第17話 美少女三人をお持ち帰り

 島谷さんは俺の耳元でささやく。


「あのね、私……白川くんに隠していたことがあるの。でもちゃんと言いたい。私、実は流星キラリの中の人なの」


 ええっ!?


「島谷さんがキラリだって!?」

「ちがうってばぁ、声が似てるって言われるだけだよぉ……」


 普段の島谷さんからは想像がつかなくて、思わず声に出してしまった。すぐさま周りいた石田さんたちに島谷さんはキラリではないと釈明していたが……、


「本当なのか!?」

「牛島先生?」


 さっきまで悪党二人を捕まえていた牛島先生が島谷さんの前でキラキラと目を輝かせていた。


「あ、ああ、すまん……子どもがキラリストなものでな。ちょっとあの挨拶してくれないか? キラッキラッ、キラリ♡って、素晴らしいアレを。あとサインも……」


 強面の先生が頬を染めて、恥ずかしそうにする姿なんて初めて見た。


 いやぜったい先生もキラリストだろ……。


「先生、ごめんなさい。私は声がキラリちゃんと似てるだけなので……」

「そ、そうか……いや悪かったな。また学祭でキラリのコスプレでもしてくれたらありがたい……」

「考えておきます……」


 島谷さんから話を聞いた先生は大きな背中を丸くして、とぼとぼと残念そうに歩いてゆくが、石田と絵里花がそんな先生をくすくすとあざ笑っていた。


「ざまぁ! 牛島の奴勘違いしてやんの。島谷がキラリだったら裸で街中をパルクールしてやんぜ」

「ちょっとかわいくなったからって、所詮は地味子なんだから! それに先生までオタとかマジキモ」


「おまえらぁぁ!!! さっきから子どもが好きだと言ってるだろうが! 石田は停学の上、おれが毎日家庭訪問してやる。それに佐々木は二週間、毎日反省文を提出だ!」


「んげぇぇ、横暴だ! おまえの顔を毎日見るなんて拷問だろ」

「そうよ、そうよ!」

「うるさい、とっとと来い」


 俺たち三人は牛島先生にドナドナされる石田と絵里花を見てると、突然先生が振り返る。


「白川、ちょっといいか?」

「俺ですか?」

「ああ」


 先生がいきなり俺に頭を下げたので、周りにいたみんなが驚いた、もちろん俺を含めて。


 俺があわあわ慌てていると、そんなことお構いなしに先生は語り出していた。


「おれはおまえに感謝している。一年のとき、あのバカが血だらけになったが、それをいち早く知らせてくれただろ? あのままあのバカが放置されて出血多量で死んでたりしたら、おれは学校に残ってられずに家族でキラリの配信を楽しむことはできなかっただろう。ありがとう、白川」


 俺と先生が固い握手を交わすと、


「クマっちに誉められるとか、やっぱあたしの見込んだ男だ!」


 高木さんは俺の肩をぽんぽんと叩いて笑っていた。いや俺はただあんな血だらけの奴がいたら、みんな不快に思うんじゃないかと思っただけで、石田を助けようなんて気持ちはサラサラなかったんだよな……。


「じゃあな。おまえら、気をつけて下校しろよ」

「「「「は~い!」」」」

 

 先生たちが去ったあと、島谷さんはまた俺の耳元で真実を打ち明けてくる。


「んもう、白川くんだけに教えるつもりだったのに、声が大きいよぉ……でもさっきのことは本当だからね♡」

「ごめん……」


 信じられなかったが耳元でささやかれる声はキラリが寝る前にしてくれているASMR配信そのものだった。


 行くぞ石油王! 金庫の貯蓄は十分か?


 キラリのASMR配信は高額スパチャの石油王たちにはネームを読み上げた上でおやすみコールというサービスがあり、上限額の5万を投げる例がごまんとあった。


「キラリね、優一くんが私のこと応援してくれてること、知ってたよ。すごくうれしかった。キラリ、そんな優一くんのことが大好きだから……」


 幼馴染を石田にBSSされてから、キラリにどはまりした佐伯に洗脳されてキラリストになった口だが、島谷さんは、ガチ恋勢がキュン死しそうな甘く蕩けるような言葉を熱い吐息とともにささやいていた。


 俺が驚き目を見開いて、中の人もアバターに勝るとも劣らないかわいさの島谷さんを見るとこくりと頷いてから頬を赤く染めてしまう。


 あれだよな……島谷さんが仮にキラリの中の人であるとしても、俺を好きっていうのはあくまでクラスメートとか友だちって意味での好きであって、恋愛感情においての好きではないよな?


 たぶん石田さんたちは俺が絵里花を寝取られて、落ち込んでいることを心配して、声をかけてくれたんだ。


 そうだ、それに違いない!


 だったら、


「四人でいっしょに作ろう!」


 俺はみんなが励ましてくれるなら、それ相応の歓迎をしないといけないと思い、三人の前で高らかに宣言した。


「よ、よ、よ、四人で……?」

「石田さんはいやなの?」

「えっと……」


 石田さんはもじもじしてしまい、さっきまで俺の家に行きたそうにしていたのに二の足を踏んでいるようだった。だけど、そこに高木さんが鶴の一声を上げる。


「なんだか知らねえけど、おもしろそうじゃん! あたしは構わねえぜ」

「私も高木さんに負けられませんから行きます!」


「えっ? えっ? 白川くんのことは大好きだけど……初めてで4Pは……ううん、みんなが白川くんを慰めるつもりなら、いかないと!」


 なにかぶつぶつと言ったあと、石田さんの意思は決まったようだった。



 よく分からないながらも俺は男女問わず誰もが振り返って見てしまうような美少女たちと下校していた……。


 人数が増えたので、ちょっとアレを多め買わないといけなくなり商店街を歩いていると、


 ――――なにあれ?


 ――――映画か、ドラマの撮影?


 ――――女の子かわいすぎでしょ!


 数歩歩くたびに街行く人たちから、彼女たちをほめちぎる声が聞こえてきて、俺でいいのかと思ってしまう。


 周りの視線に堪えながら、俺たちはアレのあるところにたどり着いた。


 そうこの薄いゴムが使い易くていいんだよ!


―――――――――あとがき――――――――――

あ~これはとてもいけない奴ですねえwww

優一はこのまま夢のハーレムセク□スを決めてしまうのか!?

私、気になります!(えるたそ)という読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る