花たちが支えるが、
「えっ? パパ? パパったら、しっかりして」
どうやら意識がなく、気絶してしまったらしい。
「では買い付けといこうか」
そう一言発すると佐々木社長が倒れた横で父さんの笑うときのくせである口角を上げて、部下を呼んでなにか告げていた。
―――――――――あとがき――――――――――
みんな平日に学校を休んでますが、開校記念日ってことでお許しをm(_ _)m
お名前は差し控えさせてもらいますが、V Tuberから転生した声優さんが元夫の歌い手さんにSNSで行動管理していたのに自分は他の男と浮気していたという事実に、作者はハッピーメスガキスマイルしかできませんでしたよ。絵里花をそんな風にしようと思ってた矢先にそんな芸能(?)ニュースが界隈に流れてたものでポカンとなりました。事実は小説よりも奇なりとはよく言ったもんです。
絵里花もバルキューバもサ終ですなぁwww
実は一番やり手だったのは一磨だったりして。絵里花と渉の底辺ゼロ円生活の開幕が楽しみな読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。
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